オフィス・デポ(Office Depot)は自社で抱える1400の小売店舗と5万人以上のスタッフを活用し、企業への「ケータリング(商品を配送するだけでなく、スタッフも同時に顧客に出向きサービスを提供すること)」に重点を置いて、マージンがより大きなサービスへとフォーカスしようとしている。
Amazonによる覇権が拡大するなか、オフィス・デポ(Office Depot)は自社で抱える1400の小売店舗と5万人以上のスタッフを活用し、企業への「ケータリング(商品を配送するだけでなく、スタッフも同時に顧客に出向きサービスを提供すること)」に重点を置いて、マージンがより大きなサービスへとフォーカスしようとしている。
先日発表された第三四半期の全体売上収益は29億ドル(約3294億円)であった。これは昨年の同四半期と比べると10%の増加となる。しかし小売部門の売上は6%の減少を見せている。そんななかで成長を見せているのは、ビジネス・サービス部門だ。ここの売上は、6%の増加となっている。そしてサービス収益は、28%の増加だ。他の大手小売企業やeコマース企業との競争のなかで、自社の競争力を獲得するために、これらの部門にオフィス・デポが注力していることが分かる。
オフィス・デポは、コピーやITサポートを顧客向けに長年提供してきている。小売部門ではサービス収益は11%の増加を見せている。しかし特に成長を見せているのが、ビジネス向けのカスタムサービスということに気付いたようだ。基本的なテックやオフィス用品だけでなく、アドバイスを求めるビジネスへの頼れるサポート拠点として自らを位置づけようとしている。その業務には、ビジネス戦略やマーケティング、人事採用におけるコーチングも含まれている。
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サブスクとサービス
「複数のチャンネルを横断する戦略を我々は抱えているが、そこにおいて、リテールは重要な要素のひとつとして捉えている。オンラインや配達のみの競合他社との差別化を図るうえでも主要な点だ。私たちの顧客は、何かを購入する際に人間とのやり取りを好んでいる。そんななかでサービスやソリューションといった拡大する分野を提供することが可能になっている」と、CEOのゲリー・スミス氏は投資家向けの報告において述べている。
オフィス・デポが抱える小規模ビジネス顧客は1000万件にものぼる。そのうち約60%は実店舗から3マイル以内の範囲に存在しているのだ。そのため競合他社との競争において、実店舗のネットワークが頼りにされている。ホーム・デポ(Home Depot)やベスト・バイ(Best Buy)といった他の大手リテーラーたちも、このアプローチを使って、顧客向けの人間によるアドバイスの価値をプロモーションしている。
オフィス・デポのサービス業務やサブスクリプション(インクやトナー、ソフトウェアなど)を通してインフラ業務をオフィス・デポに委託してしまうこともできる。オフィス・デポによるとサブスクリプション会員は70万人ほどになる。今年に入って、オフィス・デポはカリフォルニア州ロスガトスでワーコノミー(Workonomy)と呼ばれるコワーキングスペースをローンチした。ワーコノミーも成長分野のひとつであるという。コワーキングとそれに関連するサービス業務が売上を伸ばすからだ。
「(ワーコノミーは)まだテストをして学習をしている段階だ。平均的な店舗と比較しても、サービスやプロダクトの売上は高い」と、スミス氏は言う。
Amazonへの対抗手段
eマーケター(eMarketer)のeコマース・リテールアナリストであるアンドリュー・リップスマン氏は、オフィス・デポがビジネス・サービス業務に転向したことは、Amazonとの競争におけるリスク軽減、そしてAmazonビジネス(Amazon Business)に対抗する有効なサービスとなるという。ビジネス顧客は一般消費者と比べて値段にそれほど敏感ではないため、取引はより利益をあげる可能性があると、彼は語った。
「人的資本、そして付随する関連サービスはAmazonとの差別化を図るなかで決定的に重要だ。消費者からすると、ベストバイのようなリテーラーがAmazonと同じSKU(製品ラインアップ)で販売しているにも関わらず、成功している方法のひとつだ。自分の購入する物やサービスについて、顧客は多くを知りたがっているし、しっかりとサービスされているという実感を欲しがっている」と、彼は説明する。
Suman Bhattacharyya(原文 / 訳:塚本 紺)