ランジェリーブランド、ジャーネル(Journelle)の共同CEOであるグイド・カンペッロ氏とサプナ・パレップ氏によると、Z世代の顧客を取り込むにはシンプルな方法があるという。それは、顧客と似ているモデルを起用することだ。
ランジェリーブランド、ジャーネル(Journelle)の共同CEOであるグイド・カンペッロ氏とサプナ・パレップ氏によると、Z世代の顧客を取り込むにはシンプルな方法があるという。それは、顧客と似ているモデルを起用することだ。
ジャーネルは、過去6カ月間、この前提をもとにZ世代をターゲットにしてきた。カンペッロ氏によると、モデルエージェンシーを通じてオンライン商品ページのモデルを選ぶ代わりに、協働した写真家を通じて21歳未満のモデルを探すようになったそうだ。1月にカメラマンからモデルを紹介してもらうこの方法を取り入れて以来、Z世代の女性顧客ベースが2倍になった。そして、意外にも、Z世代の男性ベース(通常はギフト部門から購入する人たち)が3倍になったのだ。
コロナで生まれた、モデルによる自宅での撮影方法
ジャーネルは、スタジオで大規模な撮影をする代わりに、1月にモデル12人に製品を送りそれぞれの自宅で撮影してもらった。パンデミックでは特に自宅での商品撮影はブランドたちには人気を博したが、スタジオ撮影がまた可能になった現在においてもこの戦略は理にかなっているとカンペッロ氏は言う。
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「こうして起用したモデルとの協働はすばらしいものだ。製品を20点ほど自宅に送れば撮影してくれるのだから。双方にとって面白くかつ簡単な方法であり、優秀な若いモデルと協働することができる」。
カンペッロ氏は、この方法で若いモデルを撮影するほうが経済的でもあると語る。彼によると、典型的なスタジオ撮影の費用は9万5000ドル(約1040万円)になることもあるが、自宅での撮影は3500ドル(約38万円)。同社マーケティングチームがオンラインストアの商品撮影を担当しているが、ライフスタイルイメージの方向性はモデルに一任している。
下着ブランド、パレードの場合
別の下着ブランド、パレード(Parade)は、ウェブサイト画像にZ世代の顧客を反映して成功を収めている。 CEOのキャミ・テレズ氏は、設立当初から顧客をマーケティングに反映することが重要だったと述べている。2019年の設立以来、キャンペーンで起用したモデルの大部分は24歳未満である。
「ランジェリーのように感情が絡むカテゴリーに革新をもたらすためには、顧客からの働きかけがなければならないとずっと信じていた」と5月にテレズ氏は述べた。「当社がこの分野で先駆者であり続けるために、顧客のフィードバックやインスピレーションが次に進むべき道筋を示してくれる」。
パレードの2020年の収益は、1000万ドル(約10.1億円)で、2021年には4倍の成長が予測されている。現在のリピーターは20万人を超える。ローンチ以来、同社の下着はZ世代のお気に入りとしてしばしば引用されている。テレズ氏は23歳、Z世代上限ぎりぎりの年齢だ。
痩せすぎ、若すぎモデルを避ける動向
若いモデルを使ってZ世代の顧客を取り込むのは効果的な戦略だが、それには落とし穴もある。若い女性たちには、伝統的なファッションモデルの起用や画像が示すボディイメージに悪影響を受けるという弱さがある。ケリング(Kering)のような大手ファッション企業体と、その傘下にあるグッチ(Gucci)やサンローラン(Saint Laurent)のようなブランドは、痩せていて美しくあるべきという重圧が消費者に与える影響を理由に、18歳未満のモデルは起用しないと約束している。
カンペッロ氏は、ほかのカテゴリーよりもモデルの体の露出が増えるため、下着の販売はとくに微妙だと述べている。彼によると、ジャーネルは、ブラレットなどの製品に18歳未満のモデルを起用してオンラインで批判された過去があるという。
「2018年と2019年には、過酷なファッションショーやハイレベルの仕事に若いモデルを起用することに反対する動きがあった。これは『ヴォーグ』アメリカ版から始まって多くのブランドに広まった」と述べるのは、マザーモデルマネジメント(Mother Model Management)の共同創設者、メアリー・クラーク氏だ。「しかし、商品撮影やキャンペーン、特にアメリカンイーグル(American Eagle)やアーバンアウトフィッターズ(Urban Outfitters)のような若者向けのブランドの場合、顧客を反映したモデルを起用することは実に理にかなっている」。
多様性とインクルーシビティが重要
パレードとジャーネルの両社は、若いモデルを起用する際に、肌の色、性同一性、サイズの多様性を強調するように努めている。たとえば、パレードのオンラインストアでは、プラスモデルを個別のカテゴリーに分けるのではなく、同じ製品を多様なサイズのモデルが着用している。
「この世代はインクルーシビティを非常に重要視している」とジャーネルのパレップ氏。「私が子どものころはどのモデルも痩せていて、同じように見えた。今はそうではないし、若い消費者はそれを望んではいない。我々がインクルーシビティの全範囲をしっかり網羅することが重要になっている」。
[原文:The benefits and pitfalls of using younger models to target Gen-Z customers]
DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:小玉明依)