「仲介者はもういらない」:Google & Facebookらと、直接付き合い始めたフィリップス

フィリップス(Philips)は、いままで一緒に仕事をしてきたエージェンシーから思い切って離れ、Google、Facebook、Amazonと直接付き合うことにした。

大手3社とのパートナーシップでフィリップスのキャンペーンが直接開発されるだけでなく、広告主が独自の計測や最適化技術をこれらのプラットフォームにプラグインして、それぞれのパフォーマンスについての情報を取り出すこともできるようになる。

フィリップスのマーケティング部門のグローバル責任者、トマシュ・リセウスキー氏は次のように語る。「我々は現在、GoogleやFacebook、Amazonと直接やりとりをし、我々とプラットフォームの間にメディアエージェンシーのブローカーが介入する必要がなくなるようにしている。各プラットフォームは我々をしっかりサポートしてくれているが、彼らの効率性の判断は我々自身がやらなければならない」。

マーケターの重要な役割

テック界の巨人たちへの反発が高まっているにもかかわらず、Google、Facebook、Amazonは、彼らの広範囲に広がった広告ネットワークを通じてインターネット全体で広告主が簡単に広告を出せるようにしてきた。その結果、オンラインキャンペーンの購入、入札、レポートが自動化されつつある。そこで、ビジネスは正確な判断をするため、これらのプラットフォームにより依存するようになったと、リセウスキー氏は考えている。完全に自動化された世界でさえ、ブランドのマーケターは、まだ重要な役割を担っていると、リセウスキー氏はいう。

リセウスキー氏が「リアルタイムのコンテンツ最適化」と呼ぶものに対して、多額の投資が行われている。これは本質的には、フィリップスのマーケターたちが特定のコンテンツの人気度に応じてローカルにコンテンツを最適化できるようにする技術だ。フィリップスのメディア予算は、ほかのグローバルな広告主ほど多くはなく、この技術の背景にある理論的根拠の一部は、お金を費やずにより多くの人々にリーチするということにある。たとえばFacebook上でもっとも人気のあるブランド付き投稿がシェアされ、その直後にフラグをつけられたなら、有料サポートのうちのどれに注力すべきかをフィリップスは判断できる。

フィリップスは、ビジネスの評価基準をGoogle、Facebook、Amazonでの成功に変える重要な方法も考え出した。フィリップスは、デュラセル(Duracell)と同様に、ブランドやパフォーマンスの評価基準のグローバルデジタルスコアカードを開発した。このスコアカードは、エージェンシーではなくフィリップスが契約を所有する検証会社からのデータをもとに、大手3社全体を通じて行うキャンペーンにグローバルに適用される。広告主ではなくエージェンシーは通常、検証会社と関係を持っているが、自身が使うお金を自分でしっかりコントロールする広告主が増えるなかで、こうした状況は変化している

パフォーマンスの違い

マーケティングテクノロジー(マーテク)の新興企業アドリブ・デジタル(Ad-Lib Digital)の創設者でGoogleの元幹部だったオリ・マーロウ・トーマス氏は、「大手3社の技術のほとんどは、需要と供給をめぐって成り立っている。それは主に、支払いと配信をベースにしていて、パフォーマンスをベースにしたものではない」と語る。

リセウスキー氏は、大手3社に近づいてはいるが、自分たちが広告主のためにいかにうまく働いているかという彼らの主張を鵜呑みにしてより多くの資金を投じることはできないという。アディダス(Adidas)やプロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble)、デュラセルはここ数カ月間、同様の保留姿勢を取って支出を抑制しているし、世界最大のアドバイヤーであるグループ・エム(GroupM)は、自社のクライアントに対して積極的に大手3社に変わる代替案を提供している。

「我々は社内で解析用リソースを構築し、大手の各プラットフォームを最大限に活用できるようにしている。こうしたシステムには、我々の競争相手も含め、誰でもアクセスできるのだから。パフォーマンスの違いは、プラットフォームそのものによるのではなく、我々の社内能力に原因がある」と、リセウスキー氏は話す。

コスト削減できる可能性

フィリップスの大手3社への接近は、同社が2017年にメディアエージェンシーとの関わり方を全面的に見直した結果のことで、その理由は、ほかの多くの広告主と同様、マーケターが自力でマーケティングできるようにしようと決めたことにあった。Google、Facebook、Amazonでのキャンペーンの設定、最適化、レポートは年を追うごとにより賢くなり、自動化も進んでいるので、技術を使うのに必要なトレーニングや経験は大幅に減少している。フィリップスのような広告主にとっては、FacebookやGoogleと直接付き合うことで、大きなコスト削減につながる可能性がある。

デジタルメディアコンサルティング会社であるデジタル・ディシジョンズ(Digital Decisions)のマネージングパートナーのルーベン・シュラーズ氏はこう語る。「FacebookやGoogleのように、限定的ではあるが真の競争にさらされている企業が、収支決算を最適化するための代替案を探すことは当然だ。この場合、デマンドチェーン側に働きかけることでマージンの損失を減らすことを優先するし、エージェンシーのような仲介者の切り捨ては、ビジネス的にもそれを実現するための賢明な方法だと思う」。

エージェンシーはまだ、フィリップスのメディア購入の舵取りをする役割を担っている。フィリップスは、彼らのプランニングに関する専門知識に対して払うお金を増やしており、テレビやラジオのような伝統的かつ地域的なメディアとの最高条件での契約を確保するために彼らのスケールに依存もしている。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)