米国のクレジットカード負債総額は今年、1兆ドル(約148兆円)を突破し、過去最高となった。連邦準備制度理事会のデータによると、これは米国人が現在抱えている総額17兆ドル(約2520兆円)の家計負債に上乗せされる。
この負債は、各分野における商品価格の上昇を引き起こしているばかりか、その一因にもなっている。全体的に米国人は日常生活品に以前よりも多くの金額を支払っている。X(旧Twitter)で最近話題になったような、100ドル(約1万4800円)でどんな食品が買えたかを紹介するスレッドは定期的に登場してバイラルになっている。食品、粉ミルク、自動車保険といったものはすべて、2023年には前年よりも高くなっている。
アパレルもこうした変化の影響から逃れられない。マスターカード(Mastercard)のシニアアドバイザーで、元サックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)CEO、スティーブ・サドーブ氏は、ファッションはほかのカテゴリーよりも大きな打撃を受けると予想すべきだと述べた。
「レストランや電化製品のようなものは、アパレルよりもはるかに好調だろう。消費者は何にお金を使うかを選択しなければならなくなる」と同氏は言う。
米国のクレジットカード負債総額は今年、1兆ドル(約148兆円)を突破し、過去最高となった。連邦準備制度理事会のデータによると、これは米国人が現在抱えている総額17兆ドル(約2520兆円)の家計負債に上乗せされる。
この負債は、各分野における商品価格の上昇を引き起こしているばかりか、その一因にもなっている。全体的に米国人は日常生活品に以前よりも多くの金額を支払っている。X(旧Twitter)で最近話題になったような、100ドル(約1万4800円)でどんな食品が買えたかを紹介するスレッドは定期的に登場してバイラルになっている。食品、粉ミルク、自動車保険といったものはすべて、2023年には前年よりも高くなっている。
アパレルもこうした変化の影響から逃れられない。マスターカード(Mastercard)のシニアアドバイザーで、元サックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)CEO、スティーブ・サドーブ氏は、ファッションはほかのカテゴリーよりも大きな打撃を受けると予想すべきだと述べた。
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「レストランや電化製品のようなものは、アパレルよりもはるかに好調だろう。消費者は何にお金を使うかを選択しなければならなくなる」と同氏は言う。
家賃がアパレル消費を落ち込ませる大きな要因に
アパレルの価格は全般的に上昇しており、特にウィメンズのアウターウェアは2022年にくらべて2023年には9.3%値上がりしている。消費者はGlossyに、ファッションの消費習慣にはすでに影響が及んでいると語った。
「本当にあらゆるものを節約しなくてはならない感じがしている」とライターで小説家のローリン・チェンバレン氏はインスタグラムのDMで語った。「食費や家賃、そのほかの必需品の値段が上がっているので、新しい服など、必需品ではないものを買うときはもう少し気をつけたいと思っている。私にはそれなりの収入があるが、それでも自分が期待していたほど何でもできるわけではない」。
特にアパレル消費を落ち込ませる大きな要因となっているのが住宅だ。家賃は昨年過去最高を記録し、2023年は8月の時点でわずか2%しか下がっていない。特にニューヨーク市は住宅取得能力危機の真っただなかにあり、マンハッタンの平均家賃は月5500ドル(約81万円)を超えて急騰している。4月に発表されたレポートによると、ニューヨーク市民の半数以上が実際にそこに住む余裕がなく、さらに借金を負わされている。
チェンバレン氏は2019年にニューヨークからトロントに引っ越し、この秋以降にまた戻ってくる予定であり、次のように話す。「私もこの秋にニューヨークに帰るため、住宅の価格が一番の関心事であり優先事項だ。値段の高いニューヨークのアパートを借りて家具をそろえるまでは、もう新しい服は買えない」。
消費に苦悩しているローミドルの消費者
頻繁な値上げも消費者を疲弊させている。
「衣類が信じられないほど高価なものである必要が理解できない」と、あるジュエリーデザイナーは匿名で語った。「主にコストがかかっているのは職人の技量と生地の品質なのは理解できるが、いま価格を吊り上げている可能性があるのは、その背後にあるマーケティングのせいだと思う。私は服を買っているが、いまは購入するかどうかを決める前にもう一度考えてみることにしている」。
サドーブ氏は、ファッションは二分化しつつあると言う。ラグジュアリーや裕福な買い物客は、クレジットカードの負債や家賃の高騰などの影響をほとんど受けない。
「お金の使い方に気をつけなくてはならないのは、ローミドルの消費者だ」とサドーブ氏は述べた。
富裕層の顧客に対応しているブランドは、ラグジュアリーへの憧れの強い買い物客が減少するにつれて、さらに富裕層に傾倒するようになっている。9月中旬にはマイテレサ(MyTheresa)のCEO、マイケル・クリーガー氏がGlossyに対し、インフレの影響を受けない富裕層の顧客こそが、パンデミックのあいだも同社の利益を維持してきたと語っている。
だが、他のブランドにはそのような余裕はない。
D2Cアパレルブランドレイ(Wray)の創業者レイ・セルナ氏は、「自分たちの服を見ていて、自分が客だったら買うことすらできないという時点にきている」と話す。「私たちは価格を下げたので、すべてが200ドル(約2万9700円)以下になった。それでも多くの人には手が届かないが、もうこれ以上は下げられない」。
経済にはリスクがつきもの
マスターカードのチーフ・エコノミスト、ミシェル・マイヤー氏は、ある程度の希望が持てる理由があると語る。インフレ率全体は昨年6%だったが、今年は3%まで下がっているのだ。
「経済にはリスクがつきものだ」とマイヤー氏は言う。「自動車ストのようなリスク要因もあるし、学生ローンの支払いに関する懸念もある。ホリデーシーズンの直前には、経済を停滞させるような多くの要因が同時に襲ってくる。しかし、我々の感覚では、いまのところ景気は堅調に推移している」。
[原文:Rising rent prices and credit card debt force consumers to deprioritize fashion]
DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)