2016年6月化粧品メーカーのリンメル(Rimmel London)は、AR(拡張現実)でメイクアップを試すことができるアプリを試験的に導入した。だが、同社は現在、Facebookのストーリー機能を利用したAR技術で、同じアイデアのユーザー拡大を目指している。
2016年6月化粧品メーカーのリンメル(Rimmel London)は、AR(拡張現実)でメイクアップを試すことができるアプリを試験的に導入した。だが、同社は現在、Facebookのストーリー機能を利用したAR技術で、同じアイデアのユーザー拡大を目指している。
化粧品大手企業のコティ(Coty)傘下のブランドであるリンメルは8月2日、Facebookの新しいカメラエフェクトプラットフォームで、インタラクティブなフィルターをローンチした。実際にFacebookアプリ内のカメラで、リンメルの4種類のアイライナーを使って自分の目元にアイラインを引いたユーザーは、みな驚きの声をあげている。彼女らは、お気に入りのアイライナーを引いた写真を撮影し、それをFacebookのストーリーに投稿して、シェアできるのだ。
アプリよりもFacebookで
コティのデジタルイノベーションを統括するグローバルバイスプレジデントのフレッド・ジェランタビー氏によれば、Facebookのストーリー機能は、リンメルの無料アプリ「ゲットザルック(Get the Look)」と同じ技術を使っているという。ダウンロードさせるという高いハードルがあるため、新しいアプリのユーザーを増やすのは簡単なことではないが、Facebookを活用すれば、より多くのオーディエンスに届く見込みがある。
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実際、リンメルはアプリ「ゲットザルック」のダウンロード数を公開していない。だが、AppleのApp Storeを見ると、投稿されたレビューはわずか15件しかないようだ。
アプリ開発者は、FacebookのARスタジオを使って無料でカスタムエフェクトを作ることができる。これはアプリを作るよりも安上がりだ。一方、Snapchatの同様のフィルターは「高額な料金設定が有名で、利用できるのは大抵1日か2日、長くても1週間だ」と、ジェランタビー氏は語る。
リンメルは、FacebookのAR技術を早々に導入した企業だ。4月に開催された毎年恒例の開発者会議「F8」でFacebookは、自社のカメラエフェクトAPIを限られた開発者と共有するため、クローズドベータ版を発表した。リンメルと連携してメイクアップを試すエフェクトを開発したARのホリション(Holition/本社:イギリス)は、このクローズドベータ版の対象開発者に選ばれている。
しかし、有料化の可能性も
ただし、Facebookがベータ版の公開範囲を拡げ、同社の技術を収益化するタイミングはまだまだ不透明だ。Facebookの広報担当者によれば、「これらのツールはまだ開発初期段階のため、カメラとカメラエフェクトプラットフォームの両方をユーザーのために最適化することに取り組み、今後時期を見て、企業向けに有料化を検討する予定だ」という。
プロサッカークラブのマンチェスター・ユナイテッドやゲーム開発業者EA、スポーツ用品大手のナイキや大手フレグランスブランドのグッチ(Gucci/グッチはコティの傘下にあり、リンメルの姉妹ブランドとして機能している)など、ほかのブランドもARエフェクトを試験導入している。たとえば、ナイキはARでユーザーの頭にヘッドバンドを表示させ、走ったルートの地図を追加表示させる機能を活用した。
「新しいものを導入するときは常にリスクを伴うが、Facebookやインスタグラム、Snapchatのプラットフォームは、すでにユーザーが使い慣れているものに機能を追加できるという最大のメリットがある」と、コティのジェランタビー氏はコメントした。
Ilyse Liffreing(原文/ 訳:SI Japan)
Photo from Getty Images