従来のショッピングモールはテクノロジー主導のソリューションに追いつこうとしている。プレイスワイズ(Placewise)は、eコマース導入のソリューションをショッピングセンターに提供している。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
大型デパートは取り扱い商品を革新して小売スペースの機能を変革しているが、従来のショッピングモールはテクノロジー主導のソリューションに追いつこうとしている。
デパートは長い間、店内販売に注力して、顧客を店内に呼び込むためのマーケティングに莫大な費用を費やしてきた。しかし、パンデミックが始まって以来、オンラインサービスがいっそう重要になっているのは、顧客がいる場所(自宅)に出向くためのテクノロジーを戦略に統合すべきことに小売業者が気づいたからである。
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モールのデジタル化サービスを提供する2社
プレイスワイズ(Placewise)は、ショッピングセンター向けにeコマース導入のソリューションを提供している。顧客には、ウィスコンシン州のザ・コーナーズ・オブ・ブルックフィールド(The Corners of Brookfield)やノルウェーのクーベン・ヘーネフォス(Kuben Hønefoss)モールなどが含まれている。プレイスワイズは、1月11日、バンブーザー(Bambuser)と協働し、ライブストリーミングを提供したり、プレイスワイズが最近ローンチした複数のモールを抱えるブランドのために一元管理可能なeコマースプラットフォームとして機能するマーケットプレイスと提携することを発表。バンブーザーは、これまでにサムスン(Samsung)、クラランス(Clarins)、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)、資生堂、テッドベーカー(Ted Baker)、クリニーク(Clinique)などの多くのブランドと協働している。
プレイスワイズのCEO、ピーター・トンスタッド氏はこう述べている。「これは、ショッピングセンター向けの完全なエンド・ツー・エンドの統合eコマースサービスだ。実際に小売テナントと統合して、製品データと在庫フィードにアクセスできる」。商品データは個々の店舗にマッピングされているので、デパートはライブストリーム中に在庫があるものを正確に提示することができるようになる。
「これらはすべて統合された店頭で提供される」とトンスタッド氏。「消費者は、複数の小売店で購入したものを一括で支払うことを選択できる」。このマーケットプレイスは現在ノルウェーで試行されているが、今後数カ月間のうちにはヨーロッパの20カ所のショッピングセンターに、米国では来年に導入される予定だ。消費者が自分にとって魅力的なショッピング方法を受け入れるにつれて、従来のショッピングモールは戦略の再考を余儀なくされている。
モールのライブストリーミングで購入
プレイスワイズが提供するライブストリーミングソリューションを使うと、顧客は地元のショッピングセンターが開催するライブ配信を観て商品を購入し、店舗での受け取りや宅配などさまざまなオプションから選択することができる。バンブーザーCEOであるマリアム・ガラマニ氏によると、ライブストリーミングの最大の特徴は、オフラインとオンラインの架け橋だという。「我々は、顧客とブランドのあいだに自然で直接的なモノローグを生み出している」。
今回ノルウェーでライブストリーミングを実施した際、消費者が主に注目したのは地元の店舗だった。これは、ハイパーローカルなエンゲージメントと購入客とモール間の関係強化の機会があることを示唆している。「我々が協働しているモールの多くは視聴者の数に驚いている」とガラマニ氏は言う。「一般的に、チャットエンゲージメントは平均で約27%、カート追加率は15%だ。視聴者はサイトに約9分間アクセスしている」。
バンブーザーとプレイスワイズは、それぞれのモールパートナーから毎月固定の料金を受け取っている。グローバル展開のモールオーナーらは2社の共同サービスを購入することができる。ショッピングセンターには厳選された小売店があるのが常だが、eコマーススペースにおいてそれを再現することには同様のメリットがある。トンスタッド氏は、「ショッピングセンターには小売店全体でさまざまな製品在庫がある。優れたビデオコンテンツで、マーケットプレイスの品揃えの一部をいつでも紹介できるだろう」と述べている。
変わりつつある店舗スペースの機能
実店舗へのトラフィックの優先度が下がるにつれて、デパートは小売スペースを利用する方法をいろいろ検討している。店舗スペースをオンライン在庫の保管場所として使っていたが、現在はライブストリーミングのスタジオとして使っており、商品を紹介するためにマネージャーがカメラの前に立っている。「顧客の多くがショッピングモールの再構築に取り組んでおり、いまではライブショーやライブイベントを開催するスタジオが店舗の入口の役目を果たしている」とガラマニ氏は述べている。
トンスタッド氏は、「もっともよい業績を上げている顧客はデジタルの流入がリアルの70%を超えている。もしあなたがショッピングセンターを運営していて、買い物客の70%以上と直接的な接点がある場合、あるいは開始時点では10%だとしても、同サービスはテナントにとって有益な新コミュニケーションチャネルとなるだろうものだ」と語っている。ショッピングモールでの対面イベントとは異なり、ライブストリーミングでは視聴者に関する豊富なデータも得ることができる。
[原文:The digitization of the shopping mall]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:猿渡さとみ)