「やめるわけにはいかない」:自粛ムードのなか、イベントを敢行したブランドの言い訳

DIGIDAY[日本版]編集部註:本記事の原文記事は3月12日に掲載された。米・ニューヨーク州では3月22日より、ロックダウン(外出制限)が実施されている

小規模な集会や飲食店でのハッピーアワーから、サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)、コーチェラ(Coachella)まで、右を向いても左を向いてもイベントが次々に中止されている。しかし、新型コロナウイルスがイベントにもたらす影響にまつわる悲観的な見方とはうらはらに、簡略化した形で、さらに用心を重ねた上で、イベント開催を決めたファッションブランドが少なくともひとつある。

150人の参加者を50人に

コンテンポラリーブランドのボーイミーツガール(Boy Meets Girl)は、(昔ながらのスマイリーマークのライセンス保有者である)スマイリー(Smiley)とのコラボレーションで、ニューヨークの小売店、オリーブ・アンド・ベティーズ(Olive & Bette’s)の最新限定コレクションを祝うイベントを2020年3月12日夜に開催する予定だった。何週間も掛けて計画してきたイベントだったが、ボーイミーツガールの創業者ステイシー・アイゲル氏とチームは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うパニックの広がりによりほかのイベントが中止されているのを見て、再考をはじめた。

チームのメンバーやオリーブ・アンド・ベティーズと話し合いを重ねたすえ、アイゲル氏は、特別ゲストとして予定していたTikTok(ティックトック)のインフルエンサー、マキシモ・リバノ氏の参加はなくなったが、イベントは行うと宣言した。もともと参加が確認されていた人数は150人だったが、50人に限定された。

アイゲル氏はこう話す。「ここ数日、我々は議論を続けた。だが、オリーブ・アンド・ベティーズは、狂騒的な小売り環境に対応してきた店だし、ソーホーにある店舗もまだ開いていて、うまく回っている。もちろん、軽く考えてはいないが、人々に孤立から抜け出してほしいと思うし、安全にできるのであれば、イベントを開催できない理由はない」。

「やめるわけにはいかない」

アイゲル氏は、イベントの実施にあたり、やり方を少し変更した。ゲストを減らしたことに加え、すべてのゲストが手指の消毒液を使えるようにしたほか、握手の代わりにピースサインをするようにゲストに求めるアナウンスをするという。

アイゲル氏によると、ニューヨーク市外から来る人の多くは参加の返事を取り消したため、ゲストの削減は難しくはなかった。

「地下鉄はまだ、いつもと変わらず混雑している」と、アイゲル氏はいう。「私がニューヨークへ来て20年経つ。私は2001年、同時多発テロが起きたのと同じ週に、トレードショーで自分のブランドを発表する予定だった。ショーには、レベッカ・ミンコフ氏など60人ほどのデザイナーが集まることになっていた。当然のことながら、イベントは延期されたが、少し遅くなったもののイベントは開催されたし、私のブランドにとってもニューヨークにとっても、それは良いことだったと思う。やめるわけにはいかない」。

新しいレストランのオープンも

この2~3日だけでも、マイケル・コース(Michael Kors)とアイリーン・フィッシャー(Eileen Fisher)が2020年秋のプレス向け内覧会を中止、マーケットプレイスのデポップ(Depop)はプレス向けイベントを延期、オリベラ(Olivela)は国際女性デー(3月8日)のイベントを、デニムブランドのマビ(Mavi)は2020年秋のプレスデーをそれぞれ延期した。こうしたイベント延期の発表は、必要な警戒策をすべて行い、「念には念を入れて」という米疾病管理予防センター(CDC)のガイドラインが言及している内容に沿ったものだ。

だがアイゲル氏は、敏感になり注意を払うことは重要だが、適切な対策を講じた小規模な集まりが実施できない理由はないという。

「昨夜もニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)の学生数人がイベントの準備を手伝いにきたが、彼らは何も恐れてはいなかった」と、アイゲル氏は話す。「恐怖感など微塵もなかった。私の友人が今週、新しいレストランをオープンした。夜11時まで営業していて、いつもお客で一杯だ。いま、深刻な状況にあることは明確だが、最終的には、警戒することは必要だが、動き続けなければならない」。

Danny Parisi(原文 / 訳:ガリレオ)