デニムなどのアパレル・ブランドとして知られる「Diesel(ディーゼル)」は、マッチングアプリの「Tinder(ティンダー)」や、街頭に流れている音楽の曲名を解明するアプリ「Shazam(シャザム)」を中心に400種類のデザインのモバイル広告を投入した。
両者のオーディエンスはFacebookなどに比べれば中規模で、スマートフォンに多くの時間を費やすミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた若年層)が中心だ。大型プラットフォームに比べ、他社広告との競争は激しくない。その「穴場」をついて、集中的な広告出稿を実施して成果を収めたことが話題を呼んでいる。
デニムなどのアパレル・ブランドとして知られる「Diesel(ディーゼル)」は、マッチングアプリの「Tinder(ティンダー)」や、街頭に流れている音楽の曲名を解明するアプリ「Shazam(シャザム)」を中心に400種類のデザインのモバイル広告を投入した。
両者のオーディエンスはFacebookなどに比べれば中規模で、スマートフォンに多くの時間を費やすミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた若年層)が中心だ。大型プラットフォームに比べ、他社広告との競争は激しくない。その「穴場」をついて、集中的な広告出稿を実施して成果を収めたことが話題を呼んでいる。
アプリに最適化した掲出方法、クリエイティブ
400本の広告をデザインしたのは、同社のクリエイティブ・ディレクター、ニコラ・フォルミゲッティ氏(悪名高きレディー・ガガの生肉ドレスのデザインで知られる)。ユーザーはスマートフォンでアプリやモバイルサイトを利用しており、ユーザーがスマホにのめり込んでいる際に注目してもらえればいい、と考えている。
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マッチングアプリの「Tinder」をスワイプ中に差し挟まれる広告。
ユーザーの集中力が高いため、効果が高いという見方もある
ディーゼルはより購買につなげようと、モバイルで簡単に商品を購入できるウェブサイトを、2015年10月6日に再スタートさせたばかりだ。フォルミゲッティ氏は広告制作について、「取り繕わないで、あるがままに伝えた。個人的でユニークなやり方で対話をした」と、話す。マッチングアプリ「Tinder」では、異性のプロフィールをスワイプさせている合間に、ディーゼルのモデルが定期的に現れてはブランドを宣伝する(上図)。曲名検索アプリ「Shazam」では曲名を解明できなかったとき、ディーゼルの広告が表示されるようにした(下図)。
「Shazam」が曲名を解明できないとき、ディーゼルのモデルが現れる。
だが「ゴメン、僕にも分からないや」とユーモアを言うだけだ。
同社はブランドへの親近感が高まることを望んでいる。このキャンペーンは、世界最大手広告企業WPPの傘下メディアエージェンシー、マインドシェアによるものだ。高級ファッション部門担当パートナーであるシャルロッテ・デイ・レヴィン氏は「デスクトップPCでの検索連動型広告の知見を応用している。適切な時間と場所で、しかるべきメッセージを配信できるようにした」と、語った。ディーゼルはリサーチを通じて、ファッションに興味のある層だけでなく、音楽やデートに夢中な人たちもピンポイントで狙えるようになった。
クリエイティブ・エージェンシーのメディア・キッチンのプログラマティック・メディア担当ディレクターであるブライアン・ナードレス氏は、モバイルでのプログラマティック・キャンペーンに正面切って取り組むブランド企業は、試練を迎えているかもしれないと分析する。
「モバイルアプリ向けの広告を世界展開したとすれば、オーディエンスを掴むのは至難の業となっている。アプリは、各国で別々に開発されており、勝手が違う」。しかし、ディーゼルについては別意見だ。「ディーゼルのアプローチは素晴らしい」。
「Tinder」には動画広告も配信。笑顔のギャップが惹きつける。
雑誌広告に似た効果、「明るい皮肉」
「『Shazam』や『Tinder』は、衣料品の広告に必ずしも適していないにもかかわらず、雑誌広告での展開と同じ効果を上げている。じっくりと広告を眺めた上で、買ってみようかとは必ずしもならないかもしれない。だが、そうした広告は、コンテンツが訴求したいことに沿ったテーマを、ユーザーが見ている場所に、ほどよく表示させる」
前出のアートディレクター、フォルミゲッティ氏は「正しく絞り込んだ対象に、スマートに訴えていかなければならない。『明るい皮肉』というメッセージに、テクノロジーを併せ持たせたところが受けている。これが関心を持ってもらう唯一の方法だ。さぁ世に語りかけよう!」
Hilary Milnes (原文 / 訳:南如水)
Images via Diesel