藤原竜也 の「絶叫」を サウンドロゴ のように: Spotify デジタル音声広告、映画『Diner ダイナー』の活用事例

「俺はああァァ ここのぉぉぉ 王だ!」。

いまや数少ない、マネしたくなる映画俳優のひとり、藤原竜也。『バトル・ロワイアル』『カイジ 人生逆転ゲーム』『デスノート』など、日本のサブカルチャーを代表する数々の映画(主に汚れ役)で見せてきた彼の「絶叫」は、多くのモノマネ芸人を生んできた。また、その一音一音すべてに濁点がかかっているかのような特徴的な声は、Twitterをはじめインターネット界隈でも人気が高い。藤原竜也風の絶叫を簡単に生成できるアプリやツールまで公開され、すでに日本のインターネット・ミームとなっている。

そんな藤原竜也のセリフをまるで「サウンドロゴ」のようにして、Spotify(スポティファイ)のデジタル音声広告に利用したのが、2019年7月5日に公開されたワーナー・ブラザース映画配給の作品『Diner ダイナー』だ。元殺し屋で天才シェフのボンベロ(藤原)が店主を務める、殺し屋専用のダイナー<食堂>を舞台にした同作は、蜷川実花が監督を務めたサスペンスエンターテイメント映画。「俺は、ここの王だ。砂糖のひと粒まで俺に従う」というのが、ボンベロの決めゼリフとなっている。

「音声広告のために、このセリフをわざわざバイノーラル化した(映画本編では通常録音されている)。ヘッドホンやイヤホンで聴くと、まるでボンベロが頭の周りをぐるぐる回っているかのように聴こえる」と、ワーナー ブラザース ジャパン マーケティング本部の足立鈴氏は語る。「このセリフを流行らせたいという意図もあった。だからこそ、新しいことをやりたかった」。

映画『Diner ダイナー』メイキング映像

「ながら聴取」と違和感

スウェーデン生まれのSpotifyは、2019年9月現在、グローバルで2億4800万人のユーザーを抱える、世界一の音楽ストリーミングサービスだ。その収益モデルは、主にサブスクリプションと広告モデルとなるフリープランのふたつ。フリープランのユーザーは、1.35億人にのぼるという。

フリープランにおいて、楽曲と楽曲の合間に配信されるSpotify デジタル音声広告は、主に30秒のノンスキッパブル音声広告だ。このサービスは、家事や仕事・トレーニングなどの最中に、イヤホンやヘッドホンを通して「ながら聴取」されることが多いため、聴取完了率と認知訴求率が特に高いと言われている。

「Spotifyで音楽を聴いているときに流す広告において、『違和感』というのは重要だ」と、足立氏は語る。「自分の好きな音楽を聴いている最中に、『俺はああ〜』と多くの人に馴染みのある藤原さんが叫んでくるというのは強いフックになると思う」。

 「クリエイティブを考える際は、『違和感』を演出できるよう意識した」と語る足立氏

「クリエイティブを考える際は、『違和感』を演出できるよう意識した」と語る足立氏

「あえて」見られない前提

Spotify デジタル音声広告では、音声と連動して、PCやスマホの画面に「コンパニオンバナー」と呼ばれるバナーも掲出される。これは、音声だけだと、どこの広告主の何の広告か分かりづらい場合もあるので、それを明確にするものだ。いわば、レコードやCDにおける、「ジャケ写」みたいなものである。(※バナーから任意のランディングページへの誘導も可能)

このコンパニオンバナーには、画像だけでなく動画を利用することも可能だ。そのため、これまでSpotify デジタル音声広告を利用した映画のプロモーションでは、予告編をそのまま流用することが多かった。コンパニオンバナーでトレーラー映像を流し、その音声をそのまま曲の合間に聴くという塩梅である。しかし、『Diner ダイナー』では、そこにもひと工夫があったという。

「やはり音楽を聴いている人には、動画は不要だと思った」と、足立氏は振り返る。そこで、『Diner ダイナー』では、コンパニオンバナーを「あえて」見られない前提で、クリエイティブ全体を設計。まず、音声部分は、トレーラーをそのまま流用するのではなく、映画本編から特徴的なパートを切り出し、バイノーラル化。それが、藤原竜也の絶叫をはじめ、3パターン用意された。

「そのうえで、音声に合わせたビジュアル(画像)を、コンパニオンバナー用に作成した。ビジュアルのコピーも映画の公開タイミングにあわせて、少しずつ変えたりしている」と、足立氏。「そのおかげで、一般的なSpotify デジタル音声広告のCTRに対して、2倍以上の数字をマークできた」。

  

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実際に活用されたコンパニオンバナーと音声広告

親和性の高いユーザーたち

『Diner ダイナー』では、もちろん4マス広告も通常どおり利用している。4マスとデジタルの比率は、おおよそ3対1。特に『Diner ダイナー』は、コアターゲットが10~20代の流行敏感層であったため、オンラインメディアの出稿割合をほかの作品より多めに設定したという。

デジタル媒体のアロケーションは、YouTube、Twitter、インスタグラム(Instagram)、その他で案分された。その他に含まれるSpotifyの比率は、まだまだ小さいがマーケターとして結果には十分満足していると、足立氏は語る。

というのもSpotifyは、カルチャー志向の高い、特徴的なユーザーを抱えているからだ。同社が実施した調査によると、ひと月に映画へ費やす金額は、国内のSpotifyユーザーが平均月5257円、非Spotifyユーザーは平均月2872円だという。先述の高いCTRの要因は、こうしたユーザー属性にもある。

「私たちの一番のゴールは、劇場にお客様に来ていただくという点。だが、映画のデジタル広告で一番課題となるのが、コンバージョンが取れないことだ」と、足立氏は説明する。「そんななか、公開週に公式サイトへのアクセスが増えるのは、興行的にはとてもいい傾向だ」。

「Spotifyの比率はまだ小さいが、結果には十分満足している」と足立氏

「Spotifyの比率はまだ小さいが、結果には十分満足している」と足立氏

サウンドロゴという発想の原点

映画のデジタル広告としては、新しい事例となった『Diner ダイナー』のSpotify デジタル音声広告。これを実施するキッカケになったのは、普段クルマでよく聴くラジオ広告だと、足立氏は続ける。「個人的な体験だが、以前からラジオ広告は不愉快になることが少ないうえに、耳から入ってくる言葉は頭に残りやすいという印象があった」。

特にラジオ広告において、さまざまな企業のサウンドロゴのインパクトは強く、『Diner ダイナー』のSpotify デジタル音声広告においても、サウンドロゴ的なものを制作したいと、当初から考えていたという。そのため今後も、印象的なセリフなどがある映画では、積極的にSpotifyを活用していきたいと、足立氏は期待を寄せる。

「音楽を聞いているユーザーの邪魔をせず、心地良い感じのまま、『映画に行きたい』という気持ちを想起できるのはSpotifyならでは。ほかの広告媒体にはないその特性を活かして、これからもいろいろチャレンジをしていきたい」。

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Image courtesy of ワーナー・ブラザース映画(TOP画像)

Written by 広告制作チーム
Photo by 渡部幸和(足立鈴氏の撮影)