昨年10月より、新しいインターネットミームが米デジタル業界に旋風を巻き起こしている。文明から離れて暮らしているのでなければ、たいがいのアメリカ住民は、TOP画像の若い2人の女性が登場したネイティブ広告を目にしたことがあるだろう。米DIGIDAYでは、追跡調査を行って、広告の2人の女性の素顔を突き止めた。
昨年10月より、新しいインターネットミームが米デジタル業界に旋風を巻き起こしている。
文明から離れて暮らしているのでなければ、たいがいのアメリカ住民は、TOP画像の若い2人の女性が登場したネイティブ広告を目にしたことがあるだろう。その広告には、いくつかバリエーションのある、「自動車保険業界に旋風を巻き起こしたマサチューセッツ工科大学(以下、MIT)の卒業生2人に会ってみよう」という趣旨のメッセージが添えられている。
この広告クリエイティブは、マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点とするエバークウォート(EverQuote)のパフォーマンス広告に直接リンクしている。エバークウォートは、自動車保険会社のリードジェネレーションによって大きくなった企業だ。コンテンツアドネットワークのタブーラ(Taboola)は、この広告を何度も繰り返し配信してきた。
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女優やモデルではない
追跡調査したところ、広告の2人の女性は、女優やストックフォトのモデルではない。いずれも24歳のエバークウォートの定量SEOアナリストで、ローラ・チャン氏(左側のポニーテールの女性)とデニス・タン氏(右)だった(同社によると、会社を創設したのがこの2人だと思われてしまい混乱を招いたため、「2人」という言葉が含まれたバージョンの見出しは徐々に減らしているという)。なお、実際に同社を創設したのも、MITの卒業生だ(どうやら、もっとも優秀で頭脳明晰なMIT卒業生の多くが、ダイレクトレスポンスマーケティング[DRM]分野に進むらしい)。
この広告のアイデアは、ある日の昼食の席での会話から生まれた。エバークウォートがボストン地域のテックハブの一翼を担うことを宣伝するために、ストックフォトではなく従業員の写真を使おうと話していたのだ。キャンペーンがはじまると、Webのあちこちに自分たちの顔が登場するのを見て、チャン氏とタン氏は面白がった。
「母が目にした新しい広告の写真を添えて、毎日ショートテキストを送ってくる。最初は、自分がその写真を見ることになるとは思わなかった。いまは至るところで目にする。自分でも少し楽しんでいるわ」と、チャン氏は語る。
タン氏は、「長い間音信不通だった人たちから連絡があった」という。
ブランドセーフティの流れ
米大統領選では、フェイクニュースや誤解を招くニュースに注目が集まった。プログラマティック広告は、そういった記事に広告のお金が流れ込む手助けをしているとして非難されてきた。エバークウォートは、アウトブレイン(Outbrain)やタブーラ、Googleに広告を掲載するにあたって、そういう状況になることを避けようとしている。とはいえ、パフォーマンス広告であらゆる状況を管理するのは難しい。
「怪しげなWebサイトに私の顔が掲載されているという話は聞いたことがない。社内のディスプレイ広告チームが制限を掛けようとしているのだと思う。でも、トランプ大統領に関する記事の隣に私の顔が表示されると、いつも動揺する」と、チャン氏は述べた。
Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)