記事のポイント 一般的にZ世代はAIを積極的に仕事に活用しており、約40%がAIを職務に組み込むことに期待している。 Z世代の41%がAIについての知識不足や詳しそうに振る舞うことへの不安があり、X世代の労働者の5分の1 […]
- 一般的にZ世代はAIを積極的に仕事に活用しており、約40%がAIを職務に組み込むことに期待している。
- Z世代の41%がAIについての知識不足や詳しそうに振る舞うことへの不安があり、X世代の労働者の5分の1未満(18%)も同じ気持ちを告白している。
- AIを仕事で使うことは「ズルである」という考えから、AIの使用を上司に伝えることに不安を感じるZ世代がおり、約42%がこの問題に神経質になっている。
Z世代がいかにして仕事にAIを取り入れているかという話題には事欠かない。しかし、不足しているのは確かなデータだ。我々は最新の統計を収集し、労働力としてもっとも進歩的な世代のひとつが、大変革をもたらすこの技術を実際にどのように最大限に有効活用しているか、その詳細をお伝えしたいと思う。
Z世代が実際にどのようにAIを活用しているのか、その数字を見てみよう。
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新世代の労働者はAIに興奮しているか?
実際、彼らは興奮してはいるが、たとえば、この技術が最終的には自分たちの親たちを失業させる可能性があるという事実など、考慮すべきいくつかの微妙な意味合いも含んでいる。ソーシャルメディアアプリのピクニック(Picnic)がZ世代のユーザー2442人を対象に行った調査で、彼らの45%がAIが親たちの仕事や、彼らが興味を持っている職業に取って代わるのではないかと懸念していることがわかっている。ただし、同じ調査によると、AIが社会や世界にとってよいものではないと考える回答者はわずか10.7%だった。
一般的に、若い世代の労働者の大部分はこの技術を熱心に探求している。ソフトウェア会社リングセントラル(RingCentral)の委託を受けてイプソス(Ipsos)が1000人の米国人を対象に実施した最新調査によると、若い労働者の40%近くが、自分の職務にAI機能を組み込むことに期待を寄せている。そして驚くべきことに、53%が、長い目で見ればAIは職場にポジティブな変化をもたらす可能性があるとさえ考えている。
リンクトイン(LinkedIn)のデータによると、Z世代はパンデミックのあいだ、オンラインの学習コンテンツの視聴に学習者1人当たりで50%多くの時間を費やしていたという。そして、その学習意欲はAIにも及んでいる。リンクトインの欧州・中東・アフリカ(EMEA)および中南米(LATAM)のタレント・ソリューション担当バイスプレジデントであるオリビエ・サベラ氏は、「AIを活用したコーチングは、すべての人を助けるだろう」と述べている。
「仕事を始めたばかりで、課題や問題に直面したときに参考にできる実体験がそれほど多くないZ世代のプロフェッショナルにとって、これは、自分のキャリアを導き、どのようなものであれ、プロフェッショナルとしての目標を達成するために必要な専門知識やコースに素早くアクセスできる本当に便利なツールになり得る」。
Z世代の労働者のなかに、AIが自分たちに取って代わるかどうかを心配している者もいる?
端的に言うと、答えはイエスだ。Z世代がAIをもっとも活用できる世代だと思われていることを考えると、少し意外に聞こえるかもしれない。しかし、その期待の重みが、実際のところ若い労働者たちを不安にさせている。リンクトインが18歳以上の労働者2037人を対象に2023年夏に行った調査では、これがもっとも重要な結論だった。
それによると、Z世代の41%がAIについて実際よりも詳しいふりをしていることを認めている。対照的に、X世代の労働者の5分の1未満(18%)が同じ行動を告白している。
まるで、Z世代はAIについて知らないことへの不安感と闘っているかのようだ。実際、この調査では彼らの半数近く(45%)が、このテクノロジーについて自分が望むほど十分な情報を得られていないことに不安を感じていることが明らかになっている。
Z世代はAIを仕事で活用することを上司にどう伝えているのか?
ほとんどの人にとって、AIを活用しているという事実を上司に伝えることは、いくつかの不安を呼び起こす可能性がある。同僚より不当に優位に立つと受け取られるかもしれないからだ。
興味深いことに、シント(Cint)がこの夏に英国で1000人を対象に実施した調査によると、このような不安は年配の世代よりも若い世代に多いようだ。リポートによると、Z世代の42%とミレニアル世代の40%がこのように感じているという。同社が7月に925人を対象に行った別の調査によると、オーストラリアでは45%がAIを使用していることを上司に伝えることに神経質になっていると答えている。また米国では、1000人を対象にしたシントの調査によると、Z世代の44%がAIを使っていることを上司に伝えることに神経質になっているという。
ベンチャーファンドのサイエンス(Science Inc.)のCEOであるマイケル・ジョーンズ氏は、次のように語った。「我々はティーンエイジャーとセッションを行ったが、彼らはAIを『ズル』だと思っているようで、AIを使うことに消極的だ。こうしたツールが若い世代だけでなく、年配の世代にも広く受け入れられるようになるには、文化的な受容が必要なようだ。現実はただの新しいツールに過ぎないのに、AIを使うことをズルだとは思う必要はない」。
Z世代はAIにどれほどの可能性があると考えているか?
予想通り、この世代はAIをかなり楽観視している。前述のピクニックの調査によると、調査対象者の実に44.5%がAIには世界を変革する力があると信じている。多くの点で、AIはすでに彼らの生活の形を変え始めている。
たとえば、米国の成人1276人を対象としたイプソスの調査によると、Z世代は金融アドバイスにAIを利用する可能性がベビーブーマーと比べて2倍以上ある。Z世代の成人の20%がAIを活用したファイナンシャル・アドバイザーを利用する可能性が「ややある」または「非常にある」と回答したのに対し、ベビーブーマーやそれより上の世代ではわずか9%だった。
「Z世代にもミレニアル世代にも属さない人々は、日常的なプロセスでAIを使うことに対して、あまり積極的ではないことに気づいた」と、eコマース企業ハイキー・エンタープライゼス(HighKey Enterprises)の23歳のCEO、ルーク・リンツ氏は言う。「そうした世代は、AIを自分たちや自分たちの仕事に対する脅威とみなし、自分たちの考えに固執しているようだ」。
[原文:The numbers behind how Gen Z is really using AI]
Cloey Callahan and Seb Joseph(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:島田涼平)