フムス(中東・地中海地域の家庭料理であるひよこ豆のペースト)を製造する、イサカ(Ithaca)が、OOH(屋外広告)とラジオ広告に注力している。この取り組みは、バッファローのフットボールファン層に試合当日のパーティーに、フムスを選んでもらう意図がある。
今月、ニューヨーク州バッファローにあるスーパーマーケットのウェグマンズ(Wegmans)やトップス(Tops)の前にいれば、フムス(中東・地中海地域の家庭料理であるひよこ豆のペースト)を製造する、イサカ(Ithaca)の広告看板を目にするだろう。
新作のバッファローフレーバーを宣伝するこの広告看板は、同ブランド初のOOH(屋外広告)であり、バッファローのアメリカンフットボールファン層に対し、試合当日のパーティーメニューとしてフムスをすすめる意図がある。
「イサカは、この数年間に成長が加速した」と、同社の創業者でCEOを務めるクリス・カービー氏はメールで述べ、ホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)との協力により、米国で8240超の小売店へと販路を拡大してきたと述べる。「さらに多くの消費者にリーチし、当ブランドが本物であること、そして我々のオリジナリティを訴求するための広告制作に、力を入れるべき頃合いだと思った」。
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OOHは創業来初の取り組み
イサカが特に期待しているのは、ウェグマンズの前にオレンジ色の広告看板を戦略的に置くことで、フットボールの試合観戦に向け、軽食やディップを購入しにきた買い物客にブランドを覚えてもらうことだという。またイサカは、広告看板と併せて、テールゲート(駐車した車の後ろでのパーティー)と、フットボールに関連する購入を促進しようと、Kiss 98.5、Star 102.5、107.3、ならびにWGRスポーツ(WGR Sports)といった、いくつかのラジオ番組でスポット広告を流している。広告看板とラジオスポット広告は、いずれもニッチな視聴者(バッファローのフットボール関連の買い物客)がターゲットだが、OOHに関しては創業8年以来はじめての挑戦であり、ブランドの知名度アップを目指す取り組みの一環なのだという。
イサカが、バッファローでのOOHとラジオ広告にどれだけ支出しているのかは不明だ。同ブランドはそうした数字を明らかにしていない。また、リサーチ企業のカンター(Kantar)もデータを持っていない。なおOOHとラジオ広告を流す前、イサカは、広告については主にソーシャルメディアに注力していた。また今後についてカービー氏は、「将来的には、考えられる(OOH以外の)ほかの有料の広告キャンペーンについて検討する」ほか、「イベントや対面体験」のような新しいチャネルも探ると述べている。
「当社は急速に成長し、あらゆるタイプの消費者へのリーチに適応しつつある。今回のバッファロー・フレーバーのような新しいフレーバーの追加やキャンペーンを通じて、当社の中核に忠実であり続けながら、関連性を維持するために常にイノベーションを行っている」とカービー氏は話す。特に、バッファローのフットボールファンの熱量が高まっているときには、大きなチャンスになるだろう。現在、地元チームのバッファロー・ビルズは、AFC(American Football Conference)東地区で2位につけている。
理にかなった判断
こうした動きは、パフォーマンスマーケティングエージェンシー、テイク・サム・リスク(Take Some Risk)の創設者、デュアン・ブラウン氏から見て筋の通ったものだ。「いまはOOHとラジオ広告がリーズナブルだ。事業の成長にそれがどのように役立つかを見極められていれば、Facebookに投じている広告費を引き揚げて、ブランド拡大のためにこのふたつのチャネルに投資を行うのは理にかなっている」。特にOOHは、そうした新たな買い物客にリーチする方法となりうる、とブラウン氏は付け加えた。
ブランドコンサルティング企業メダフォース(Metaforce)の共同創業者で、ブランドコンサルタントのアレン・アダムソン氏もこの考えに賛同する。「フムスは日常的な食品というより、特別なときに食べるもの。その最大の課題は、いかにその存在を恒常的に意識させるかどうかだ。広告看板は、彼らのマーケティング上の中核的課題を解決し、人々が食料品の買い物をする時に念頭に置いてもらえるようにするのに、多いに役立つだろう」。
[原文:‘Time for a bigger advertising push’: Why hummus brand Ithaca is investing in OOH, radio now]
KRISTINA MONLLOS(翻訳:矢倉 美登里/ガリレオ、編集:村上莞)