カニエ・ウェスト に学ぶ、ソーシャルメディア活用術:「彼のツイートには勢いがある」

カニエ・ウェストがツイートをすると、すぐに「いいね」が返ってくる。かの伝説的ラッパー、プロデューサーにしてデザイナーは、2017年5月にTwitterを退会したが、2018年4月13日に再開。以来、同プラットフォーム上で絶大な影響力を誇っている。わずか4日間で50万人以上のフォロワーを獲得。いまやその数は1000万に達しようとしている。もちろん、Twitterはどのセレブにとっても極めて有用であり、退会後に復活したセレブはウェスト以外にも山ほどいる。昨年は、アリアナ・グランデとエルトン・ジョンもツイートを再開した。

「ただし、カニエの場合は、ユーザーの反応が『ああ、またやりだしたのか』(で、終わり)じゃない。皆、カニエのつぶやきに夢中で、ますます深くのめり込んでいく」と語るのは、Twitter社パートナーソリューションのグローバルヘッド、ローラ・コーエン氏だ。

もちろん、ウェストは唯一無二の存在である。だが、オンライン上の会話を支配し、コミュニティをインスパイアする彼のソーシャルメディア戦略には、マーケターが参考にできる点が少なくない。

1.自社のオーディエンスに響くプラットフォームを選ぶ

ウェストは個人として、すべてのソーシャルプラットフォームに携わっているわけではない。かつてはインスタグラム(Instagram)を頻繁に利用していたが、2017年5月にアカウントを閉じ、それに伴いTwitterも退会した。現在、ウェストにはFacebookのオフィシャルページもなければ、Snapchat(スナップチャット)の公式アカウントもない。使っているのはTwitterのみであり、言い換えればこれは、ブランドがすべてのプラットフォームを視野に入れる必要はないことの証だ。しかも、ウェストはTwitter上でたった1人、自身の妻キム・カーダシアン・ウェストしかフォローしていない。

ソーシャル・アウトライアー社(Social Outlier)のアドバタイジングディレクター、デヴィッド・ハーマン氏いわく、大半のクライアントはすべてのプラットフォームに投資したがるが、個人的に、それは得策ではないと思うと助言するという。

「ウェストのオーディエンスはFacebookにはいない。彼がしているように、あえてピンポイントに絞ることでインパクトを最大にできる」と、ハーマン氏は断言する。

2.本気であれ

Twitter一本に絞るその戦略は、自称天才&ソートリーダーというウェストのパーソナルブランドと一致している。確かに、ソーシャルメディアからは一時離れていたかもしれないが、ウェストがセルフプロモーションを止めたことは一度もない。

「カニエはソーシャルメディアを本来の目的で利用している――フィルターを介することなく、コアなファンと直につながる、それが狙いだ」と、ロストラム・レコード(Rostrum Records)のマーケティング&カルチャー部門ディレクター、アルディン・ジャクソン氏は述べる。

くだらねえウソは止めろ。すぐに止めろ。

マーケターであれば、自社ブランドの信条ばかりを唱えるのはいかがなものか、と思うかもしれない。だが、ソーシャルメディアを使う目的はそもそも、自らの考えを他者と共有することにある。カニエは普通、カーキのカーゴショートパンツについて呟かない――呟くのは、大嫌いだと伝えたいときだけだ。マーケターであれば、自社ブランドについて真摯に語ってくれる人々のポストをシェアするのもいいだろう。先頃、カニエがローリン・ヒルのこの動画で行なったようにだ。

3.自身の目的にフォーカスする

ウェストは多忙だ。レコードレーベルを営み、ファッションブランドを有し、間もなく 新たな音楽作品をリリースする。加えて、娘2人、息子1人の父親でもある。それでもなお、ウェストはソーシャルメディアの利点を存分に活かし、良き父、良き夫、そして(自身の会社ドンダ[Donda]を軸に、音楽、ファッションおよび起業畑において)良きビジネスマンになるという目的に向けて邁進を続けている。

ウェストはソーシャルメディアを自身の家族愛を拡散する場所として利用する。たとえば、インスタグラムのアカウントは閉鎖したが、バレンタインデーに再開し、自身と妻との写真を載せた。

ウェストは同時に、ソーシャルメディアで作品の販促もする。現在までの最新アルバム『ザ・ライフ・オブ・パブロ(The Life of Pablo)』発売時には、ストリーミングサービスのタイダル(Tidal)でしか聴けないとツイートし、これを受けて間もなく、同サービスはAppleのApp Storeでもっともダウンロードされたアプリとなった。また、2016年5月には自身のポップアップストアをTwitterのみで告知し、最近もニューアルバムの発売日時をツイートしている。

6月1日

マーケターであれば、ビジネス目標全体を踏まえ、自社のソーシャルプロフィールをどう使えば各目標を達成できるのか、あるいは少なくとも達成の助力になるのか、よく考えると良いだろう。ウェストは人々に自身の音楽を聴かせ、自身の商品を買わせている。マーケターであるあなたは、人々に何をしてもらいたい?

4.情熱を見せる

ウェストのツイートからは、内容にかかわらず――アーティストとしての成功に関するものでも、「オリジナルパーカー」の定義についてでも――(「リアルタイム」に綴っていく本という形で)個人的見解を共有したいという思いがはっきりと伝わってくる。

クルマには4つのホイールがある。パーカーにはフードがついている。「これはオリジナルのパーカーだ」と、面白いことをいうヤツがいる。兄弟…それは単なるパーカーだ。

オンラインでフォローできるアカウントはいまや数百万に上り、ユーザーは多種多様なソーシャルプラットフォームで思い思いに楽しむことができる。そんななかで人々とのつながりを築くには、そこに何らかの情熱があることが絶対条件となる。

「間違いない、カニエは心から考えている」と、ロストラム・レコードのジャクソンは語る。

もちろん、マーケターが熱くなり過ぎると、ブランドにトラブルを招きかねない。つねに慎重を期し、ツイート前によく吟味したほうが良いのは確かだ。しかし、ウェストの例に明らかなように、だからといって躊躇してしまっては意味がない。Twitterであれ、ほかのソーシャルメディアであれ、ひとつのポストがどれほど大きなインパクトを与えうるのか、考えて欲しい:あなたは単に「いいね」が欲しいだけなのか? それとも会話をはじめようとしているのか?

Kerry Flynn(原文 / 訳:SI Japan)