Snapchat、ブランド向けの「コマース」機能を拡大:ストーリー上で展開

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ロサンゼルスFCのチケットを購入するのは難しくない。Googleで検索すると、同FCの公式チケットパートナーであるシートギーク(SeatGeek)が、検索結果の最初に表示されるからだ。しかし5月、ロサンゼルスFCはコマース界の「弱小チーム」とも言われるSnapchat(スナップチャット)に資金を投じた。

シートギークは現在、ロサンゼルスFCを皮切りに、ライブイベントのチケットをSnapchatのストーリーで販売するのに力を入れており、現在、国際ボクシング連盟(IBF)のウェルター級チャンピオン、エロール・スペンス・ジュニアの試合にも取り組んでいる。これは、Snapchatが進めているeコマース事業拡大策の一環だ。Snapchatアプリのディスカバー(Discover)では、スワイプアップするとアプリ内で商品を購入できる新機能をパブリッシャーがテストしている。スナップ(Snap)は6月11日、スナップ広告(Snap Ads)とストーリー広告(Story Ads)でこれをテストすることを発表。さらにセルフサービスのプラットフォームにおいてショッパブルな拡張現実レンズを利用できるようにした。また、広告主がROI(投資利益率)をモニターしやすいように購入や登録を追跡する、Snap Pixelを使ったコンバージョンへの目標ベースの入札も開始している。

問題なのは、チケットその他を実際にSnapchatで買いたいという人が本当にいるのかだが、これがいるようだ。ロサンゼルスFCのプレジデントで共同オーナーのトム・ペン氏は、提供した限定数のチケットは売り切れたとメールで述べた。実際に売れたチケット数は明かさなかったが、Snapchatとの取り組みは続けていく計画だという。

映画チケットも販売

シートギークによると、スナップとシートギークのあいだでお金のやり取りはなく、組み込みのまだ初期段階であることがうかがえる。ファンダンゴ(Fandango)は映画『X-MEN:アポカリプス(X-Men: Apocalypse)』を皮切りに、スナップ広告経由で映画チケットを購入できるようにする取り組みをSnapchatと協力して何年も続けている。しかし、これはSnapchatそのものではなく、ファンダンゴのモバイル版ウェブページにリンクしている。広告する映画を映画スタジオが選ぶというもので、ファンダンゴはスナップ広告を通じて『ゲット・アウト(Get Out)』『ブラックパンサー(Black Panther)』『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(It)』『オーシャンズ8(Ocean’s 8)』といった映画作品のチケットを販売した。

オムニコムのレゾリューション・メディア(Resolution Media)でコマースとコンテンツのソリューションのディレクターを務めるダレル・ジャーサ氏によると、Snapchatの若いユーザー向けに提供していけば、Snapchatはコマースプラットフォームとしてさらに大きくなる可能性がある。

「購入意欲はあると思うが、既存オーディエンスで2段階(のプロセス)がある。ほかでは入手できないものを買わせてもらえないだろうか。もしユーチューバーがどこかに現れるというチケットがあるなら、そうしたチケットはスナップで売り切れるだろう」と、ジャーサ氏。

コマースの可能性

実は、スナップが初期に成功させたブランドとのコマースの取り組みのひとつは独占絡みだった。ダークストア(Darkstore)やR/GAと組んでスニーカーの「エアジョーダン3ティンカー(Air Jordan III Tinker)」を同プラットフォームで販売し、これをショッピファイ(Shopify)が後押しした。このスニーカーは23分で完売した。

R/GAでプロダクトとサービスのVPとエグゼクティブクリエイティブディレクターを務めるベン・ウィリアムズ氏は、「ジョーダンと仕事をする幸運を得た。彼らのものはいずれにせよ売り切れるが、(ファンたちは)ユニークなコミュニティだ。これまでなされなかったことをやるとなると、そこには期待のようなものがある」と語った。

ポップアップストアにデジタルのレイヤーを提供するというのは、Snapchatのコマースの可能性のひとつだ。スナップはほかに、Snapchatアプリでしか入手できない変わった商品も実験している。2月には、Snapchatのマスコットであるゴーストフェイスチラー(Ghostface Chillah)のぬいぐるみや黄色のビーチタオルといった、Snapchatをテーマにした商品のストアをアプリ内に立ち上げた。

ジャーサ氏の13歳の娘は、スナップのオバケのぬいぐるみが「本当に好き」なのだという。

「『買っていい?』と、メッセージが来る。(Snapchatは)若いユーザー向けのショッピング体験をさらに作る必要がある」と、ジャーサ氏。「(ゲームの)『フォートナイト(Fortnite)』のランレートを見ればわかる。スナップにはチケットのテストを進めてもらっているが、具体性が必要だ。きちんとパーソナライズしなければならない」。

パーソナライズが必要

コマースのパーソナライズが必要だというこの意見は、クリエイターの支持を得ようとしているスナップの取り組みと合致しているかもしれない。スナップは5月、第1回のクリエーターズサミットを開催。幹部たちがフォロワーの多いユーザーたちに対し、同プラットフォームでオーディエンスを拡大し、収益を上げる機会を増やすと約束した。現在、Snapchatではクリエイターはブランデッドコンテンツの取引で収益を生み出している。

この1年間で、クリエーターもパブリッシャーもインスタグラム(Instagram)の方を重視するようになったところがある。インスタグラムの方が規模が大きく機能もあるからだ。しかし、Snapchatもオーラルコスメのハイスマイル(HiSmile)の宣伝が盛んで、ハイスマイルのSnapchatへの支出額は、この3カ月で400%以上増えた。ハイスマイルの広告支出は、以前はFacebookが80%を占めていたが、現在、FacebookとSnapchatは同じくらいだ。

R/GAのウィリアムズ氏は、FacebookとSnapchatは、適切にやれば両方がブランド向けのコマースに成功できると主張する。

「私に言わせると、Snapchatの方が斬新だ」と、ウィリアムズ氏。「体験面で賭けに出ている。インスタグラムにはインストールベースがある。数の力で勝ち進めている。規模があるところは注意深くなるものだ。一方、弱小チームは、リスクを取ることを厭わない」。

Kerry Flynn (原文 / 訳:ガリレオ)