「女性が下に見られているのは間違いない」:職場での「性差別」、元エージェンシー幹部の告白

#MeToo(#ミートゥー)や#Time’s Up(タイムズアップ:#MeTooに続くセクハラ糾弾運動)といったムーブメントがニュースをにぎわし続けるなか、職場環境における男女不平等に対する認識は以前にも増して高まっている。

しかし、ある元エージェンシー幹部によれば、メディアエージェンシーには、これまでほどあからさまではないものの、依然として性差別がはびこっているという。匿名を条件に本音を語ってもらうDIGIDAYの告白シリーズ。今回は、ある女性エグゼクティブが、以前働いていたエージェンシーで日常的に行われていた性差別が、組織のカルチャーにも個人のキャリアにも影響を及ぼし、仕事を辞めなければならないほどだったことを明らかにしてくれた。

以下、インタビューの抄訳だ。一部編集してある。

──そのメディアエージェンシーでは、どんな性差別があった?

私はホールディンググループエージェンシーのシニアパートナーという立場だったのにかかわらず、エグゼクティブチームの男性たちが誰もやらされたことのないような厄介な仕事をいろいろと命じられた。誰も対応したくないような問題が発生すると、いつも私が送り込まれる。アメリカ中西部まで出張し、あるチームに、東海岸に移ってこない限りあなたたちの職はもうない、と伝えるような仕事もあった。しかも私の担当業務ではないのに、だ。上司は「どうなったか電話で知らせてくれ」というだけで、それ以上のサポートはなかった。

男性エグゼクティブたちが陰で私を笑い者にしているのが、ひしひしと感じられた。細かいところ以外でも、私はクライアントにサーチを売り込む部門の責任者として、その先のキャリアがうまくイメージできなかったのに対して、同僚男性たちはかなり明確なキャリアパスを構想していた。

──ほかにも性差別の具体的な例を挙げてほしい

マーケティングの世界には間違いなく女性蔑視があり、女性はそれにうまく対応しなければならない。特に私が働いていたようなメディアエージェンシーには、女性を受け入れる空気があまりなかった。何か戦略を提案しても、見下したような反応をされることが多い。ソーシャル部門とサーチ部門、両方の収益をメインネットワーク全体で増やす戦略を提案したところ、あるシニアエグゼクティブが上から目線で意見してきたことがあったのを覚えている。彼と同じような立場にいる男性たちは大抵そんな感じで尊大だった。

クライアントが開催するイベントに、スポンサーとしてGoogleとFacebookについてもらいたいというアイディアを出したところ、そのシニアエグゼクティブがしてきたフィードバックが、ほぼ「その2社との付き合い方には注意したほうがいい」という内容だけだったこともあった。そんなに酷いことを言われていないじゃないかと思うかもしれないが、言い方が本当に横柄で、馬鹿にしていたのだ。GoogleやFacebookと仕事をするのに、慎重に進めるのは当然のことだ。「私はあなたが思っているより、よっぽど優秀な人間だ」と、胸のなかでつぶやいた覚えがある。

──エージェンシーでの経験をかなり積んでいても、そのエグゼクティブの態度は驚きだった?

驚きはしなかったが、女性に対して間違った態度を取る会社であるということを象徴していたと思う。会社も士気が下がっていることは承知していて、どうにかしてほしいと私に頼んできた。その前に働いていたエージェンシーで、同じような取り組みをしていたからだ。もう少し小さなグループに転職して、そこで3年働いていたのだが、このホールディンググループに戻り、性差別の問題に取り組む仕事をすることになった。日常的な性差別は、なぜここまで悪化するかというところまで酷くなっていて、私はそのことについて考え続けた。1年ほどその仕事をしたあとに、再びこのホールディンググループを辞めることにした。いまは自分で会社を経営している。

──2度目の退職を決めた理由は?

会社のカルチャーを変えるために私が提案したことのひとつに、エグゼクティブチームがほかの社員からの質問に答える定期的なミーティングを開催することがあった。このミーティングへの準備を進めるなか、私はエグゼクティブチームに、この取り組みへの熱意をどう示すべきか、前向きな態度を示し続けることがなぜ重要なのかを指導していた。

ところがミーティングがはじまると、女性エグゼクティブのひとりが皆の前で皮肉を込めて、この取り組みは「役に立たない、きれいごとではないか」と質問をしてきたのだ。建設的な批判とは、とても言えない。しかも、最悪なのが、彼女こそが、エグゼクティブチームはリーダーシップ上の問題をサポートしてくれるライフコーチに来てほしがっていると、私に個人的に伝えてきた人物だったことだ。

ミーティングのあと、私はその場に座ったまま泣いてしまった。これまで仕事をしてきたなかではずっと、男性同士よりも女性同士のほうが、互いを脅威に感じていたように思う。

──エージェンシーには、女性エグゼクティブにそんな振る舞いをさせてしまうカルチャーがある?

エージェンシーで偉くなろうと思ったら、性別に関係なく、ある程度は上にへつらわなければならない。しかし、私がエージェンシーで仕事をしていたころには、高い立場にいる女性リーダーたちがその状況をさらに悪いものにしていた。エージェンシーの仕事は競争が激しく、過酷なので、そこで働く人たち、特に女性たちが互いに攻撃し合ってしまう。健全な環境とは言えないし、組織の上の方に立つ人たちのあいだでは主導権争いも激しく、皆がお互いをライバル視している。

──自分で会社を経営しているいまでも、仕事において性差別を経験することはあるのか?

資金を調達しなければならないのだが、ある元上司から投資を受けるのがひとつの方法だと考えている。この上司は例のホールディンググループを辞めて、自分のエージェンシーを経営しているのだが、その彼に最近、自分のスタートアップを売り込んだ。まともに取り合ってもらおうと思ったら、元上司の機嫌を取るしかない。

吐き気をおぼえるが、これは彼をうまく丸めこむためだけのことだ。それで私の事業に投資させられるなら、全然悪いとは思わない。悲しいかな、広告業界の現状は非難されるべきものだが、自分の利益のためには、こうした問題にも賢く対処するしかない。

Seb Joseph (原文 / 訳:ガリレオ)