THE CONFESSIONS

「皆が無力だから、ハラスメント曝露までに時間かかった」:アクティビジョン・ブリザードの元従業員の告白

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大手ゲーム開発会社でセクハラなど有害な行動が横行しているとの噂は、数年前から業界で流れていた。そして7月下旬、ついにせき止められていた情報が噴出した。アクティビジョン・ブリザード(Activision Blizzard)での差別とハラスメントに関するカリフォルニア州公正雇用住宅局(DFEH)の2年にわたる調査について、ブルームバーグ(Bloomberg)が報じたのだ。それをきっかけに、アクティビジョン・ブリザードやユービーアイソフト(Ubisoft)、ライアットゲームズ(Riot Games)など、大小のゲームスタジオで横行するセクハラや賃金格差、差別について詳しく語る業界の女性の話が流出した。

匿名を条件に本音を語ってもらうDIGIDAYの告白シリーズ。本記事では、アクティビジョン・ブリザードの元カスタマーサービススペシャリストから、同社の有害な労働文化のなかでの苦労と、あからさまな人種差別や性差別、偏見に関する経験について話を聞いた。

今回の「告白」でなされた主張についてアクティビジョン・ブリザードにコメントを求めたところ、同社は全従業員に向けてCEOのボビー・コティック氏が出した声明に言及した。その声明は、社内での不品行についての主張を報じたほかの報道機関に向けて以前に発表されたものだった。なお、読みやすさを考慮し、以下のインタビューには若干の編集を加えている。

──アクティビジョン・ブリザードのハラスメント問題がこんなふうに曝露されるまでに、なぜこれほどまでに時間が掛かったのか?

皆、いわば無力だから。結局はそれに尽きる。職場でのおしゃべりではかなり悪質でない限り、解雇はされない。それに、そういうことが起きても、その手の人々は放っておかれる。私の女性上司にしつこく嫌がらせをされた女友達が3人いる。聞いた話では、信じられない量の報告書を書かないと、何も起きなかったらしい。数ははっきりしないけれど、40くらい報告書を書いたようだ。それだけしても、その上司はまだ放置されている。

──2008年にアクティビジョンとブリザードの持ち株会社ヴィヴェンディ・ゲームズ(Vivendi Games)が合併した後、アクティビジョン・ブリザードの社風はどう変わったか?

まだ「男子学生の社交クラブ」のような感じだったが、「社交クラブの悪ふざけ」というほどではなかった。状況がさらに深刻になると、いっそう「略奪的」になった。男性陣は特定の相手を求めている感じで、非常に若かった。19歳だったと思うが、ある女性の特別な例があった。当時、その女性は、チームの責任者につきまとわれ、彼とデートすることになんとなく罪悪感を抱くようになった。彼女は、彼の直属の部下だった。数年後、その件について私と話していたとき、彼女は泣き崩れ、「あらゆること――セックスとかすべてに――に対して罪悪感を抱いていた。これかも永遠に惨めな気分でいるはず」といったようなことを語っていた。

──アクティビジョン・ブリザードのセクハラ文化について広く報じられてきた。アクティビジョン・ブリザードで働いていたあいだ、ほかの形の差別は蔓延していたか?

アクティビジョン・ブリザードにはトランスジェンダーのコミュニティとゲイのコミュニティがあったが、安心感を抱いたことはなかったようだ。親友のひとりがトランスジェンダーで、そのことをカミングアウトしたら、そこで彼女のキャリアが止まった。彼女は聡明な人なので、ほかの職の面接を何度も受けたが、それも完全にダメだった。私より先に会社を去ったが、私よりずっと前に辛い目にあっていた。

人種差別もあった。ラテン系アメリカ人の従業員が、完全な人種差別用語で呼ばれているのを聞いたのは確かだ。用語は北米担当フロアから生まれたと聞いた。ラテン系アメリカ人のチーム全体が、そのフロアにいるほかの従業員による多くの偏見に直面していた。

黒人に対する差別用語も数回耳にした。それはそうと、アクティビジョン・ブリザードには黒人があまり多くはいなかった。ある面接の最後に、女性が、部屋にある黒人一家の写真を見て、「アクティビジョン・ブリザードで黒人が大勢働いているとは想像もしなかった」と言った。彼女の面接を行った責任者のひとりは、「彼女は完璧な人材だ」というようなことを言っていた。

──ほかの大手開発会社の労働文化で似たような問題について聞いたことがあるか?

ライアットゲームズでの件は、ここでの出来事ととても似ていたが、もっと早くに知られることとなった。しかも改善されなかった。あのコミュニティはいまだにクズだ。社内での出来事が理由で人々が辞職していた。ライアットゲームズで働いていた友人のひとりは、もうカリフォルニア州にいたくないし、そのすべてから離れたくて東海岸に引っ越した。ライアットゲームズで起きたことが理由で業界から完全に立ち去った。

──この最新の論争が実際に、業界のパラダイムシフトにつながると信じているか?

まだ何とも言えないと思う。勢いを失わないよう願っている。自身の体験を公にするのに十分なくらい、人々が怒ればいいのだが。だがやはり、それでも大きなダメージがもたらされる。(性差別的な)開発者について言えば、売り上げをもたらすコンテンツ制作者たちなので、結論を出すにはあまりにも早すぎる。

[原文:‘She was the most sexually harassed person I ever met’: Confessions of a former Activision Blizzard employee on the company’s toxic work culture

ALEXANDER LEE(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:長田真)