2017年も動画広告の勢いは止まらないどころか、さらに広がっています。そんななか、その配信プラットフォームである我々に寄せられるブランドの出稿ニーズは、「インクリメンタルリーチ」と「ブランドリフト」に集約されてきたように感じます。ーースキルアップ・ビデオテクノロジーズ株式会社の八田 浩CEOによる寄稿。
本記事は、オンライン動画コンテンツと広告の配信プラットフォーム「ULIZA(ウリザ)」を開発・運用するスキルアップ・ビデオテクノロジーズ株式会社の八田 浩CEOによる寄稿です。
本格的に火がついた動画広告。2017年もその勢いは止まらないどころか、さらに広がっています。そんななか、動画広告の配信プラットフォームである我々に寄せられるブランドの出稿ニーズは、「インクリメンタルリーチ」と「ブランドリフト」、このふたつに集約されてきたように感じます。なぜ、これらのニーズが高まっているのか背景を簡単にご説明しましょう。
インクリメンタルリーチ
一般的に、広告のリーチ獲得効率は、投下広告量が増えるほど、落ちていきます。そこで、テレビCMの広告主は、同じクリエイティブをモバイルなどの動画広告としても展開することでリーチを補い、費用対効果を改善することを狙います。その補ったリーチの純増が、インクリメンタルリーチです。
ブライトロール(Bright Roll)とニールセン(Nielsen)は、そのインクリメンタルリーチに関する調査を2014年に実施しました。テレビCMの予算をモバイル動画広告へ5%、10%、15%とシフトさせ、ターゲットへのリーチROIがどのように変化するかテスト(下記グラフ)したのです。
その結果は一目瞭然。CPG(Consumer Packaged Goods:消費財)、Auto(自動車)、Telecom(通信)、Financial Services(金融サービス)と、あらゆる業種でTRP(ターゲット視聴率)のコストが低下しました。つまり、いまやテレビだけでは、リーチ獲得効率が悪いのです。だから、インクリメンタルリーチに対するニーズが高まっているのでしょう。
ブランドリフト
また、インクリメンタルリーチを増やし、費用対効果を高めるだけでなく、その接触を最大限に活かすクリエイティブも重要です。その問題を解決するには、主にふたつのアプローチがあるでしょう。魅力的な動画コンテンツを作ること、そして動画広告のフォーマットをリッチにすることです。
たとえば、下記のグラフ。チューブモーグル(TubeMogul)とイノビッド(Innovid)が、インタラクティブプレロール(Interactive Pre-Roll)と通常のプレロール(Standard Pre-Roll)における「ブランドリフト」の差を調査したレポートです。
ちなみに、インタラクティブプレロールとは、「VPAID」というIABの規定する技術ルールに則って、動画プレイヤーで通常の広告クリエイティブ上にボタンやリンク先を配置したもの。一般的には、ソーシャルメディアの公式アカウントページや商品紹介ページ、ほかの動画クリエイティブへのリンクなどを配置し、これによってコンテンツとユーザーをインタラクティブにつなげます。
この調査では、インタラクティブなフォーマットの方が通常のものよりも、ブランド想起(Brand Awareness)、メッセージ想起(Message Association)、購入意向(Purchase Intent)、すべてにおいて高い数値が出ています。基本的に魅力的な動画コンテンツは、クリエイターの才能に委ねられる部分が大きいのですが、そこには当たるも八卦当たらぬも八卦という要素も含まれます。ですが、動画広告のフォーマットをリッチにすることは、専門事業者に依頼すれば、誰でも改善が可能です。
このように、いま動画広告には、インクリメンタルリーチとブランドリフト、このふたつのニーズが高まっているのです。また、その費用対効果を明らかにすることも、求められているといえるでしょう。
見落としてはいけない3つの視点
こうした背景を踏まえ、動画広告を実施するうえで重視すべきは、次の3つの観点です。
- 1. 視聴完了課金
2. リサーチ
3. インタラクティブな広告フォーマット
特にインクリメンタルリーチを明確にするうえで欠かせないのは、1と2の視聴完了課金とリサーチでしょう。
まず、視聴完了課金とは、最後まで視ていただけたユーザーにだけ課金する動画広告サービスのこと。視聴時間をほとんど問わず、再生回数によって課金される一般的な動画広告サービスとは異なります。インクリメンタルリーチを増やすうえで、テレビ広告などと比較するには、100%のビューアブルを担保し、掲載先も開示されるようなサービスでなくてはいけません。
また、インクリメンタルリーチの費用対効果を明確にするには、テレビ広告などとの重複接触の結果を明らかにするリサーチも重要になります。たとえば、動画広告を視聴中にアンケートへ応えられるものなど、より効率的といえるでしょう。
VPAIDに則ったインタラクティブな広告フォーマットなら、さまざまな表現を可能にし、通常の動画広告よりも高いエンゲージメントを獲得できます。最近では表現を豊かにするだけでなく、GPSとの連動や閲覧履歴などに応じたレコメンドなど、実施できることの幅も広がってきました。こちらもリサーチを実施することで費用対効果を明らかにすることが肝要です。
ULIZAならすべて実現可能
当社のULIZAは、上記のポイント3つ、すべてを押さえています。いずれも、ブランドやエージェンシーのニーズに、当社のエンジニアたちが応えてきた結果です。そのうえでULIZAは、次の定量的な数字を叩き出すことができました。
- 1. 15億インプレッション
2. 4億ユニークブラウザ
3. 7億回の広告動画再生
※いずれも2017年6月 エクスチェンジ在庫を含まない直契約による広告在庫による実績
もちろんULIZAは、IABが定めた国際的な動画広告の規格であるVPAIDに則った、インタラクティブフォーマットやリサーチを提供しています。VPAIDは動画上でさまざまなボタンやリンクを配置できるため、今後さらにニーズが高まる技術フォーマットです。これを実施するには、動画アドサーバーと動画プレイヤーを対応させなくてはいけません。動画配信テクノロジーにフォーカスしてきたULIZAは、それが当然のごとくできています。

ULIZAによるリサーチ画面
動画広告のチャレンジは続く
動画広告市場で今後さらに求められるものは、「生活者とのエンゲージメント」「掲載面の透明性」「成果指標の計測」、そして、その「質を担保した広告枠の量的拡大」だと考えています。SUVTの動画配信技術によって貢献できるフィールドは多く、さまざまなブランド、エージェンシー、パブリッシャーのニーズに対応できると自負しております。
また、現在のULIZAの課題は、「ライブ/編成/VODなど、インストリーム広告枠の創出」「VPAID規格による表現力を高め、アウトストリーム、インストリームで適用可能な枠の拡大」「VPAID規格で実現できた成果指標の計測による、ブランドリフトの可視化」です。しかし、これは業界関係者各位の協力がなければ、成し得ないことです。
いま、かつてないほど、動画広告の需要は高まっています。その反面、さまざまなシビアな問題も表出してきました。しかし、ここで躊躇していては、デジタルマーケティングにおける新たな地平は切り拓けません。ぜひとも当社のULIZAとともに、チャレンジに乗り出していただけると幸いです。
▼八田 浩
スキルアップ・ビデオテクノロジーズ株式会社
代表取締役社長
2001年明治大学経営学部卒業。 証券会社勤務の後、2004年株式会社オプト入社。 名古屋営業所立ち上げなど営業に従事したのち、電通との資本業務提携においては協業責任者として同社へ出向。 2010年オプトに帰任以来、従来の広告代理事業に加え、アドテク事業、動画事業、オムニチャネル事業のメディア/商品開発を担当。2011年7月株式会社オプト執行役員に就任。2015年4月~2016年3月まで同社取締役に就任。2015年12月より当社代表取締役社長に就任。
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