米「100均」市場を席巻する、ダラー・ゼネラル 成功の理由:「経営が巧みで、成長は極めて著しい」

数あるディスカウントリテーラーのなかでも、ダラー・ゼネラル(Dollar General:DG)は、1万5432の店舗を有する注目の有力企業だ。

このカテゴリで成功するのは容易ではない。ディスカウトチェーンのフレッズ(Fred’s)は4月第2週、戦略の転換に乗り出すにあたって、業績不振で採算の取れない店舗159店を閉店する計画を発表した。ダラー・ツリー(Dollar Tree)が所有するファミリー・ダラー(Family Dollar)は、同親会社の足を引っ張り続けてきた。また、地方のディスカウントチェーンのショップコ(Shopko)も1月に破産を申請し、この夏までにすべての店舗を閉店する予定だ。

一方で、ダラー・ゼネラルは、2018年に収益が256億ドル(約2.8兆円)であったことを報告。これは対前年比で9%の上昇だ。同社は、店舗のほとんどが競合他社とは離れた地域にあり、質の高い店舗内体験を優先しているため、成功を収めている。同社は、慎重なマーチャンダイジング戦略を取り、顧客の心を掴む買い物のしやすいルックアンドフィールを採用し、利用可能なあらゆるところで技術を活用して効率を高めている。また、店舗の改築・改装も積極的に行っており、本年の営業年度にダラー・ゼネラルは、新店舗を975店舗建設し、1000店舗の改築を予定している。

「ダラー・ゼネラルのビジネスモデルはよく考えられており、顧客が欲しいものに重点を置いている。そのため、同社は所得の低い顧客だけでなく、そのほかたくさんのアメリカの消費者が訪れる場所として非常に人気がある」と、グローバルデータ・リテール(GlobalData Retail)のマネージング・ディレクター、ニール・サンダース氏は言う。「ダラー・ゼネラルは、経営が巧みで、同社の成長は極めて著しい」。

DGのマーチャンダイジング

ダラー・ゼネラルのマーチャンダイジング戦略は、未公開株式投資会社であるKKRが2007年に69億ドル(約7700億円)で同社を買収したあと、同社がアプローチ方法を変えた成果として生まれたものだといえる。当時、同社は3.8億ドル(約424億円)の負債を抱え込み、苦しんでいた。そして、2009年に上場した。

「KKRに買収される前は、ダラー・ゼネラルは、いわゆる『商品の種類過多の状態で、商品分類が細かすぎた』、つまり、同一の製品の種類が多すぎた」と、バーンスタイン(Bernstein)のアナリスト、ブランドン・フレッチャー氏は最近のレポートに書いている。同社は、そのあと、過剰な製品を削減し、それらを収益の高い製品やプライベートレーベルの商品に取り替えることに重点を置いたと、フレッチャー氏は付け加えた。

ダラー・ゼネラルは、所得の低い顧客セグメント以外の顧客も引き付けることができる。なぜなら、同社は、必ずしも厳密に1ドルのプライスポイントではなく、国内ブランドから仕入れた高価値商品も在庫に持っているため、所得の高い顧客も引き付けることができるからだ。

デジタル店舗と新しい競争

また、顧客が買い物をしやすい店舗デザインも重視しており、これが他社との差別化となっている。さらに、「DG GO!」と呼ばれるスキャン&ゴー決済アプリを含む店舗内技術を発表し、昨年の利用開始以来、250店舗で導入されている。CEO(最高経営責任者)のトッド・バソス氏は3月、投資家に対し、自社のアプリのダウンロード数は現在14万回で、2万5000人の月間アクティブユーザーが存在するが、同社はさらにリーチを広げる予定だと発表した。このアプリの利用を促進する特徴となるものは、顧客が支出を把握する手助けをするカート計算機である。

「我々が学んだ重要なことのひとつは、DG GO!キオスクを利用して支払いをしていない場合でも、当社の顧客がこのカート計算機を頻繁に利用しているということだ」と、ダラー・ゼネラルの広報担当者、クリスタル・ガセミ氏は言う。「私たちは、顧客がカート計算機を使って買い物を予算内に収め、ショッピングへの出費を最適化していると考えている」。

しかし依然、ダラー・ゼネラルは、競争に直面している。ディスカウントのカテゴリでマーケットシェアを争う大手リテーラー数は、ますます増加している。モーニングスター(Morningstar)のアナリスト、ザイン・アクバリ氏によると、ウォルマート(Walmart)あるいはAmazonをはじめとする大手ブランドが安全でコスト効率の高い方法でディスカウント店の顧客に素早く製品を届ける方法を考え出すことができれば、ダラー・ゼネラルをはじめとするディスカウント企業にとっては、やがて競争のプレッシャーがかかるようになる可能性があるという。

「Amazonをはじめとするデジタルリテーラー、あるいはウォルマートをはじめとするオムニチャネルを利用する大手企業が、(高価なプライム[Prime]会員費用あるいは類似の会員費用、配送料なしに)相対的に小口の注文を2〜3時間以内に顧客が受け取れるようなコストの調整手段を得た場合、ダラー・ゼネラルの店舗が提供するような利便性を実現できるだろう」と、アクバリ氏は最近のレポートに書いた。

eコマースモデルに期待

これに関し、ダラー・ゼネラルは、自社戦略の進化を促進するため、eコマースモデルに目を向けている。同社は、たとえば、ダラー・シェイブ・クラブ(Dollar Shave Club)を想起させる、DGシェイブクルー(DG Shave Crew)と呼ばれるシェービング製品郡をサブスクリプション制で利用する形態の直販サブスクリプションモデルにも手を広げており、今年の後半にはオンラインで買って店舗で受け取るタイプのオプションを発表する予定だ。

「使い勝手が良く、便利なデジタルツール一式を利用することが当社の顧客にとってますます重要になっており、それゆえ、それらツール一式がダラー・ゼネラルにとっても重要になりつつある」と、ガセミ氏は言う。

Suman Bhattacharyya(原文 / 訳:Conyac