スポーツ・バー「ティルテッド・キルト(Tilted Kilt)」はセクシー路線を見直した。ティルテッド・キルトの以前のブランディング路線は「スカートを履いたフーターズ」というセクシーなものであったが、現在は「地元のスポーツバー」に感じられるものにしようとしている。
スポーツ・バー「ティルテッド・キルト(Tilted Kilt)」はセクシー路線を見直した。
ティルテッド・キルトの以前のブランディング路線は「スカートを履いたフーターズ」というセクシーなものであったが、現在は「地元のスポーツバー」に感じられるものにしようとしている。セクシー路線なビジュアルを抑え、ターゲティングを正確にすることで、彼らは広告のクリック・スルー率を5倍に、リピート訪問を35%改善したと語ったのは、ティルテッド・キルトの広告を管理する、アリゾナを基盤とするザ・ジェームズ・エージェンシー(The James Agency)でインタラクティブ・マーケティング責任者を務めるダラス・マクローリン氏だ。
「私たちの調査によると、(肌の露出が高い)女性の存在は一般に考えられているほど重要ではないと分かった。食事、席、そして照明が一番重要だった。そのためマーケティングはその方向に転向したのだ」とバーのリピーターを増やすためにどうしたら良いか、というトピックについて彼は語った。
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新旧のクリエイティブ
ザ・ジェームズ・エージェンシーが11月にティルテッド・キルトの案件を獲得する前、ティルテッド・キルトのデジタル広告の90%以上が肌の露出の高い服を来て登場しているものだった、とマクローリン氏は説明する。下のビデオで確認できるように広告はセックス・アピールに非常に依存していた。
厳密なパーセンテージはキャンペーンごとに上下するものの、ウェイトレスはまだブランドにとって中心的な存在ではある。今日では彼らのデジタル広告の75%ほどが、伝統的な露出度の高い服を来たウェイトレス軍団を登場させていない。代わりに広告は食事やビールにフォーカスを当てたものになっている。それは下のビデオで確認できる。
変化しつつある消費動向
ザ・ジェームズ・エージェンシーがこの転向を行ったのはバーのEメールリストを利用した1万人の顧客調査の結果を受けてだった。これによるとバーのリピーターにとって再びバーをやって来るのはウェイトレスが目的ではなかったというのだ。彼らは予想以上に食事を気に入ってやって来ていることが分かった。
セックス・アピールを広告で大幅に減少させた結果、顧客がひと月にティルテッド・キルトを訪れる平均回数は11月の1.7回から5月の2.3回へと増加した。これは1500人の顧客の回答をもとにしている。
「セックス(アピール)は売れる」というマーケティングの金言のような考えを疑う現象が起きているのは、ティルテッド・キルトだけではない。アバクロンビー(Abercrombie & Fitch)やベルサーチ(Versace)といったファッションブランドも最近ではセクシー度を改めており、ポルノ雑誌の代表と言われていたプレイボーイ(Playboy)が雑誌からヌードを1年排除したのも記憶に新しい。
「消費者は、自分のお金が何に使われているかますます自覚的になってきている。ああいった種類のビジネスに資金を与えたくないかもしれない、という意識をもつ人々が多くなってきている」と、マクローリンは言う。
ターゲティングの効果向上
過去6カ月において、ティルテッド・キルトはまた広告のCTRが0.1%から0.5%へと増加したという。この増加はターゲティングの性能が上がったことに原因があるとしている。ティルテッド・キルトに来たユーザーは、メールアドレスを提供することで無料のWiFiを使うことができる。これによってザ・ジェームズ・エージェンシーは、大量の人口構成や行動に関するデータを得られる。
この実地で獲得しているデータをアクシオム(Acxiom)からのサードパーティーデータのレイヤーを加えることで、ザ・ジェームズ・エージェンシーはスケールしている。このおかげで、セクシー広告をいつ提供すべきか、いつ提供しないべきかを正確に判断できるのだ。
「リーチしたいターゲットによっては、広告に露出度の高い女性が登場することもまだあるし、今後もあるだろう。もしも深夜の大学生男子にリーチしたいというのであれば女性を広告に入れるだろう。けれど所得の高い中年の夫婦をターゲットにしているのであれば(露出度の高い)女性は広告に入れない」と、マクローリン氏は説明する。
ブランドの戦略は闇のなか
彼によると、ティルテッド・キルトは売上のデータをエージェンシーにも公開していないという。そのため、このキャンペーンが会社の収益を改善しているのかは、彼には分からない。ティルテッド・キルトは、アメリカの26州とカナダの2つの州において75店舗を展開している。この記事に関する取材は拒否された。
ザ・ジェームズ・エージェンシーがコントロールしているのは、バーのクリエイティブ、デジタル広告バイイング、ペイド検索とペイドソーシャルだ。ティルテッド・キルトのソーシャルメディアアカウントや、フランチャイズ契約者たちが使いたい屋外広告などは、関与していない。そのためブランド全体で見ると、セクシー路線の広告はいまだ多く活用されている。これはエージェンシーの権限の外となる。
「ブランド戦略に関して我々が何をしているか、大きな視点」を最新の状態で共有するのはチャレンジとなっていると、マクローリン氏は言うった。
Ross Benes(原文 / 訳:塚本 紺)