フォラ(Sephora)のセールほど興奮する美容セールはなかなかない。年に2回のこのセールでは、ダイソン(Dyson)、レアビューティー(Rare Beauty)、ドランクエレファント(Drunk Elephant)などめったにセール対象にならないブランド・製品が最大20%オフになり、さらにセフォラの自社ライン製品が30%オフになるのである。
セールへの早期アクセスで起きた状況
このセールは、購入客が何週間も前から綿密に購入計画を立てるような類のものだ。しかし、10月27日に何百万人ものトップティアのロイヤリティ顧客が早期アクセスするはずだったとき、大勢の顧客が、ウェブサイトがクラッシュしたのではと思われる状況に遭遇した。「当社がサイトを更新するまでしばらくお待ちください」という表示が出て、その後に電話で購入を完了するための1-800(無料カスタマーサービス)の番号が記されていた。
購入客の多くはセフォラのアプリも利用できなかったが、アプリにはもう少し詳しいメッセージが表示された。「セフォラでは大量のトラフィックが発生しています。ステータスは60秒ごとにチェックされます。トラフィックが収まると自動的にサイトにアクセスできます」というメッセージの後に、同じ1-800の番号が続いていた。
セフォラ(Sephora)のセールほど興奮する美容セールはなかなかない。年に2回のこのセールでは、ダイソン(Dyson)、レアビューティー(Rare Beauty)、ドランクエレファント(Drunk Elephant)などめったにセール対象にならないブランド・製品が最大20%オフになり、さらにセフォラの自社ライン製品が30%オフになるのである。
セールへの早期アクセスで起きた状況
このセールは、購入客が何週間も前から綿密に購入計画を立てるような類のものだ。しかし、10月27日に何百万人ものトップティアのロイヤリティ顧客が早期アクセスするはずだったとき、大勢の顧客が、ウェブサイトがクラッシュしたのではと思われる状況に遭遇した。「当社がサイトを更新するまでしばらくお待ちください」という表示が出て、その後に電話で購入を完了するための1-800(無料カスタマーサービス)の番号が記されていた。
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購入客の多くはセフォラのアプリも利用できなかったが、アプリにはもう少し詳しいメッセージが表示された。「セフォラでは大量のトラフィックが発生しています。ステータスは60秒ごとにチェックされます。トラフィックが収まると自動的にサイトにアクセスできます」というメッセージの後に、同じ1-800の番号が続いていた。
しかし、どちらのメッセージも顧客の不満を鎮めるにはほとんど役に立たず、大勢がセフォラのインスタグラムのコメント欄にアクセスした。
「アプリとウェブサイトのトラフィックが12時間以上も続くのに、準備できてないってわけ? 意味ないよ」とは、インスタグラムのユーザー、@brookebentのコメントだ。@callmekeelsは「うーん…ウェブサイトとアプリが機能していないときに、どうやってオンラインショッピングをすればいいの??」と述べた。また、@isabellasistineは「アルタ(Ulta)のサイトでは買えるので、もうアルタで買うつもり」とコメントした。
購入客の中には、答えを求めてコメントをチェックした人たちもいた。「アプリがダウンしているのか、それとも私のアプリだけなのかを、コメントで確認」と言ったのは@jamienicole_93。@_marissa_77は「ダウンしているサイトに対処してアップデートするの、それとも客からの連絡を無視し続けるつもり?」と述べた。
セフォラはその週末に、上に挙げたようなコメントに返信したり、この問題について公に対処してはいないようである。セフォラのインスタグラムには10月30日の月曜日になっても不満のコメントが投稿され続けていた。
Glossyはセフォラにコメントを求めたが、返答はなかった。
トラフィックが急増したセフォラに起きたこと
一体何が起きたのだろうか。その状況を避けるためにセフォラにできたことはほかにあったのだろうか。「増えるトラフィックを処理するためにサーバーを増強するのにはものすごく費用がかかる」と述べているのは、セレブ・ライフスタイル・eコマースのブランドらに技術支援を提供するナンバー5(Number 5)の外注最高技術責任者であるアダム・エアーズ氏だ。「なので、目標は常にトラフィックを平準化することであり、トラフィックを一度に流入させることではない」。
部分的には、セフォラのセールはトラフィックが波状に流入するようにすでに構成されている。10月27日に早期アクセスがあったのは、もっとも購入額の多い、つまり年間最低1000ドル(約14.9万円)を費やすルージュ(Rouge)ロイヤルティプログラムのメンバーだけだった。しかし、VIBティアとInsiderティアのメンバーは正式にセールが始まる10月31日までアクセスがなかったにもかかわらず、サイトは需要に対応できなかった。Glossyの9月の記事によると、セフォラのビューティインサイダー(Beauty Insider)プログラムの会員数は3400万人で、2020年の2500万人から30%増加している。
急流入するトラフィックに対応する一方法
「100人、1000人、あるいは1万人が同時に何かをしていると想像してみてくれ。1秒あたり何百万ものリクエストが発生する可能性があるので、実際には2つの選択肢しかない」とエアーズ氏。「1つは非常にシンプルで安価なソリューションで、キュー(順番待ち)というものだ」。
エアーズ氏によると、これはセフォラがトラフィック管理のために実装したものだという。「これはリソースも戦術チームもエンジニアリングチームも必要としない仮想の待合室であり、人々を待機リストに載せるだけ。つまり、誰かがサイトにアクセスするとトークンがもらえ、自分の番が来たらサイトに入れる。企業が行っているのは、発生するリクエストの量を測定して、リクエストが減ったらより多くの人を受け入れるということ」。
このキューが、セフォラのサイトとアプリのクラッシュを防いでいる可能性が高いことが判明した。「これはCDN(コンテンツ配信ネットワーク)レベルで行われており、多くのウェブサイトがクラウドフレア(Cloudflare)を使って実装している。実際、クラウドフレアは事実上唯一のCDNとなっているが、洗練に欠ける新興企業だ」とエアーズ氏は言う。「欠点は、ユーザーエクスペリエンスが良くないことだ」。
エアーズ氏によると、購入客からサイトが壊れているのではないかと思われる可能性があることが大きな問題のひとつだという。そのせいで、eコマースサイトが潜在的な購入者の90%以上を失っているのを見てきたという。
急流入するトラフィックに対応する別の高価な方法
「2つめのソリューションは、非常にリスクが高く、リソースを大量に消費するので、取り組むには特定の才能と人員が必要だ」とエアーズ氏は述べている。同氏は、カニエ・ウェスト氏のいまはなきeコマースサイトのYeezy.comを構築・運営した際に、実験的な戦略をいくつか実施したという。ウェスト氏の複数のアディダス(Adidas)シューズドロップのあいだ、1秒あたり100万人のユーザーと数百件の購入を処理しなければならなかった。
「1億1000万ドル(約163億円)相当のシューズ、つまり55万足を1時間以内に販売する必要があったのだが、それはほぼ不可能だ」とエアーズ氏は語っている。「そこで、顧客の決済を完全に行う代わりに、決済を行う前に購入の確認を顧客に送り、その後決済し、確認を得て、注文を倉庫に送る前に確認Eメールを送った。これはとても厄介になる可能性はあるが、顧客は状況がわからないまま(キューに並ばされて)待たされないので、ユーザーエクスペリエンスははるかに向上する」。
ほかの選択肢はあるのか?
部外者は、大企業はこの種の問題に備えて技術チームを待機させていると思うかもしれないが、それは一般的ではないとエアーズ氏は述べている。「それは、収益性がなく、拡張性もなく、大部分の企業が備えているものではない」ために、テクノロジーリーダーは創造性を発揮しなければならない。
エアーズ氏によると、ほかの選択肢には、早期ショッピング時間を指定してアクセスコードを提供したり、サーバーやデータベースを拡張したりすることがあるが、拡張すると利益が大幅に減るので無意味になることが多いという。
「もっとも簡単な解決策は、セフォラが状況を説明するもっと優れたランディングページを作成することだろう」とエアーズ氏は言う。同氏は、セフォラのサイトはカスタムだと言い、創業以来セフォラはサイトに2000万〜3000万ドル(約30〜45億円)を費やしているだろうと見積もっている。
この問題を懸念しているブランドに対して、エアーズ氏は、ショッピファイプラス(Shopify Plus)やマジェント(Magento)だけではなくカスタムサイトでもサイトインデックスを実行しており、業界リーダーは明らかに存在すると述べている。「私の経験では、大規模な場合にはショッピファイ(Shopify)がもっとも信頼できるので、可能な限り使うようにしている。だが、ショッピファイが自分が希望することを処理できない場合には、自分のカスタムテクノロジーで補完しなければならない。それが、我々がイージー(Yeezy)でやっていたことだった」。
顧客のほうでは、セフォラが今回の騒動にどう対処するのかを待っているところだ。「6~7年間ルージュレベルだったが、アプリがこんなになるのを見たのは初めて」と言うのは@shadesoftori。@poetrybyfarahaは、「アプリが作動していないから、セールを延長するの?!」と言っている。
この状況は展開中であり、詳しい情報を入手次第、Glossyは更新記事を掲載する予定である。
[原文:Day 1 of Sephora’s biannual sale left loyalty members frustrated — so what happened?]
LEXY LEBSACK(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)