この2年間、アパレル小売の エクスプレス (Express)はデジタル売上を向上させる道を歩んできた。2020年初頭、面積の有効活用と利幅の改善のため、一部店舗の閉鎖と他店舗の縮小を開始した。それ以外に、自社ウェブサイトのeコマース機能の改善と、ショッピングに使えるモバイルアプリの構築への投資も行っている。
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この2年間、アパレル小売のエクスプレス(Express)は、デジタル売上を向上させる道を歩んできた。
同社は2020年初頭、面積の有効活用と利幅の改善のため、一部店舗の閉鎖と他店舗の縮小を開始した。それ以外に、自社ウェブサイトのeコマース機能の改善と、ショッピングに使えるモバイルアプリの構築への投資も行っている。先月には、デザイナーのレイチェル・ゾー氏によるコミュニティ・コマース・プログラム(Community Commerce program)を導入し、スタイリスト志望者が自分用のエクスプレスの店舗を運営し、売上からコミッションを得ることができるようにした。
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これらの変更に加え、今年はよりフォーマルなファッションの購入が復活したことから、エクスプレスはパンデミックを乗り切りオンラインの売上を伸ばすことができた。同社の2021年第3四半期決算では、eコマース売上が前年同期比26%増となり、同社の2021年通期の見通しが改善された。売上高は4億7200万ドル(約538億円)と、2020年に比べて47%増加した。また2020年同期の9000万ドル(約103億円)の損失に対し、1300万ドル(約14億8000万円)の利益を計上した。
エクスプレスのeコマース担当シニアバイスプレジデントであるブライアン・シーワルド氏は、同社がどのようにして2024年に10億ドル(約1140億円)規模のeコマースビジネスを作り上げようとしているのか、米モダンリテールとの対談において説明した。以下の対談内容は簡素さと明瞭さを考慮し、多少の編集を加えたものである。
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――エクスプレスのオンラインビジネスは急速に成長した。eコマースのどのような新機能やプログラムが成長に貢献したと考えるか?
その多くは、eコマースの目標を達成するために作成した4つの主要な柱に属する。4つの柱とはパーソナライゼーション、オムニプレゼンス、フィット&スタイル、そしてコミュニティだ。我々は昨年末から今年にかけて、主にユーザーが作成したコンテンツを増強させることに重点を置いてきた。商品の多様性を示すためにコーディネートのコンテンツを増やしたことも役立った。
eコマースチームの職務は、商品の多様性を自宅にいる買い物客に示し、届けることだ。また、多くの愛用者がいるモバイルアプリの改善にもより一層力を注いできた。ウェブサイトの機能についても、常にテストを繰り返し、顧客の反応をみている。最近では、ソーシャルメディアと自社ウェブサイトの両方においてソーシャルコマースのテストを開始した。これは、大きなチャンスがある分野だと考えている。
――よりフォーマルな着こなしの復活は、御社のeコマース戦略にどのような影響を与えたか?
人々は再びきちんとした服を着たいと考えている。オフィスウェアや、ドレスビジネス、メンズスーツといったカテゴリーへの移行が見られる。よりカジュアルなスタイルも成長しており、デニム類も好調だ。
しかし、顧客は自分たちの今のワードローブや、カートのほかのアイテムとどのように服をコーディネートできるかを知る必要がある。今年はプロモーションを控えめにしていたが、これは今後数年間も続ける予定だ。また、以前は価格帯について伝えることを重視していたが、現在はファッションの側面を伝えることを重視している。
――新しいコミュニティ・スタイリング・プログラムは、デジタル戦略のなかでどのような位置を占めるのか?
基本的な発想は、モール型店舗から、スタイリング・コミュニティが主導する店舗に進化させるということだ。我々のブランドへの熱意があり、起業家精神旺盛なスタイルエディターを募集している。
人々がより快適になったところで、スタイルエディターを実店舗環境に迎え入れる。これにより、さらに多くのショッピングが誘発されると考えている。店舗ではライブイベントの開催や、体験型ショップの展開も行っている。
――eコマースに特化した新しい方向性において、店舗はほかにどのような地位を占めるのか?
我々は、フィジカルな体験とデジタルの体験の両方を結び付ける必要性を理解している。オンラインで購入し、店舗で受け取るスタイルはこの前四半期に大きく成長し、この分野に成長の機会があると捉えている。そのためには、モバイルがその鍵になると考えている。さらに具体的にいうと、アプリが店頭でのショッピングの手助けとして機能するだろう。2022年から2023年の早期にかけて、パーソナライズされた体験とチェックアウト体験の合理化で、より高度に進歩させたい。たとえば、現地のエクスプレス店舗でショッピングを行ってから、そこで注文を受け取れるようなフィルターを提供するといったことだ。
――顧客が従来の習慣に戻りつつある今、この勢いをどのように生かすことを計画しているか?
我々の総合的な戦略は必ずしも変わらないが、買い物客の体験を向上させる可能性がある新しいものを試し続ける予定だ。3年前にはライブショッピングは当社の構想に含まれてはいなかったが、顧客の新しい習慣に対応するため、より新しいフォーマットを試してみる必要がある。結局のところ、顧客が自信を持って当社の商品をカートに入れることを望んでいる。
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Express