ファストファッションジュエリーのオンライン小売バウブルバー(Baublebar)では、最初のラフスケッチからサイト公開までの製作デザインサイクルは、わずか数週間しかない。共同創業者のダニエラ・ヤコボフスキー氏によると、このペースを維持するため、チームはトレンド、バウブルバーの顧客の共感を呼ぶもの、いま流行りの色や柄、デザインを明確に把握しておく必要があるという。
ヤコボフスキー氏は、それらのアイデアの着想を得るため「我々は活用できる、あらゆるタッチポイントを活用している」と語る。なかでも、いまもっとも重要なタッチポイントはインスタグラムだ。
さらに次のように述べる。「インスタグラムでランウェイを追い、インスタグラムでトレンドを予測する。『このシーズンの色はこれだ』という明確なひとつの答えはないが、手掛かりがつかめる。インスタグラムのあちこちで大ぶりのイヤリングを目にするのならば、オーディエンスに前もって示して反応を見てみる。肩を出したトップスがインスタグラムで人気ならば、アクセサリーをそのトレンドに合わせてみる」。
ファストファッションジュエリーのオンライン小売バウブルバー(Baublebar)では、最初のラフスケッチからサイト公開までの製作デザインサイクルは、わずか数週間しかない。共同創業者のダニエラ・ヤコボフスキー氏によると、このペースを維持するため、チームはトレンド、バウブルバーの顧客の共感を呼ぶもの、いま流行りの色や柄、デザインを明確に把握しておく必要があるという。
ヤコボフスキー氏は、それらのアイデアの着想を得るため「我々は活用できる、あらゆるタッチポイントを活用している」と語る。なかでも、いまもっとも重要なタッチポイントはインスタグラムだ。
さらに次のように述べる。「インスタグラムでランウェイを追い、インスタグラムでトレンドを予測する。『このシーズンの色はこれだ』という明確なひとつの答えはないが、手掛かりがつかめる。インスタグラムのあちこちで大ぶりのイヤリングを目にするのならば、オーディエンスに前もって示して反応を見てみる。肩を出したトップスがインスタグラムで人気ならば、アクセサリーをそのトレンドに合わせてみる」。
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業界で存在感を増すインスタグラム
ファッション業界においてインスタグラムは、ユーザーがブランドとの繋がりをもてるナンバーワンのソーシャルプラットフォームになった。毎年2回開催されるニューヨーク・コレクション(New York Fashion Week、NYFW)に関して、デジタルシンクタンクのL2が発表した最近のレポートによると、インスタグラムが集めたエンゲージメント(いいね、コメント、シェア)は、ソーシャルメディアのなかでずば抜けていた。2016年秋向けのNYFW期間(2016年2月開催)中、1300万件のインタラクションのうち97%はインスタグラムで、残りはFacebookが2%、Twitterが1%だったという。
結果として、ファッション小売業界では、単にフォロワーやいいねを集める場所というだけにとどまらないインスタグラムの活用法が増えつつある。インスタグラムは消費者と業界に関する情報の豊かな鉱脈となり、製品デザインのコンセプト決定、顧客との交流、コンテンツマーケティングのリソースや広告の配分先の判断などに活かされている。
「インスタグラムは最初の接点」
ファストファッションのeコマース企業、ブーフー(boohoo.com)は、広く浅いアプローチによってファッションを販売している。同社のサイトには毎週500種類の製品が登場するが、各製品の販売数は100点だ。そして、売れ行きが好調な製品については、色、サイズ、全体の在庫を増やすことに資金を注ぐ。
そしてサイトで何がうまくいくのかを知るために、ブーフーではインスタグラムを利用する。
米国におけるマーケティングを担当するバイスプレジデントのナタリー・マクグラス氏は、「需要を知るためにソーシャルチャネルに留意しており、インスタグラムは顧客との最初の接点として、製品がベストセラーになるかどうかを判断するのに使っている」と語っている。
オンライン小売のエバーレーン(Everlane)は2016年1月、インスタグラムで非公開のアカウント(@EverlaneStudio)を開設し、つながりの深い顧客で構成された一種のフォーカスグループをインスタグラム上に作り、新しい製品のデザインなどについて議論に関わってもらった。ソーシャルメディア責任者であるレッド・ギャスケル氏によると、これはいわば「インスタグラム・インキュベーター」で、メイン・アカウントにあるノイズを取り除き、ファンにはその見返りとして、新製品にいち早く触れられるようにしているという。
アンクルブーツのコレクションが来週登場。@everlanestudioなら今日入手できます。
新規ブランド立ち上げにも有効
インスタグラムはまた、新しいアパレルブランドを紹介するのにも有効だ。オンラインファッション誌「フーホワットウェア(WhoWhatWear)」は2016年、米量販店のターゲット(Target)と協力して、はじめてのリテイルブランドを立ち上げた。同誌の親会社であるクリーク・メディア・グループ(Clique Media Group)の共同創業者でCEOのキャサリン・パワー氏は、コレクション公開に向けたアイデア集めをチームではじめた際、インスタグラムをよく使ったという。
パワー氏は短い動画を撮影し、「フーホワットウェア」のアカウントから160万人のフォロワーたちに、クローゼットのなかにない服は何かと尋ねた。 そのフィードバックから、若い女性にはファッショナブルで手ごろな値段のビジネスウェアの種類が少ないことがわかった。
「彼女たちは仕事中もアフターファイブも着ていられる服を求めていたが、当初、我々はそのようなデザインの服をターゲットにて販売するつもりでいたわけではなかった。しかし、フォロワーたちから何が欲しいかを教えてもらうことで、いまではそれがもっともよく売れる商品になっている」と、パワー氏は語る。インスタグラムでは顧客のエンゲージメントを第一に考えるべきということだ。
ソーシャルメディアエージェンシー、ランドリー・サービス(Laundry Service)のCEO、ジェーソン・スタイン氏は、「消費者の声と、それに対して機敏に反応してくれる人たちの声に耳を傾けなければならない」と話す。
インスタグラムでトレンド探し
フットワークの軽い小売業者はインスタグラムで影響力のあるブロガーや編集者が着ているものから、いまホットなアイテムを迅速に判断している。ビジュアルコマースのプラットフォーム、キュラレート(Curalate)でCEOを務めるアプ・グプタ氏は、次のように述べる。
「フォローやいいねを無駄にしてはいけない――インスタグラムで起きていることをどう活かすか、もっと頭を働かせる必要がある。『トレンド探し』はよい出発点だ。頭のいい小売業者は、ハッシュタグに注目することで街のスタイルやいまクールなものを把握している。自社製品のことではない。人々が何をどのように着ているのかを見抜くのだ」。
先述したファストファッションのeコマース企業、ブーフーのマクグラス氏によると、インスタグラムはいま何が流行で何が廃れているのかを突き止めるのに有用で、同社ではソーシャルチームがそれを新しいコレクションを開発する製品チームに報告するという。
たとえば今年の春は、ファッションブロガーやインフルエンサーのソーシャルメディアアカウントにボマージャケットがよく登場していて、ブーフーでいまベストセラーになっている。しかし、白のトレーナーはヌードカラーに押されて消えつつある。
顧客はインスタグラムに存在する
多数の高級ブランドを扱うオンラインファッション販売のリボルブ(Revolve)では、4名のソーシャルメディアチーム全員が、絶えずインスタグラムで最新のトレンドを探している。
リボルブのブランドマーケティング担当バイスプレジデント、ライサ・ジェローナ氏は、「当社のソーシャルチームは全員、ひらめきを求めてインスタグラムやタンブラーを巡回している。そこに顧客がいるから、そうする必要があるのだ。顧客が知っているトレンドを知らなければならない」と語る。
リボルブでは、新しいコレクションを発売すると、そのプロモーションにインスタグラムを活用する。社内の「ポートフォリオブランド」はインスタグラム限定の公開になっており、最新ブランド「プライバシープリーズ(Privacy Please)」は発売第1週で、2位に225%以上の差をつけてもっとも売れたという(具体的な売上高は公表されなかった)。
プラットフォームの枠を越えた力
小売業者は、インスタグラムで得られる消費者インサイトは、女性たちが試そうとしているトレンドにとどまらないことを理解しつつある。たとえば、インスタグラムをオリジナルコンテンツの実験場にしているところがある。テーマや主題が消費者の共感を得れば、ブログに投稿するコンテンツや有料広告でもよい成績を収めると考える理由になるわけだ。
バウブルバーのヤコボフスキー氏は、「Facebook広告に多額の予算を投入する前にリテイルマーケターは、インスタグラムで何を見て、何に反応しているのかを確かめ、共感してもらえるものを割り出す。資金を使う前にテストするわけだ」と述べた。
日曜の午後は #花 に限る。#baublebar #baublebabes #30Days30Ways @looklingerlove #earrings #leather
ブランドは、あるソーシャルプラットフォームで機能するコンテンツが、ほかのすべてのプラットフォームでうまくいくわけではないと頭にたたき込まれている。しかし、グプタ氏によれば、インスタグラムはそれが当てはまらないという。
「たいていの小売業者の製品ページの画像より、インスタグラムの画像の方が説得力がある。インスタグラムの画像をどう使うか、ブランドは賢くなってきた。自社のWebサイトに使えるし、アプリにも、電子メールにも、広告にも利用できると考えている」。
顧客がインスタグラム上でバウブルバーのネックレスの写真にいいねをして、その画像がFacebook広告にも登場すれば、その顧客は購入せずにいられないのではないかとグプタ氏はいう。「ブランドは、いわば広告に資金を投入する前に広告素材を実験しているのだ。そして、ユーザーがその広告を再び見れば、インスタグラムの投稿を思い出し、財布の紐が緩みやすくなる」。
追随する勢力も存在する
しかし、新しいソーシャルメディアたちがブランドの関心とリソースの獲得を争っている。業界におけるインスタグラムの影響力は、必ずしも永遠に保証されているわけではない。
たとえばSnapchat(スナップチャット)が、フォロワーからの「調査」を行うという新しいエンゲージメントの手法を小売業者に提供しはじめた。マック(Mac)やバーチボックス(Birchbox)などのブランドは、Snapchatの「調査」サービスの実験をするため、フォロワーにSnapchatのストーリー内にあるいくつかの商品から自身が気に入ったもののスクリーンショットを撮るように求めている。「フーホワットウェア」のパワー氏は、米量販店ターゲット向けのブランドのローンチのため、インスタグラムに動画を投稿した当時は、Snapchatを利用していなかった。
「ある会議のなかで、試しにSnapchatのストーリーで柄をいくつか紹介し、気に入った柄のスクリーンショットを撮影するようユーザーに呼びかけてみた。結果はその会議が終わらない内に出て、かなり大きな手応えだった」。
Hilary Milnes (原文 / 訳:ガリレオ)
Photo by baublebar