ブッシュズ(Bush’s)は缶詰製品の販促にユーザー生成コンテンツ、UGCの活用を決めた。同社の次なる広告はクリエイターの個人制作物になる。いま、ブランド勢は若年消費者へのリーチ手段をUGCに切り替えるとともに、それらプラットフォームでのクリエイターとの連携の道を選んでいる。
ブッシュズ(Bush’s)は缶詰製品の販促にユーザー生成コンテンツ(user-generated content、以下UGC)の活用を決めた。同社の次なる広告はクリエイターの個人制作物になる。
豆の缶詰で知られるブランド、ブッシュズは現在、動画コンテスト、その名もずばり、ブッシュズビーンズ缶・フィルムフェスティバル(Bush’s Beans Can Film Festival)を開催しており、同社の豆製品を題材とするオリジナル動画をハッシュタグ#BushsCanFilmContestを付けて個々のソーシャルチャネル経由で提出するよう、クリエイターにうながしている。優勝作品は同社が次に打つ広告に採用され、優勝者には賞金5万ドル(約550万円)が贈られる。
TikTokおよびインスタグラムのリール(Reels)へのショート動画の投稿を奨励する同コンテストの狙いは、消費者がますます多くの時間を費やしているところに、その場にふさわしい自然なかたちでブッシュズブランドを登場させることだと、同社マーケティング部門ディレクター、ブリタニー・ウィーヴァー氏は説明する。
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UGCへ傾倒するブランドたち
TikTokとUGCに対する同社の姿勢について、ウィーヴァー氏は「TikTokはUGCがもっともよくワークする場所」と話す。「あそこ[TikTok]は人々が互いにエンゲージするコミュニティだ。人間味が感じられる場であり、その交流には一対一の感覚がある。そんなプラットフォームにおいて、我々はUGCを相応しいかたちで利用していると思う」。
2022年1月第5週の開始以来、同フィルムフェスティバルのハッシュタグはTikTokで760万回以上視聴されている。フェスの認知度を上げるべく、同社はベン・トリート氏、ミランダ・モリー氏、アシュリー・シュー氏、ジュリアン・ベイス氏、トミー・ガタ氏といったTikTokクリエイターと連携している。
ブッシュズがこの企画に投じている予算額も、同社における現在のメディアミックスについても、ウィーヴァー氏が具体的な数字を開示しなかったため、定かではない。ただ、リサーチ企業のカンター(Kantar)によれば、ブッシュズの2020年度における広告費は1970万ドル(約21億7000万円)、2021年度1月から9月までの広告費は1480万ドル(約16億3000万円)だった。ちなみに、ソーシャルチャネルへの支出は、カンターの調査対象外であるため、この数字に含まれていない。
UGCへの傾倒を始めているのは、ブッシュズだけではない。若年層がますます多くの時間をTikTokといったソーシャルプラットフォームに費やしているいま、クリエイターの旺盛な活動や広告への反感を目の当たりにするなか、ブランド勢は若年消費者へのリーチ手段の変更を迫られている。多くはUGCに切り替えるとともに、それらプラットフォームでのクリエイターとの連携の道を選んでいる。
「インスタグラムといった場でのプロダクトディスカバリーが非常に高額になるなか、多くのブランドの選択肢は現在、小規模だが成長著しい、より高いROIが望めるプラットフォームを試すか、高クオリティのUGCコンテンツでディスカバリーの精度を高めるかの、いずれかだ」と、パフォーマンスマーケティングショップ、デジショップ・ガール(DigiShop Girl)のCEOカトゥヤ・コンスタンティン氏は話す。「ROIを正確に把握できるなら、UGCは優れたマーケティングオプションのひとつであり、試すブランドは今後さらに増えるだろう」。
とはいえ、リスクもともなう
ただし、こうしたコンテストへの行き過ぎた投資について、クリエイターに注意を喚起する向きもある。その努力に対する報酬はないからだ。
「ブランドのために生み出した作品について、クリエイターは(その努力に見合う、正当な)報酬を受け取って然るべきだ」と、インフルエンサーマーケティングショップ、スウェイ・グループ(Sway Group)の創業者でCEOのダニエル・ワイリー氏は話す。そして、投稿前にブランドがUGCを精査しない場合、さまざまな問題が生じる可能性もあると言い添える。「クリエイターは好きなものをなんでも投稿し、ブランドをタグ付けできるが、万が一そのメッセージがブランドの意図からずれていたり、不適切だったりしても、それに対する償還はない」。
[原文:‘TikTok is where we see UGC work really hard for us’: Why Bush’s next ad will be creator-made]
KRISTINA MONLLOS(翻訳:SI Japan、編集:小玉明依)