Kantar(カンター)は、2020年9月27日、「The power of TikTok」を発表。この白書では、TikTokを活用した国内外の事例にも触れつつ、成功したハッシュタグチャレンジがテレビと同等のリーチ規模を記録した点や、昨今TikTokのユーザー層が広がっていることが明かされている。
いまやUGC(User generated content:ユーザー生成コンテンツ)は、マーケティングには欠かせない要素だ。しかし一方で、UGCの活用はブランディングやメッセージのコントロールが難しいとされていることもあり、躊躇する広告主も少なくない。
そんななかTikTok For Businessは、UGCをフル活用したユーザー参加型の広告プロダクト、ハッシュタグチャレンジ(#Challenge)を展開し、世界中でクライアントを増やしている。広告主は特に、TikTokのハッシュタグチャレンジが持つ、テレビに匹敵するほどのリーチ規模と、エンゲージメントを引き出すことに優れた点に注目している。
本社をイギリス・ロンドンに置き、90以上の国と地域でグローバルに展開しているマーケティングエージェンシー Kantar(カンター)が2020年9月29日に発表した「The power of TikTok」では、こうしたハッシュタグチャレンジの強みや活用法が、国内外の成功事例とともに紹介されている。
「TikTokは、ほかのプラットフォームとはかけ離れた規模のリーチと、エンゲージメントを作り出すことができる。まだ、TikTokが自社のビジネスや戦略には合っていないと考えるブランドは、TikTokを理解し、適切で創造的なアイデアが、いままでではリーチしづらかったユーザーとのコミュニケーションにどのように役立つか学ぶ必要がある」。こう語るのは、白書の制作・調査を担当した同社のメディア部門 インサイト・ディレクターを務めるアンドリュー・ネルソン氏だ。同氏のコメントと白書の内容から、今回あらためて明らかになったTikTokの真価と、UGC活用の可能性を解説する。
1. マスメディアに匹敵するリーチ力
白書の冒頭でまず強調されているのが、ハッシュタグチャレンジが生み出すリーチの規模だ。白書によると、成功したハッシュタグチャレンジの事例には、テレビ番組のリーチ規模とほぼ同等、もしくはそれを凌駕するものがあるという。
以下の図を見て欲しい。図で示されているように、ウォルマート(Walmart)がTikTokで展開したハッシュタグチャレンジ、「#DealDropDance」は、8100万⼈のユニークユーザーへのリーチに成功している。
また、具体名は明かされていないが、白書は日本企業の事例にも言及している。ある清涼飲料水メーカーのハッシュタグチャレンジでは、5200万人のユニークユーザーによって、動画が再生されたのだという。これは、ラグビーワールドカップ2019の、日本対スコットランド戦のテレビ視聴者数、6000万人とほぼ同じ規模だ。
2. オーディエンスは若年層だけではない
一般的に、TikTokはZ世代へのアプローチに効果的だと思われている。それは事実だが、サービス成長に伴い、昨今年齢層の幅が広がっているのだという。
その背景には、「TikTokのコンテンツが魅力的であることが影響しているのだろう」と、ネルソン氏は述べる。「人は常に、新しくてほかと異なるものに魅力を感じる。TikTokが幅広い年齢層を惹きつけるのは、ほかのソーシャルプラットフォームにはない、新しいコンテンツに溢れているからだ」。
では、ネルソン氏がいうTikTokのコンテンツの「新しさ」とは何か。同氏はこう続ける。「TikTokは、人々の煌びやかで洗練された瞬間を捉えたものというよりも、親しみやすく、洗練されていない『ありのまま』の瞬間を捉えたコンテンツが多い」。
ユーザー層だけではない。TikTokを活用する広告主の幅も広がっている。これまでハッシュタグチャレンジで成功してきたのは、ファッション、コスメ、そしてスポーツといった領域の広告主が多かった。「しかし昨今は、あらゆる分野のブランドが積極的にTikTokを活用している」とネルソン氏。実際、ワシントン・ポスト(The Washington Post)やヒューレット・パッカード(Hewlett-Packard)、製薬会社のムシネックス(Mucinex)、そしてIFAD(International Fund for Agricultural Development:国連国際農業開発基金)など、多種多様な企業や団体が、TikTokを活用しはじめているという。
3. リーチの規模だけではない
また白書では、ハッシュタグチャレンジのリーチ規模だけでなく、メッセージを広く深く伝え、好感度や購入意向を高めることにも効果的であると強調されている。以下の図では、各項目ごとに、TikTokとほかのソーシャルメディアで、どれだけ効果が異なるかが示されている。
調査項目は、「ブランド認知度向上への寄与(Aided Brand Awareness)」「メッセージの関連性(Message Association:ブランドのキャンペーンを通したメッセージが、消費者にどの程度響いたかを示した数値)」「ブランドの好感度(Brand Favourability)」「購入意向(Purchase Intent)」の4つだ。
ピンク色がTikTokを活用した際のリフト(24のTikTokキャンペーンから得たKantar Norms Indexデータより)、黒がそのほかのソーシャルメディアでのパフォーマンスを示している。4つの調査項目のすべてにおいてTikTokが上回っており、そのうち3つは2倍近いスコアを獲得していることがわかる。
TikTok活用のポイント
では、ハッシュタグチャレンジを成功させるために、マーケターは何を心得るべきか。まず示されているのが、ユーザーの創造性を大事にすることだ。白書によると、ユーザーが自由にハッシュタグチャレンジに取り組めるような環境を準備することで、思いもよらないアイデアが生み出され、ユーザーの創造性が発揮されるという。また白書では、クリエイターとのコラボレーションも推奨されている。
また、チャレンジをシンプルなものにすることも大切だ。ダンスを複雑にしたり、商業的要素が強すぎたりすると、ユーザーはチャレンジする際にハードルの高さを感じてしまう。白書のなかで、イギリスに拠点を置くエージェンシー、カラ(Carat)のグループアカウントディレクター、アレクサンダー・ミシューチン⽒は、ハッシュタグチャレンジには「凝った振り付けは必要ない」と述べている。
さらに、ネルソン氏によると「ハッシュタグチャレンジは、クリスマスや年末、加えてバレンタインデー、ハロウィンなど、そのときのイベントやトレンドと関連付ければ、その効果をより高めることができる」という。実際、米国の製薬会社のムシネックス(Mucinex)は、ハロウィンをテーマにハッシュタグチャレンジ「#BeatTheZombieFunk」を展開。同キャンペーンは、ローンチから瞬く間に拡散し、結果として51万5000⼈ものTikTokユーザーがハッシュタグチャレンジに参加した。また、投稿されたUGCは110万、動画再生回数も12億回を記録。ブランドの認知度や購⼊意向の向上が確認されたという。
マーケティングエコシステムの一部として
また白書の最後には、TikTokをほかのメディアと連携させることも、有効活用の秘訣だと強調されている。たとえば飲料ブランドのミロ(Milo)は、テレビCMとデジタルメディア、そしてTikTokなどのプラットフォームを組み合わせてキャンペーンを展開。ハッシュタグチャレンジ「#MILOfreestyle」は、幅広い年齢層への訴求を実現した。
参加ユーザーは「#MILOfreestyle」のハッシュタグとともに、リフティングなど、自分のサッカースキルを披露した動画を投稿するのだが、このキャンペーンをきっかけに、サッカーだけでなくラグビー、バスケットボールバージョンも実施されたという。
TikTokはまだ新しいメディアだ。それゆえ、これまで効果の実態が見えづらかった。ブランドのなかにも、マーケティングエコシステムに組み込んで有効活用するにも、具体的にどう実行すべきかがわからないという企業もいたはずだ。しかし白書で紹介されている通り、昨今さまざまな企業がほかのメディアとTikTokを連携させてTikTokでハッシュタグチャレンジなどのキャンペーンを行なっており、その実力も明らかになってきている。
ネルソン氏も、以下のように述べる。「知名度を上げて消費者のブランド愛を促進したいキャンペーン、特にアーンドメディアとの連携を促進したいと考えているキャンペーンでは、TikTokは一層強みを発揮することだろう」。
ハッシュタグチャレンジについて気になる方は、TikTok For Businessのこちらの記事を参照:
エンゲージメントは約4倍に! 急成長しているハッシュタグチャレンジをデータで解説
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Written by DIGIDAY Brand STUDIO
Image by TikTok For Business