現時点で、インハウス(社内)エージェンシーを有するマーケターは過去最大数に上り、インハウス化は業界の主流となっている。少なくとも、インハウス化に関するANAの最新報告書によれば、そうだ。インハウスマーケティングに関する議論では通常、迅速性、効率、管理統率の必要性が指摘される。とはいえ、すべてをインハウス化する動きに、幹部が皆、諸手を挙げて賛成しているわけではない。
「外部エージェンシーにしか、そして外部エージェンシーの規模とネットワークにしか提供できないことがいくつかある。私がそれと同じレベルに達しようと思えば、それこそ各々の専門部署を創り上げる以外にない」と、フリトレー・ノース・アメリカ(Frito-Lay North America)およびクエーカー(Quaker)のクリエイティブおよびデジタル部門VPクリス・ベリンジャー氏は話す。氏はフリトレーのインハウスクリエイティブエージェンシー、D3のトップでもある。
D3は最近、ポップコーナーズ(PopCorners)のスーパーボウル広告「ブレイキング・グッド(Breaking Good)」や、フリトレーがキャッチコピー「イズ・イット・コールド・サッカー・オア・フットボール?(Is It Called Soccer or Football)」を掲げて交わしたFIFAワールドカップにおけるスポンサー契約など、複数のキャンペーンを制作した。その一方で、フリトレーは同社ブランドのさまざまな分野に対応するべく、多くの外部エージェントとも仕事をしており、その数は十数社に上ると、ベリンジャー氏は話す。たとえば、PR企業ケチャム(Ketchum)にはコミュニケーション関連を、OMDにはメディアバイイングおよびアクティベーションをそれぞれ任せている。
この5年間で、D3のチームは2名のスタッフから現在の85名にまで成長を遂げ、アカウントストラテジー、ソーシャルメディア、クリエイティブ、プロダクション、マルチカルチャー関連の諸々を手がけている。
DIGIDAYは先頃、ベリンジャー氏に取材をし、社内と社外、両エージェンシーのバランスの取り方、AIに対する警戒心の高まり、そしてソーシャルメディアコンテンツ界の野獣であるAIをD3はどう飼い慣らすのかについて、話をうかがった。
なお、読みやすさを考慮し、発言には多少編集を加えてある。
――D3の成り立ちは? フリトレーの各ブランドのために担う役割は?
我々は完全なる内部エージェンシーであり、社のブランドチームと直に手を組んで事を進める。カルチャーに対する反応速度こそが、我々が誇る最大の利点だ。過去5年間、我々はD3という、完全なインハウス組織の構築および整備に尽力し、現在の形に文字どおり一から創り上げた。
モデルで言えば、我々はアドプション(適用)型だ。どこからも圧力はかからないし、外部エージェンシーパートナーとの仕事もやぶさかでない。というのも、すべてを社内で動かすのが良いとは思わないからだ。とはいえ、より多くのブランドにこの手法を採り入れてもらいたいし、ソーシャルキャンペーンや360°キャンペーン、コンテンツやその他諸々、我々が行なっていることに価値を見出してもらいたい。
現時点で、インハウス(社内)エージェンシーを有するマーケターは過去最大数に上り、インハウス化は業界の主流となっている。少なくとも、インハウス化に関するANAの最新報告書によれば、そうだ。インハウスマーケティングに関する議論では通常、迅速性、効率、管理統率の必要性が指摘される。とはいえ、すべてをインハウス化する動きに、幹部が皆、諸手を挙げて賛成しているわけではない。
「外部エージェンシーにしか、そして外部エージェンシーの規模とネットワークにしか提供できないことがいくつかある。私がそれと同じレベルに達しようと思えば、それこそ各々の専門部署を創り上げる以外にない」と、フリトレー・ノース・アメリカ(Frito-Lay North America)およびクエーカー(Quaker)のクリエイティブおよびデジタル部門VPクリス・ベリンジャー氏は話す。氏はフリトレーのインハウスクリエイティブエージェンシー、D3のトップでもある。
D3は最近、ポップコーナーズ(PopCorners)のスーパーボウル広告「ブレイキング・グッド(Breaking Good)」や、フリトレーがキャッチコピー「イズ・イット・コールド・サッカー・オア・フットボール?(Is It Called Soccer or Football)」を掲げて交わしたFIFAワールドカップにおけるスポンサー契約など、複数のキャンペーンを制作した。その一方で、フリトレーは同社ブランドのさまざまな分野に対応するべく、多くの外部エージェントとも仕事をしており、その数は十数社に上ると、ベリンジャー氏は話す。たとえば、PR企業ケチャム(Ketchum)にはコミュニケーション関連を、OMDにはメディアバイイングおよびアクティベーションをそれぞれ任せている。
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この5年間で、D3のチームは2名のスタッフから現在の85名にまで成長を遂げ、アカウントストラテジー、ソーシャルメディア、クリエイティブ、プロダクション、マルチカルチャー関連の諸々を手がけている。
米DIGIDAYは先頃、ベリンジャー氏に取材をし、社内と社外、両エージェンシーのバランスの取り方、AIに対する警戒心の高まり、そしてソーシャルメディアコンテンツ界の野獣であるAIをD3はどう飼い慣らすのかについて、話をうかがった。
なお、読みやすさを考慮し、発言には多少編集を加えてある。
――D3の成り立ちは? フリトレーの各ブランドのために担う役割は?
我々は完全なる内部エージェンシーであり、社のブランドチームと直に手を組んで事を進める。カルチャーに対する反応速度こそが、我々が誇る最大の利点だ。過去5年間、我々はD3という、完全なインハウス組織の構築および整備に尽力し、現在の形に文字どおり一から創り上げた。
モデルで言えば、我々はアドプション(適用)型だ。どこからも圧力はかからないし、外部エージェンシーパートナーとの仕事もやぶさかでない。というのも、すべてを社内で動かすのが良いとは思わないからだ。とはいえ、より多くのブランドにこの手法を採り入れてもらいたいし、ソーシャルキャンペーンや360°キャンペーン、コンテンツやその他諸々、我々が行なっていることに価値を見出してもらいたい。
――D3は少なくとも5年前から活動している。D3の存在は、フリトレーに時間または金銭を節約させている?
この議論には常に効率性が付いて回る。それは否定できない。ただし、それが最大の動機ではない。真の最大の動機とは、どうしたら消費者とより密接でいられるか? どうしたらカルチャーの速度により迅速に付いていけるか? インハウス化はそれができる機会をくれる。
廊下を歩いて行って、「ねえ、いいアイデアがあるんだ。これ、どう思う?」、「iPhoneで撮ったんだけど、ちょっと見て」などと言うほうが、はるかに話が早い。ソーシャルが動く速度を考えると、消費者やファンの立場で諸々をアクティベートし、創造できる状態が不可欠だと考えた。
――効率が良いのなら、なぜすべてをインハウス化しない? 外部エージェンシーとの提携を維持する理由は?
外部エージェンシー側からもたらされる視点、エッジ(強み/鮮鋭)、コンポーネントのレベルには内部のそれとは違うものがある。私自身、もともと外部エージェンシーだっただけに、その価値はよくわかる。そしていまは、内部の価値も見えている。両者を共に機能させることは可能だ。一かゼロかの話ではないと思う。実験的なことやイベント、特定のターゲットを設けたマーケティングや戦略など目的に応じて使い分けられる。
いま現在、我々の社内には、ストラテジストもプランナーもいない。ただ、我々にはコミュニティがあり、そこにはコンテンツストラテジストとクリエイティブストラテジストがいる。私が入った当初、内部化の方針として掲げた一つは、売り込みは絶対にしない、だった。外部エージェントに対抗して売り込みをかけ、仕事を勝ち取れるか、負けて奪われるかの二択、という姿勢は好ましくない。そしてこれは、社内的な視点で見れば、我々のためになっている。
というのも、売り込みは場合によって極めて消耗的であるうえ、競争体質や競争至上的な空気感も生むからだ。私は外部の人間だった。だからその感覚はよくわかるし、それがどんな雰囲気なのかもわかっている。
――人工知能のさまざまな可能性を踏まえ、D3でも実験を行なっている?
AIに関するその手の質問は、くり返し受けている。ペプシコ(PepsiCo)――フリトレー・ノース・アメリカの親会社――は全体として、AIの利用に対して極めて慎重かつ意識的になっている。しばらく待って様子を見る、というよりもむしろ、確実に正しく使用したい、という姿勢に近い。
これに関しては、我々のブランドセーフティやその他諸々を確実に最優先したい。ジェネレーティブAIは、正しく利用していると確信を持ちたい分野にほかならない。いまや誰もがAIで実験と実践を試みているが、我々としてはあくまで、正しい方法で利用しているとの確信を持ちたい。
[原文:Why Frito-Lay’s vp of creative rejects ‘us against them’ rhetoric in in-housing trend]
Kimeko McCoy(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)