その150年の歴史の大部分を通じて、米ウイスキーブランドのジャックダニエル(Jack Daniel’s)は、親しみやすいアメリカ文化の香りを添えて、創業者のジャスパー・ダニエル(「ジャック」は彼のニックネームだった)の人生を前面に打ち出してきた。ソーシャルメディア戦略でも、その姿勢は変わらない。
ジャックダニエルのバイスプレジデント兼マーケティングディレクターであるビバ・コニエクズナ=サノ氏は、次のように述べている。「我々は50年以上にわたって、どのようにしてこのジャックダニエルのブランドを築き、どのようにそのストーリーを語るのか、というブランドマニフェストを保持してきた。大切なのは語ることであって、売ることではない。そして、ソーシャルメディアの成長により、これらのストーリーはいっそう伝わりやすくなった」。
その150年の歴史の大部分を通じて、米ウイスキーブランドのジャックダニエル(Jack Daniel’s)は、親しみやすいアメリカ文化の香りを添えて、創業者のジャスパー・ダニエル(「ジャック」は彼のニックネームだった)の人生を前面に打ち出してきた。ソーシャルメディア戦略でも、その姿勢は変わらない。
ジャックダニエルはノスタルジックな雰囲気が際立つ写真や動画を頻繁にシェアし、すべてのソーシャルアカウントで、同社の蒸留所が受け継ぐ豊かな伝統を垣間見る機会をファンに提供している。それはビジュアル面に限った話ではない。そのコピーにも、長きにわたって、その製法が大きく変わっていないことが反映されている。たとえば、ジャックダニエルのFacebookページに投稿された、テネシー州リンチバーグにある同社醸造所のこの写真は、1866年からほとんど何も変わっていないことを伝えようとしている。
ジャックダニエルのバイスプレジデント兼マーケティングディレクターであるビバ・コニエクズナ=サノ氏は、次のように述べている。「我々は50年以上にわたって、どのようにしてこのジャックダニエルのブランドを築き、どのようにそのストーリーを語るのか、というブランドマニフェストを保持してきた。大切なのは語ることであって、売ることではない。そして、ソーシャルメディアの成長により、これらのストーリーはいっそう伝わりやすくなった」。
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このブランドマニフェストには最近、若干の変更が加わった。ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)が報じているように、ダニエルは、これまでストーリーで語られてきたように蒸留をダン・コールから学んだのではなく、ニアリス・グリーンという男性(コールの奴隷の1人)から学んだのかもしれないということが判明したのだ。つい最近になってジャックダニエルは、こちらの方のストーリーを、蒸留所ツアーや創業150周年を記念するソーシャルメディアキャンペーンで採用しはじめた。
一貫したメッセージとストーリー
変更が加わろうと加わるまいと、ジャックダニエルは過去を蘇らせ続ける。2016年、同社蒸留所の150周年を祝うために、ジャックダニエルはブランドのソーシャルメディアキャンペーンに、ダニエルでもグリーンでもない新たな主役を指名した。世界規模の「バーレルハント(樽探し)」だ。これはFacebookを活用したスカベンジャーハントで、ジャックダニエルが蒸留された樽のひとつを獲得するチャンスをファンに提供するものだ。現地のFacebookページにはヒントがちりばめられ、ファンはそのヒントを手がかりに、世界中に隠された150個の樽を探し出す。
ジャックダニエルでは、世界各地の拠点で6人のメンバーが、現地チームのサポートを受けながら、同社のソーシャルメディアに対する取り組みを率いている。そのグローバルチームは、アーノルド・ワールドワイド(Arnold Worldwide)やメディアベスト(Mediavest)などのエージェンシーパートナーたちと緊密に連携し、国の違いを越えてブランドボイスとトーンが一貫性を保つようにしているという。
「消費者は一貫したメッセージを送り、一貫したストーリーを伝えるブランドにもっとも強く反応する」と、コニエクズナ=サノ氏は語る。だからこそ、ジャックダニエルの発祥をめぐる物語に登場してきたニアリス・グリーンという新たな要素は、いくぶんゆっくりと導入されているのだ(たとえば、グリーンの役割について話すかどうかは、ツアーガイドの判断にまかされている)。「我々はさまざまなブランドやWebページを世界レベルで展開しているため、そうすることがよりいっそう重要になっている」。
ソーシャルに再現した過去
コンテンツの点で言うと、カクテルや蒸留過程の写真と動画は、創業者ジャック・ダニエルや蒸留所に関する品々などの昔なつかしい写真とまったく同じ働きをする。コニエクズナ=サノ氏は、その理由として、クラフトカクテルや職人技に裏打ちされた蒸留過程に、前の世代以上に強く引きつけられる新しい世代のウイスキー愛飲者を考えているという。そういうわけで、ジャックダニエルはカクテルのレシピや、「チャコール・メローイング」など、蒸留過程のさまざまな過程に関連した写真と動画を、頻繁に使用する。
今週末は盛大にテールゲートパーティ。#JackDaniels(1.5オンス[約45ミリリットル])+レモネード(3.0オンス[約90ミリリットル])+刻んだ生のローズマリー(1/2枝分)
このようなコンテンツは、さらに高い信頼性を求める若い世代のウイスキー愛飲者にアピールする優れた方法だ、とブランド創業者ジャック・ダニエルについての書籍『血とウイスキー:ジャック・ダニエルの人生と時間(原題:Blood and Whiskey: The Life and Times of Jack Daniel)』の著者ピーター・クラス氏は語る。
同氏は次のように述べている。「過去のテレビコマーシャルや白黒のカレンダーから、今日のソーシャルメディアへの投稿にいたるまで、すべてがジャックダニエルの伝統に耳を傾け、それぞれがブランドについて少しずつストーリーを語っている。親会社である米アルコール飲料大手のブラウンフォーマン(Brown Forman)とは一線を画し、そのブランドポジショニングを維持することにおいて、ジャックダニエルは素晴らしい仕事をしてきた」。
新しい技術の実験
ジャックダニエルは、Twitter、Facebook、インスタグラムを通じて、ソーシャルメディアに確固たるプレゼンスを築いている。その米国向けアカウントはそれぞれ、16万9000人、1400万人、16万1000人のフォロワーを獲得している。またジャックダニエルは、とりわけ「Facebookにおける規模の大きさ」が評価され、リサーチ会社エルツー(L2)による蒸留酒部門のデジタルIQインデックス「スピリッツ2015」で第5位に入っている。2014年4月~2015年7月の期間に、今回の評価の対象となった76のブランドがFacebookに投稿したメッセージのなかで、エンゲージメント率がもっとも高かったトップ10のうち、6つはジャックダニエルのものだった。
ジャックダニエルは新しい技術の実験をこれからも続けるつもりだ。同ブランドのバイスプレジデント兼グルーバルメディアおよびインサイト担当ディレクター、ジェイソン・レーヤー氏によると、ジャックダニエルは向こう数カ月以内にFacebookのライブ動画を試行し、同ブランドが後援するイベントや蒸留所ツアー、マスターディスティラー(蒸留所責任者)であるジェフ・アーネット氏とのセッションなどをストリーミング配信する予定だという。また英国では、チャットボットをテストし、それを使ってレシピを広める予定だ。
「体験の助長を考えると、新しい技術が擁する価値は計り知れない。それがジャックダニエルの未来の大きな一角を占めることになると我々は見ている」。
Tanya Dua (原文 / 訳:ガリレオ)