アメリカでは、都会に暮らす人々の多くは、巨大なショッピングモールを郊外にある遺跡として認識しているという。eコマースの増加や個々における好みの購買方法の変化によって、そうした設備は忘れ去られつつある運命にあるようだ。
しかし、当然のことながら、米大型ショッピングモールのサイモン・モールズ(Simon Malls)を経営する米不動産企業のサイモン・プロパティ・グループ(Simon Property Group)のCMO、ミカエル・ティゲセン氏はこれに反論している。その根拠として彼は、自社の2015年度四半期収益報告書を示す。
この報告書によると、サイモン・プロパティ・グループの収益は、前年同期比で6.9%増加しており、13億ドル(約1517億円)を超える。また、財務的要素以外にも、デジタルを中心に考える小売企業が増えているおかげで、サイモン・モールズは新たなビジネスチャンスを見出しているという。サイモン・モールズは5人体制の専門チームを結成し、オンラインのみで販売を行っている小売企業を対象に、ショールームやポップアップショップ(期間限定の仮店舗)、実際の店舗をモールに出店させようとしているのだ。
アメリカでは、都会に暮らす人々の多くは、巨大なショッピングモールを郊外にある遺跡として認識しているという。eコマースの増加や個々における好みの購買方法の変化によって、そうした設備は忘れ去られつつある運命にあるようだ。
しかし、当然のことながら、米大型ショッピングモールのサイモン・モールズ(Simon Malls)を経営する米不動産企業のサイモン・プロパティ・グループ(Simon Property Group)のCMO、ミカエル・ティゲセン氏はこれに反論している。その根拠として彼は、自社の2015年度四半期収益報告書を示す。
この報告書によると、サイモン・プロパティ・グループの収益は、前年同期比で6.9%増加しており、13億ドル(約1517億円)を超える。また、財務的要素以外にも、デジタルを中心に考える小売企業が増えているおかげで、サイモン・モールズは新たなビジネスチャンスを見出しているという。サイモン・モールズは5人体制の専門チームを結成し、オンラインのみで販売を行っている小売企業を対象に、ショールームやポップアップショップ(期間限定の仮店舗)、実際の店舗をモールに出店させようとしているのだ。
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ティゲセン氏は「私たちにとって興味深い、新たな試みだ」と話す。「オンラインの小売企業は、実店舗で競合と戦おうとは思っていない。彼らは、実店舗を成長戦略要素のひとつとして捉えているからだ」。
現在のショッピングモールが小売業界のデジタル変化にどう対応しているのか、ティゲセン氏に説明してもらった。
オンラインショップが現実に進出
ティゲセン氏によると、オンライン販売の小売企業で、ショッピングモールへの出店を希望する企業はすでに100社以上も存在するという。また、サイモン・プロパティ・グループとL2による合同調査では、これらの小売企業に投資した投資家たちも、実店舗といった物理的戦略に投資を集中させていることが判明している。
こういった投資を受けている小売企業は、バウブルバー(Baublebar)、ブルーナイル(Blue Nile)、ワービーパーカー(Warby Parker)やボノボス(Bonobos)などだ。これらは実際、サイモン・モールズへショールーム、店舗、ポップアップショップや売店などの形式で出店している。
「こうした若い企業たちには、成長を支えるためにもオーガニックトラフィックが必要だ。しかし、そのためには実際に店舗を出さないといけない」と、ティゲセン氏。「カスタマーが店舗を目にするたびにブランドの存在を主張することができ、オンラインでは実現できない経験を提供することができる。現在、オンライン販売に特化した多くの企業が実店舗をもつために多くの費用を投じている」。
成功するテクノロジー利用とは
ところで、オンライン販売に特化した企業は、実店舗におけるカスタマー・エクスペリエンスを好きなように構築できるが、長年ショッピングモールに店舗を構えている小売企業たちは、そうはいかない。自らの企業に合ったテクノロジーを見つけ、組入れるしかないのだ。
ティゲセン氏によると、彼が見たなかでもっとも優秀だと感じた、店舗へ導入されているテクノロジーは、試着室での「スマートミラー(バーチャル試着が可能)」、店舗スタッフが接客時に利用するiPad、そしてブルートゥースでのデバイス利用といったものだという。
「成功へのカギは、店舗で大げさに機械的な印象を与えないことだ。小売企業がなぜそのテクノロジーを使用しているのか目的が分からなければ、使用する意味がない」と、彼は話す。「私は何の役にも立たないテクノロジーも見てきた。どのような小売企業でも、本当に重要なことは、テクノロジーはブランドの成長を促すものでなければならないということだ」。
「アトリビューションは重要ではない」
ティゲセン氏によると、顧客の動きが「ショールーミング」から「ウェブルーミング」に変化しているという。いままで多くの人は、実店舗で商品に触れてから、オンラインでより安い店舗を見つけて購入していたが、現在はオンラインで商品を調べたあとに、実店舗で購入するようになったという。しかし、ティゲセン氏は小売企業に、これに構わずコンバージョンに達するまでのアトリビューションは、あまり気にしないようにと助言している。
「複数のチャンネルが融合していくなか、アトリビューションを辿るのはより難しくなり、また、その重要性がより薄れてしまっている。5年前は、我々は店舗がカスタマーにどれほどの価値を生み出しているのかということだけを考えていた。ここで私がいいたいのは、実質どのような売上も必ずモバイル、Web、そして店舗に影響を受けているため、アトリビューションを辿ることの意味がなくなってきているということだ。そして、多くの小売企業が店舗での売上が上がってきていることを実感している。もはや、アトリビューションに重要性はない」。
Hilary Milnes(原文 / 訳:BIG ROMAN)
Image by Think stock / Getty Image