独身の日 は、もはや「新規参入」の最大の機会ではない:ニールセン中国の調査資料

今年の11月11日も、中国から景気の良さそうなニュースがさっそく届いている。「日テレNEWS24」によると、セール開始わずか1分半で1500億円を超える売り上げを記録し、去年を上回るペースになっているという。

11月11日は、中国最大のオンラインショッピング商戦日「独身の日(光棍節)」だ。この独身の日、いまや中国だけにとどまらず、世界中の企業に注目されるセールイベントとなっている。だが、そのためプロモーションに費やされるコストが膨張し、決して「新規参入」の最大の機会とはなっていないという。

DIGIDAY[日本版]では、ニールセン中国から資料「中国オンライン祭典にどのように勝つのか?」を独自入手した。同資料からは、「独身の日のプロモーションは、熾烈なディスカウント競争による利益率の著しい低下」を招くため、すべての企業にとって適切な機会ではないことが読み解ける。

「独身の日は、依然として非常に大きなマーケットであり続けているのは事実」だと、ニールセン中国社長のジャスティン・サージャント氏は、DIGIDAY[日本版]のメール取材に答えた。「だが、独身の日以外にも、大きなオンライン祭典が育っている」。

成熟仕切った中国市場

もともと独身の日は、アリババ(阿里巴巴)グループの天猫(Tmall)が2009年にはじめた、「天猫ダブルイレブン(双11)」というセールイベントが先駆けだ。だが、いまや天猫以外のさまざまなリテール業者が追随し、通称である独身の日のほうが広まっている。実際の独身の日は、1990年代に南京大学の学生がはじめた、独身者同志が集まってパーティーを開いたり、独身者が結婚相手を探したりするイベントのことだ。そもそも公式の祝日ですらない。

アリババグループは2018年の独身の日に、過去最高の2185億元(約3兆4120億円)を売り上げた。JD.com(京東商城)など競合のEC事業者の売り上げも加えると、その額は3732億元(約6兆円)にも達したという。アリババグループだけでいうと、初年度(2009年)の売り上げは、5000万元(約8億2000万円)。なんと、4万倍もの成長を遂げている。

だが、ニールセン中国の資料によると、中国オンライン市場の成長率は、2008年の122.9%をピークに減少傾向にあり、2018年は25.5%に留まっている。また、すでに多くの企業が独身の日におけるプロモーションを単純な値下げから、1カ月近くに渡る中期的なプランへ移行しており、年々多くの費用が掛かるようになった。

一般的な事前プロモーション例として挙げられるのが、プレセールやクーポン配布、会員やカテゴリー限定のセールなど。そのうえで、中国のeコーマス業界では、SNSが新たなトレンドとなっており、コンテンツマーケティングの重要度が増している。そこで、いま注目を集めているのが、著名インフルエンサーのライブ配信だ。つまり、単なる値引き合戦ではなく、いかに中期的なプロモーションで顧客と繋がり、エンゲージメントを深めるか? が重要になっているという。

独身の日以外にも注目

その一方、中国ではオンライン祭典が一般的なものとなってきた。独身の日以外にも、さまざまなテーマのさまざまな祭典が生まれている。

たとえば、同じアリババグループのタオバオ(淘宝網)が展開する12月12日の祭典「淘宝ダブルトゥエルブ(双12)」や、JD.comが中心となる6月18日の祭典「618」。さらには、1月25日の中国春節(旧正月)や3月8日の国際婦人デー、2月14日のバレンタインデー、10月10日のナショナルデーなども、セールイベントとして成長しているという。

ニールセン中国の資料「中国オンライン祭典にどのように勝つのか?」によると、とあるパーソナルケアカテゴリーの企業におけるeコマース各繁忙期の売り上げ貢献度を示すグラフでは、年間収益を100%とすると、11月の貢献度は19%。それに6月が13%、3月が11%と続く。つまり、独身の日だけでなく、618、国際婦人デーの貢献度も十分高くなっているのだ。

「これから参入するために」

今年は、アリババのカリスマ経営者、ジャック・マーが退いてから、はじめての独身の日となった。加熱する米中貿易摩擦も少なからず、このイベントに影響を与えているだろう。そんななかでも、中国市場の存在感は大きくなる一方で、グローバル大手企業に限らず無視できない状況になった。

「これから(中国市場へ)参入するためには多くの投資が必要であり、その日のために多くの品揃えを準備していかなければならない」と、ニールセン中国のサージャント氏は締めくくる。そのうえで、「中国内での適切なターゲットを設定することで、どの祭典でプロモーションすべきなのかを判断することが重要となっている」。

※ニールセン中国から提供された資料「中国オンライン祭典にどのように勝つのか?」は、こちらのリンクよりダウンロードできる。なお、日本企業向けに作られた資料ではないため、やや表現が甘い件に関してはご了承いただきたい。

Written by 長田真