スカーレット・ヨハンソン氏の経歴に、3月1日、「ビューティブランド創業者」が加わることになった。ヨハンソン氏はブランドを立ち上げたトップスターの仲間入りをしたわけだが、ほかのセレブとは異なる点がある。ソーシャルメディアをやっていない同氏は多くの時間を費やしてこのローンチについてメディアに語っている。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
スカーレット・ヨハンソン氏の経歴に、3月1日、「ビューティブランド創業者」が加わることになった。ヨハンソン氏はブランドを立ち上げたトップスターの仲間入りをしたわけだが、ほかのセレブとは異なる点がある。ソーシャルメディアをやっていない同氏は多くの時間を費やしてこのローンチについてメディアに語っている。2月23日には『ヴォーグ』のインタビューが公開され、3月1日にはビューティポッドキャストのグロス・アンジェルス(Gloss Angeles)に登場、また、Glossyビューティポッドキャストにも出演する予定である。
自分のブランド、ジ・アウトセットをローンチした経緯
ブランドの名前はジ・アウトセット(The Outset)。白とネイビーのパッケージはミニマルでシンプルだ。これにはヨハンソン氏のスキンケアに対する考えが表れている。起業家のケイト・フォスター氏が共同創業者であるが、フォスター氏に出会う前から何年間もブランド構築に取り組んでいた。二人は、たとえばロレアルのような大企業とは関与することなくブランドを構築しているが、WWDが報道したように、ナジャフィカンパニーズ(Najafi Companies)から資金を得ている。ナジャフィは、トレーシー・エリス・ロス氏のパターン(Pattern)などを支援したブランドインキュベーターのビーチハウスグループ(Beach House Group)にも資金提供をしている。
Advertisement
ヨハンソン氏はZoomで、当初は「映画界の人たちからは自分の名前をライセンシングして大企業と協働するように勧められた。それは、他人からは、私がまったく知らない業界でインフラもなく始めるのは大事業に見えたからだろう。それに、実際そうしていたならそれほど苦労しなかったと思う」。
しかし、主要パートナー候補の人々と何度も話し合ったあと、ヨハンソン氏はそのようなパートナーシップによって、この新しい試みで自分が避けたいと思っている状況に身を置くことになると気づいたそうだ。「自分が避けようとしていたことにはまってしまうと思った。つまり、株主になって、他人軸の成功の基準を実現しなければならないという責任。また、同時にほかのブランドと協働している人たちと一緒に働くことになり、他ブランドとの差別化を図らなければならなくなるだろうと思った」。
上に述べたような大企業の1社のコンサルタントを務めているある人物に励まされて、ヨハンソン氏は自分で事業を進めることを決心した。「自分でやることは、長期的にもっとやりがいがあると感じた」。
まずD2C、4月にはセフォラ進出
その結果生まれたジ・アウトセットは、3月1日に製品5点をD2Cでローンチした。それらは、ジェントル・ミセラー・アンチオキシダント・クレンザー(Gentle Micellar Antioxidant Cleanser)、ファーミング・ビーガン・コラーゲン・プレップ・セラム(Firming Vegan Collagen Prep Serum)、ナリッシング・スクアラン・デイリー・モイスチャライザー(Nourishing Squalane Daily Moisturizer)、レストレーティブ・ナイアシンアミド・ナイト・クリーム(Restorative Niacinamide Night Cream)、スムージング・ビタミンC・アイ&エクスプレッション・ラインズ・クリーム(Smoothing Vitamin C Eye + Expression Lines Cream)で、その価格範囲は32〜54ドル(約3700〜6200円)。ジ・アウトセットは4月にセフォラ(Sephora)にも進出予定である。
ニキビに悩んだ経験から生まれた製品
ヨハンソン氏は「思春期」に突入したときからニキビに悩まされていたという。「自分の肌がどう見えるかがすごく気になって、幸福感に影響した。(女優で)公の目にさらされていたから、それはもっと強調されていたと思う」と同氏は述べている。スキンケアはシンプルで気軽なものであるべきだと信じており、同氏のチームが行った内部調査によるとそう思っている人は大勢いるそうだ。
米国のプレステージスキンケアの平均的な顧客を反映した500人を対象にした調査で、自分の肌におおむね満足しているのは96%で、8割の回答者が「簡単なルーティンを希望」しており、また「効果的なクリーンスキンケア」を望んでいることがわかった。
市場には十分な製品があると思われているが、新製品を出すのはそうではないことを示している。ヨハンソン氏はビューティ業界の混雑状況は意識しつつも、次のように述べている。「我々が目指すのは、無駄を切り詰めて基本に戻ること。持続可能性においても、ドレス・フォー・サクセス(Dress For Success)やワン・ツリー・プランテッド(One Tree Planted)など我々が支援する活動においても、あらゆることにこのようなマインドフルなアプローチを取り入れている」。
顧客から望まれている気軽なクリーンビューティ製品を
トレンドムード(Trendmood)のインスタグラム投稿からもわかるように、消費者の多くはセレブのブランドに警戒している。なので、成功するためにはブランドの裏で働く人々は有名な創設者をずっと超えたところで考える必要がある。これが、ジ・アウトセットがもっとも重要なこととして「クリーンビューティを簡単にして、わかりやすくする」ことに重点を置いている理由である。
フォスター氏いわく、「欲しいと思っているクリーンな製品、効果があるが有害物を含んでいない製品を見つけるのに顧客が本当に苦労していることを知った」。
開発プロセスにおいて、ヨハンソン氏とフォスター氏は、セルフウォーミングマスクのような実験色の強い製品フォーマットを検討した。ヨハンソン氏は次のように述べている。「コリン(ジョスト氏。ヨハンソン氏の夫で『サタデー・ナイト・ライブ』のスター)にそれはセルフウォーミングな製品だと言い忘れたら、彼は自分の肌が溶けているのだと思った」。面白いエピソードはさておき、実験的な製品を試したヨハンソン氏は、まずは日々使う製品を成功させることがもっとも重要であると再認識したのだった。
「我々のタグラインは『再び始める』」とヨハンソン氏。「毎日が新しいスタートのチャンスであるということ。そして、私がスキンケアについて考えるとき、朝起きてその日に最初に見るのは自分自身であり、自分のスイッチを入れて、その日をどう過ごすかを考えて、フォーカスして、エネルギーを再チャージする能力が自分には備わっている。その瞬間を我々のブランドとともに経験してほしいと願っている」。
[原文:Scarlett Johansson on her new skin-care brand, The Outset]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)