マーケターは、エージェンシーの決断に疑問を持ちはじめている。結果としてマーケターらは、広告予算投入における意思決定を行うのは、エージェンシーではなく、彼ら自身であるべきだと考えはじめた。以下5つのチャートで、広告主がマーケティングを自社で行おうとしている理由と、どのようなスキルに重点を置いているのかを探る。
マーケターは、エージェンシーの決断に疑問を持ちはじめている。結果として、P&G(Procter & Gamble)やユニリーバ(Unilever)、そしてロイヤルバンク・オブ・スコットランド(Royal Bank of Scotland)などのマーケターは、広告予算投入における意思決定を行うのは、エージェンシーではなく、彼ら自身であるべきだと考えはじめた。
これはつまり、プログラマティック広告への投資を自社内でコントロールしようとするマーケターが増えていることを意味する。そして、広告そのものも自社で制作する、という兆候も見られてきた。
以下5つのチャートで、広告主がマーケティングを自社で行おうとしている理由と、どのようなスキルに重点を置いているのかを見てみよう。
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ブランドはメディアの効果を理解していない
ラジオセンター(Radiocentre)の依頼を受けてメディアコンサルタント企業のエビキュイティ(Ebiquity)が2018年3月に行った調査は、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドのCEO、デイビッド・ウェルドン氏のコメントを裏付けるものだった。ブランドやエージェンシーで働く116名のシニアマーケターを対象に行ったその調査報告によると、マーケターはオンラインのメディアチャンネルを過大評価している一方で、これまでのメディアチャンネルを過小評価している傾向がある。
広告主はエージェンシーを完全に見限ったわけではない
2017年末に米国広告主協会(Association of National Advertisers)が行った、149名のマーケターへのアンケート結果によると、3分の1以上(35%)の回答者が、自社でプログラマティックプログラマティックの専門家の採用を強化し、エージェンシーに委託する仕事を減らしたと答えている。P&Gのブランドチーフを務めるマーク・プリチャード氏と同様に、こうしたマーケターは、プログラマティックのキャンペーンを自社で運用しようとしており、エージェンシーへの委託業務はキャンペーン後のレポートの取りまとめなどにとどめている。
データはますます重要に
P&Gは中国国内において、より微細なオーディエンスセグメントに対して精度の高いプロペンティシティ・モデリングやフリケンシー・キャッピングを行うべく、中国最大のデータ管理プラットフォームを独自の計測システムと併用している。プリチャード氏によると、これによりP&Gは2017年度にオンラインでの無駄なコストを30%削減し、リーチを65%増やすことができたという。RBS、ジャガーランドローバー(Jaguar Land Rover)やペルノ・リカール(Pernod Ricard)などの広告主も、マーケティングの所有権を適切に得るためには、自社のデータを上手に活用する必要があることに気づきはじめている。アセンド2(Ascend2)が2018年1月に行った233人のマーケティングの専門家を対象としたアンケートによると、その回答者の大多数が、2018年はデータのマネージメントに力を入れていく予定だという。
人材確保の競争に直面する広告主
広告主がエージェンシーから主導権を取り戻すと、口にするのはたやすいことだが、実際にそれをやり遂げ、ビジネスに直接インパクトを与えられるような人材を探すのは困難だ。一方エージェンシーは、複数のクライアントを抱えながらも優秀な人材を提供できる。多くのブランドの広告主はこの人材確保の問題を認識しており、2018年は採用活動や社内の人材開発に力を入れている。世界広告主連盟(World Federation of Advertisers)が2018年2月に行った調査報告によると、全世界でマーケティングに計500億ドル(約5兆円)以上の予算を投入している28の広告主の半分近く(46%)が、今後は自社内でプログラマティックのスキル強化に力を入れていく方針だという。
クリエイティブを自社で制作するブランド
ユニリーバの年次報告書によると、社内のチームは外部のエージェンシーと比べて、コンテンツの制作スピードも速く、しかも30%安く作ることができているという。ほかの大きなブランドと同様に、ユニリーバは自社で広告を制作することで、関わるエージェンシーの数を減らして、大きなコストダウンが可能だと考えている。スリー(Three)、ルコゼード(Lucozade)、RBSなどもユニリーバの取り組みをまねて、自社で広告を制作しようとしている。
アドビ(Adobe)とイーコンサルタンシー(Econsultancy)が合同で行った、さまざまな国からの4198名のマーケティングのプロを対象とした調査によると、そのような広告主は少なくない。そして2018年は、コンテンツ制作を自社で行う広告主はさらに増える見込みだ。