データを戦略の中核とする企業が増えるなか、プログラマティックやコンシューマーインサイト、機械学習などの言葉が、マーケティングや広告業界のバズワードとなっている。
それぞれの業界で開催されるカンファレンスでは、その都度、ビッグデータの重要性について説かれてきた。2016年3月24日に英経済メディア「エコノミスト(Economist)」が主催した「マーケティング・アンバウンド(Marketing Unbound:解放されたマーケティング)」カンファレンスでは、コンサルタント企業のベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)、食品企業のゼネラル・ミルズ(General Mills)や、マッチングアプリのTinderなど、各企業の役員たちが登壇し、ビッグデータについての新たな考えを示している。
以下に、各企業から学んだことをまとめた。
データを戦略の中核とする企業が増えるなか、プログラマティックやコンシューマーインサイト、機械学習などの言葉が、マーケティングや広告業界のバズワードとなっている。
それぞれの業界で開催されるカンファレンスでは、その都度、ビッグデータの重要性について説かれてきた。2016年3月24日に英経済メディア「エコノミスト(Economist)」が主催した「マーケティング・アンバウンド(Marketing Unbound:解放されたマーケティング)」カンファレンスでは、コンサルタント企業のベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)、食品企業のゼネラル・ミルズ(General Mills)や、マッチングアプリのティンダー(Tinder)など、各企業の役員たちが登壇し、ビッグデータについての新たな考えを示している。
以下に、各企業から学んだことをまとめた。
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マーケティングはデータではなく、消費者を中心とすべき
コンサルタント企業のベイン・アンド・カンパニーのパートナーであるローラ・ボーダン氏は、マーケティングはさまざまな環境に適応しなくてはならないと話す。また、どんな決断でも、組織内の部署間で協同的に下さなければならないという。「昔はそれぞれの部署内で仕事が完結していたが、現在は商品企画部門がマーケティング部門や販売部門に方針を確認するなど、部署同士が共同している。我々は大きな変化を目の当たりにしてきた」と、ボーダン氏は語る。
少し前までは、マーケティング部門は調査部門と共同する必要性がなかった。ブランドマーケターたちも、キャンペーンを実施する18カ月前までに予算を決めなくてはならなかった。しかし現在では、マーケティング部門はIT部門や分析部門と共同する必要がある。マーケティングに関するすべての決断は、消費者を第一に考えなくてはならないからだ。
「商品やチャンネルではなく、顧客を第一に考えるようになった企業が増えている」と、ボーダン氏はコメントした。「これは混乱を招く危険性があるが、企業に俊敏性が求められるため、有益でもある」。
ボーダン氏によると、データマーケティングを中心とした戦略を立てている企業の決断速度は通常より2倍早く、データも通常の3倍以上活用しているという。
ビッグデータはさまざまな示唆をもたらすが、アイデアは生み出せない
ビッグデータは企業のマーケティング的決断を早めてくれるが、消費者エクスペリエンスの代わりにはならない。「ビッグデータは戦術的で、消費者を誘導するためのもの」と、マサチューセッツ工科大学の研究所、エイジラボ(AgeLab)のディレクターであるジョセフ・コフリン氏は指摘する。「しかし、ビッグデータは『こんなライフスタイルなら良い!』と消費者の興味をかき立てるような想像はできない」。
ビッグデータはマーケティングなどに活用できるものの、ブランドは消費者を喜ばせる商品アイデアを生み出さなければならないと同氏は話す。そうしたアイデアを出すことにより、企業はビッグデータを使って、そのアイデアが実際に成功するかどうかを見極めることができるからだ。
これに対し、ゼネラル・ミルズのマイケル・ファヌエレ氏も、マーケティングが今後どう変わろうが、根本的には消費者が望む商品を作り出すことが重要だと同意している。
「プログラマティックやアナリティクスはとても重要なものだ。しかし、これらのせいで、商品アイデアの必要性が薄れてきてしまっている。消費者との良い関係を築き続けるためにも、消費者が欲しくてたまらなくなるような商品開発が必要だ」と、ファヌエレ氏は語る。「的確にターゲットを狙ったとしても、商品がゴミ同然であったら意味がない」。
デジタル市場調査は、従来の市場調査方法に代わることができない
市場調査といった意味では、モバイル、検索エンジンやソーシャルメディアなどからデータを集めて、消費者行動を学ぶことができる。デジタルメディアを活用した市場調査の方が調査結果は早く出るが、電話アンケート、インタビューやフォーカスグループなどの従来的な方法はいまだに必要不可欠だと、ティンダーのCMO、フィル・シュワルツ氏は語る。
ティンダーは純粋なるデジタル企業であるが、若者のデート文化や特定の製品についての質問など、いまだにオンラインや街頭でのアンケートを続けている。ほかにも、さまざまな製品でフォーカスグループやA/Bテストを実施しているという。
「定性調査を行うことで得た製品データから、どの製品が成功していてどれが失敗なのかをすぐに判断することができる。だから、どのような最新調査方法をもってしても、実際に人と話すことが出来る定性調査の代わりにはならない」と、シュワルツ氏は最後に語った。
Yuyu Chen(原文 / 訳:BIG ROMAN)
Image via ThinkStock / Getty Images