ターゲット(Target)のeコマース売上が伸びている。それと同時に、デジタルと配送部門への投資に痛みを感じているようだ。ウォルマート(Walmart)などと同様、ターゲットはデジタルと配送に関する自社の機能を高めるための投資を増やしている。それによって、Amazonとの競争をフォローしている状態だ。
ターゲット(Target)のeコマース売上が伸びている。それと同時に、eコマースの成長を支えるデジタルと配送部門への投資に痛みを感じているようだ。
ウォルマート(Walmart)やホームデポ(Home Depot)同様、ターゲットはデジタルと配送に関する自社の機能を高めるための投資を増やしている。それによって、Amazonとの競争をフォローしている状態だ。先日行われた収支報告において、デジタル売上は年比較で49%増加という好調な成長を報告。これは主にデジタル、配送、そして実店舗でのピックアップ機能を強化し、eコマースを成長させたことの結果だ。しかし、この成長にはコストが伴っている。売上総利益にその影響が見て取れる。1年前と比較して総利益は29.6%から28.7%へと落ちている。ターゲットはこれを、長期戦に備えた必要な投資と捉えられているようだ。
デジタルを実現することに関するサプライチェーンのコストが予想よりも高くついていること、また1年前と比較して、年末のホリデーシーズンの在庫が拡大しており、その受け取りと処理のコストが高くついていることの結果だった」と、最高財務責任者でありエグゼクティブ・バイスプレジデントのキャシー・スミス氏は語る。
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ターゲットのデジタル投資
過去1年間をかけて、ターゲットは配送機能と実店舗でのピックアップ機能を強化するために甚大なりソースを費やしてきた。自社で有しているサブスクリプションベースのカスタムショッパーサービス「シップト(Shipt)」の範囲を最近になって46州に拡大した。
また、ユーザーが近い店舗で購入し、ピックアップするいわゆる「カーブサイド・ピックアップ(curbside pickup)」も1000店舗に拡大している。eコマースでの購入品を実店舗でピックアップできるようにしているのはもちろん、今年前半にはAmazonプライムが持つパントリー(Pantry)サービスに対抗する、家庭用品を買い足しするサービス「ターゲット・リストック(Target Restock)」もローンチした。
複数のチャンネルでこういった展開を見せる背後にはコストがもちろん存在しており、それは他の大手リテーラーと比べてもターゲットに特に大きな影響を与えているようだ。直近の収支報告によるとウォルマートとホーム・デポはどちらも売上総利益において、年比較で多少の増加を見せている。
消費者のショッピングにおける期待のスタンダードが、Amazonとなったいま、eコマースと配送機能は必ず実装していなければならない部門であると、ターゲットやウォルマートといった大手リテーラーは気付いている。
新しい収益源を生み出せ
「デジタルは高くつく。これ自体は驚きではない。デジタルはビジネス上のコストである」と、フォレスター・リサーチ(Forrester Research)のシニア・アナリストであるサチャリタ・コダーリ氏は言う。
その結果、新しい収益源を生み出すことが決定的に重要となる。Amazonが持っている競争優位はその複数のビジネスラインが低価格設定から来る損失やリテール展開におけるサプライチェーンにおける投資を相殺できることにある。
「ターゲットとウォルマートはこれらの消費財に関して、Amazonが売上を奪っていくのに対して守るだけではなく、広告といった他のカテゴリーでのマーケットシェアを獲得する方法を見極めないといけない」と、ガートナーL2(Gartner L2)の顧客戦略とリサーチ部門ディレクターであるトム・ゲハーニ氏は言う。また、Amazonの広告とクラウドビジネスは、現在のリテール環境では競争優位となっているが、従来のリテーラーたちは体験型リテールやカスタマーサービスの向上といった「人間らしさ」に集中していると指摘する。ガートナーL2のデータによると、ターゲットの設備投資は収益の5%近くとなっている。これはAmazonのものとほぼ同じだ。その一方で、ウォルマートは2%と圧倒的に低くなっている。
リスク回避的な思考の弊害
Amazonが規模で勝っている競争相手に対して持っている優位性は、そのスケールとリソースにある。それを使って。さらにデジタルへの移行を向上させることができるのだ。これは高級志向の、規模の小さいリテーラーには不可能だろう。競合他社でも大手にとって、短期的に売上総利益を下げても、複数のチャンネルへの投資を続けるためらいを生むべきではないと、ターゲットやナインウェスト(Nine West)といった企業のコンサルタントであり、フルーエント・コマース(Fluent Commerce)のバイスプレジデントであるビル・フレンド氏は言う。
「リスク回避的な思考が原因で、多くのリテーラーは(デジタルや配送部門)の展開を遅らせてきた。その結果、オンラインチャンネルから非常に大きなビジネスがやって来ているにもかかわらず、そこでの競争ができていなかった。シアーズは実店舗を新しくオープンし続け、サプライチェーンを最適化しなかった。こういった事は、やって当たり前になっているのだ」。
Suman Bhattacharyya(原文 / 訳:塚本 紺)