「TikTokユーザーは、信じられる『リアル』を求めている」 : TikTok Ads Japan 廣谷亮氏

浮世離れした「映え」は、もはや時代遅れになりつつあるのかもしれない。

スマホネイティブ世代(1990年代後半から2010年のあいだに生まれた層)の支持を集め、いまや全世界でのダウンロード数は累計16億5000万回を超える(Sensor Tower 調べ)、モバイル向けショートムービープラットフォームのTikTok(ティックトック)。そのマーケティングソリューションであるTikTok Ads Japanは2月17日、TikTokユーザーを対象にした調査レポート「TikTok Adsオフィシャルユーザー白書 第2弾」を発表した。

「スマホネイティブにとって、信頼できる一般のユーザーは、インフルエンサーにも匹敵するほど、影響力のある存在」と、TikTok Ads JapanでCreative Strategy Directorを務める廣谷亮氏は語る。同氏は、この調査を指揮した人物だ。「TikTokユーザーの多くが、信じられるリアル、“Trustable Real”を求めている」。

本記事ではこの廣谷氏に、今回の調査レポートで見えてきた、TikTokユーザーを中心とするスマホネイティブ世代のリアルについて伺った。以下、一問一答形式でお届けする。

  

——今回のユーザー調査の狙いは?

ここ半年のTikTokの傾向として、ユーザー数が増加しているにも関わらず、平均滞在時間やエンゲージメント率が、急激に伸び続けています。特に、滞在時間の伸びは驚異的で、私が入社した、2019年5月時点では42分でしたが、そこから2カ月後には44分、そして現在では52分まで伸びています。一般的には、ユーザー数が増え続ければ、熱量は薄まっていくことが想像できますが、TikTokの場合、ユーザーが増えて、かつ一人ひとりが楽しむ時間も伸びています。

また、広告に関しても、エンゲージメントの伸びが見られます。何よりもいま一番勢いがあるのは、「TopView(トップビュー)」といって、画面を開いたときに、最初に表示される広告です。たとえば、平均CTRは16〜18%。これは、ほかのデジタル広告の一般的な数字の、約10倍以上に当たります。しかし、CTRよりも特筆すべきは、シェアやコメントといった、エンゲージメント率の高さです。TopViewでは、直近の平均だと1000回前後もコメント、シェアがされるなど、ほかでは見られないユーザーの行動が見られるようになっています。

こうした傾向の背景には、 TikTokユーザーのどのような価値観があるのか。それを解明し、体系的に広告主のみなさんにお伝えするため、調査を実施しました。第1回目の調査は、ジェネラルな内容を紹介していたので、今回はより具体的な仮説検証を実施したいという思いもあります。

——ユーザー数の増加とともに、エンゲージも高まっているというのは、すごいですね。では、調査結果にはどんな傾向が?

もっとも特筆すべき発見として、TikTokユーザーの多くが、信じられるリアル、“Trustable Real”を求めていることが見えてきました。実際、調査では回答者の79%が「⾃分⾃⾝の体験や信じられる⼈の体験だけがリアル」、そして89%が「本⾳を⾔う企業や正直な企業には好感が持てる」と考えていることがわかりました。企業発信の伝統的な広告が効き辛くなっているいま、生活者を惹きつけるのは、生活者自身が発信するリアリティなのです。

現に、TikTokでユーザーが閲覧した動画をシェアする割合は、インフルエンサー発の動画を100とした場合、一般ユーザー発の動画は126。購買する割合は、インフルエンサー発の動画を100とした場合、一般ユーザー発の動画は90というデータも見られています。TikTokを利用するスマホネイティブにとって、一般ユーザーの投稿は、インフルエンサーの投稿にも匹敵するほどの影響力があり、購買を促進する存在といえます。

TikTokユーザーは「人も企業も、リアルなものが好き」

TikTokユーザーは「人も企業も、リアルなものが好き」

——なるほど。では、一般ユーザーの動向を意識したうえで、広告主がTikTokユーザーを振り向かせるには、どうしたらいいでしょう?

我々の調査から見えてきた、TikTokユーザーが大事にしている、信じられるリアル、“Trustable Real”を理解するための、3つのファクターをご紹介します。まずひとつ目は、承認欲求だけではなく、語りたい、楽しみたいと思う動機、“Pure Motivation”。我々の調査では、TikTokユーザーの多くは、使いはじめるときの動機は承認欲求が強いものの、次第に「純粋に楽しむため」というモチベーションが強くなることがわかっています。ちなみに、他社サービスと比較した場合も、TikTokには、承認欲求よりも純粋に投稿を楽しみたいと考えているユーザーが多いことがわかっています。

次に、リアルな人間味を意味する、“Real Humanity”です。TikTokユーザーは、単純に格好良いだけでなく、ダサさも含めた等身大の人間味を好みます。表側だけでなく、飾り気のない裏側まで伝えられるところにリアルを感じるのです。

そして最後が、好きなものだけじゃない、違いを楽しめる環境、“Positive Community”です。TikTokの動画はいつでも広告も含めてSkipすることができます。だから、強制的に見させられているというストレスがないので、自分のペースでの視聴が可能です。結果、広告までも飛ばされてしまうと思いがちですが、むしろ逆でSkipされにくい(他SNS比124%)。

ユーザーが自分で視聴を決められるという心理状態だからこそ、広告含めた本来興味がなかったものまでも好きになってしまう(他SNS比112%)という数字が出てきました。これら3つのファクターを念頭に置くことが、ユーザーが求める“Trustable Real”の形成に繋がると考えています。

"Trustable Real"を構成する3つのファクター

“Trustable Real”を構成する3つのファクター

——すると、具体的には、どのようなクリエイティブが望ましい?

これは、いろいろなクライアントさんや代理店さんにもお話しさせて頂いているのですが、広告も通常の投稿も、「ウソがない」ということが大切です。完璧に成功したシーンだけ、綺麗な映像だけだとリアリティがなかったり、広告臭が出てスキップされてしまいます。TikTokユーザーは、その辺に非常に敏感です。

逆に、“Real Humanity”でご紹介したように、失敗をちゃんとそのままさらけ出すことで再生数が伸びて、コメントでユーザーからアドバイスが来る、TikTokはそういう場所なんです。できるだけ純粋な、あるがままの状態を出してあげることは、これからのコミュニケーションにおいて非常に大切です。

「何よりも『ウソがない』クリエイティブが大切」と語る廣谷氏

「何よりも『ウソがない』クリエイティブが大切」と語る廣谷氏

——「信じられるリアル」とは、そういうことなんですね。それを具現化している、注目のクリエイターや企業アカウントは?

企業アカウントだと、最近ではドミノ・ピザさん(@dominos_jp)のアカウントが面白いですね。決して手の込んだものではなく、同社の製品を絡めたとてもシンプルな内容の動画を投稿しているのですが、ありのままをうまく伝えていると思います。また、同社のキャンペーンに起用されたインフルエンサーで、ノルウェー出身のクリエイター、ミスターヤバタンさん(@mr_yabatan)の投稿も面白い。キャンペーン投稿なのに、広告色は一切なく、普段の彼のやり方で撮影しているだけなんですが、そこに好感が持てます。途中で「やばい」って発言が入っていたり、彼の素の部分が入ってしまっている点に、ユーザーもリアリティを感じているのでしょう。

企業や広告関連ではないアカウントだと、アパレルショップ「WEGO(ウィゴー)」下北沢店のスタッフであり、TikTokでも活躍する等身大のクリエイター、きょんぺいさん(@kyon_pei)も注目を集めています。きょんぺいさんは、彼氏のいっぺいさん、そして彼女のきょうきょうさんのカップルクリエイター。キラキラしたカップルの日常ではなく、何気ない日常や話題のエンターテイメントを、彼らなりにアレンジした動画を投稿していて、多くの支持を集めています。

加えて、最近特に勢いがあるクリエイターが景井ひなさん(@kageihina)。彼女は、ホリプロデジタルエンターテインメント所属の女優なのですが、2019年3月にTikTokを本格始動してから、わずか9カ月で、フォロワーが100万を突破しています(現在のフォロワーは140万以上)。景井ひなさんが支持を集めいている理由もまた、ありのままを表現している点にあります。綺麗な服を着て、クオリティーの高い動画を作るのではなく、彼女が純粋に楽しいと思えるものを投稿しているのです。

また、ミーム(meme)と呼ばれる、「ネット上でユーザーが真似やアレンジを重ねて楽しみながら広がっていくコンテンツ」を意識して、ほかのユーザーが真似できるように、撮影のハードルを下げるといったことを意識しているそうです。スマホネイティブは「面倒くさがり」という特性もあるので、こうした取り組みは非常に効果的です。

@kageihina

街中で____と出会った時 ##_のとき

♬ Did Too Much – LLusion


景井ひなの実際の投稿

——「ハードルを下げる」という視点は面白いですね。最後に、今後のTikTokは、どこに向かっていきますか?

マーケットの主導権は、企業からインフルエンサー、そしてユーザー(⽣活者⾃⾝)の⼿に渡っています。今後、ユーザーと共創するマーケティングフレームが⼀層加速するでしょう。それはおそらく、メッセージをユーザーに押し付けるのではなく、ユーザーが自然とそのコンテンツについて語ってくれる、楽しんでくれる、そしてシェアしてくれるものは何だろう? と考えることだと思っています。我々は、そのお手伝いをしていきたい。

現在も、「#チャレンジ」や、先述した「TopView」など、シェアされたり、話題にされやすい広告商品を提供している自負があります。今後は、ただリーチを稼ぐだけではなく、ユーザーを巻き込んでいくことが、いかにブランドに貢献していくかと言う点を広告主の皆さまに知ってもらうとともに、新しい広告商品の開発に尽力していきます。

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▼廣谷亮
TikTok Ads Japan
Creative Strategy Director

2006年大手日系広告代理店入社後、営業としてキャリアをスタート。2010年からバンコク拠点に出向してからはStrategic Planning Directorとして様々なアカウントに従事。その後、外資代理店へ移籍後も海外を拠点にASEAN Regionを統括。2019年になりTikTok Ads JapanにCreative Strategy Directorとして参加。営業と戦略の両方の視点に、最先端のテクノロジーを融合させたコミュニケーションを提供している。

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Written by DIGIDAY Brand STUDIO
Photo by 合田和弘