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コロナ禍における、南国 インフルエンサー パーティが炎上:ECサイト「リボルブ」の誤算

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新型コロナウイルス以前の時代には、モデルやインフルエンサーを集めたトロピカルなヨットパーティーは、魅力的な写真を数々生み出し、結果としてソーシャルメディアでのエンゲージメントをもたらし、それで(炎上することもなく)「終わり」になっていた。しかし、パンデミックが続くなかバミューダでおこなわれた1件のインフルエンサー向けイベントは、警察の捜査を呼び、バミューダの首相と国家安全保障省から批判を浴びることになった。

米国でのワクチン接種率が上昇し、コロナウイルスの新規感染者数が減少するなか、米国のファッションブランドやビューティーブランドはインフルエンサーたちを旅行に連れて行くインフルエンサートリップを主催し始めている。これはパンデミックが始まった2020年3月上旬以降、初めての傾向だ。しかし、順調な滑り出しとは言えない。

6月はじめの1週間、オンラインセレクトショップのリボルブ(Revolve)はバミューダに滞在していた。これは、5月に開催したバハマ近くのタークス・カイコス諸島への旅行に続いて、パンデミックが始まってから2回目のインフルエンサートリップとなる。同社は旅行中にさまざまなイベントを開催する許可を滞在国から得ていたが、ミュージシャンのシャギーのコンサートを目玉にしたボートパーティーの動画が、バミューダにおける「政治論争」に火をつけた。イベント開催許可を得ているとしても、地元住民はまだパンデミックによる厳しい外出制限を受けているからだ。

発端はインスタグラムへの投稿

シャギーによるボートパフォーマンスのビデオがインスタグラムに複数投稿されたあと、バミューダ首相であるデイヴィッド・バート氏は6月9日に、動画のなかに「違法なラフトアップ(ボートに別のボートやいかだをつないで曳航する行為)」が映っていることを指摘するツイートを投稿した。それを受けて同地の治安機関である国家安全保障省が出した声明では、リボルブはパーティの許可は得ていたものの、ラフトアップ禁止に関する「明白な法律違反」があったと述べた。バミューダの国家安全保障大臣であるレネ・ミン氏は、ソーシャルメディア上で投稿されたコンサートの画像群は「非常に憂慮すべきものであり、非常に残念だ」と述べた。

ー 違法なラフトアップと思われる画像群は、ラフトアップが許可されていないバミューダの法律に準じていない。この件に関してバミューダ警察当局と協力するように国家安全保障大臣に依頼した。

リボルブ側は釈明も、地元住民は納得せず

リボルブのeメールによる声明によると、同社とイベントを催したバルミューダのイベント運営会社であるダスフィート(Dasfete)は「現在、娯楽目的のラフトアップの設置は認められていないことは認識しており、そのうえで国家安全保障大臣室が定めたすべての規則、規制、安全対策を遵守していた」とコメントしている。また、「(イベント当日は)海上警察が1日中立ち会っており、彼らがイベントを訪問して我々の(コロナウイルス関連のイベント・滞在に関する)免除措置に関する情報を入手した際にも、コロナウイルス対策関連の違反はなかった。2隻のボートは、イベントの雰囲気を出すためのマーケティングを目的としてパフォーマンス中にのみ設置されたものであり、ボートの操縦者たちとの接触を避けるためにゲストはボートに搭乗することは許されなかった(ボート操縦者たちはすでにワクチンを接種していたか、イベントから3日以内にPCR検査を受けていた)」としている。

Twitter上に投稿された動画では、メインのボートに取り付けられたボートには確かに人が乗っていないように見える。

ダスフィートもまた声明を発表し、イベント当日は規則を遵守しており、現在も当局に協力していると述べた。しかし、このニュースはバミューダの人々からさまざまな反応を呼んだ。

バミューダ出身でHBOのドラマ「インセキュア(Insecure)」の衣装デザイナーを務めるシオナ・トゥリーニ氏は、自身のインスタグラムストーリーズで次のようにコメントしている。「新型コロナウイルスのパンデミックのさなかに、病院がひとつしかない21マイル(約34キロ)の島でリボルブがインフルエンサー向けの旅行をなぜ主催しているのか、なんとか理解しようとしている。パンデミックにおいて地元の人たちは、幅広い規制を受けているが、(イベントでは)その規制が主催側に求められていないか、準じられていないように見える」。彼女はこのことが「リボルブの社会的責任の欠如と、バミューダの文化や地域社会を完全に無視している」ことを示していると感じており、イベントの参加者は地元の非営利団体に寄付するよう勧めた。同氏からは本稿のために追加のコメントは得られなかった。

リボルブは、バミューダの女性のための支援センター(Woman’s Resource Centre)に2万ドル(約220万円)を寄付し、バミューダの児童・家族保護局(Department of Child&Family Services)に女児用衣服を寄付すると発表した。

一方、バミューダに拠点を置くイベント会社らのグループは、地元企業ではなく外国企業に例外措置を与えた政府への不満を表明する形でこの事件に反応した。この事件は、バート首相が外国企業を贔屓し、利益を得ていると批判する首相の政敵を中心として論説や声明を巻き起こしている。

「合法」であってもイメージは失墜

リボルブは、今回の旅行の許可を得るために当局から大規模なイベントに対する免除措置を受け、すべてのゲストと請負業者は、参加前に完全なワクチン接種とPCR検査を受ける必要があった。ロイターによると、6月14日現在、バミューダ諸島の人口の推定58.6%がワクチン接種を受けている。

パンデミックの期間中、米国のインフルエンサーたちはパンデミックのルールを公然と無視したパーティを行い、ソーシャルメディア上で多くの人々からの怒りを集めてきた。ブランドたちは必死で規制に従ってイベントを開催していることを示そうと努力し、またパンデミックの状況は改善しつつあるにもかかわらず、インフルエンサーたちが大手を振ってイベントに参加するのは困難なままだ。バミューダのコロナウイルスリスクは、最近CDC(米国疾病対策予防センター)によって「中等度」に認定される程度まで改善され、過去3日間の新規感染者数は1名となっている。しかし、バミューダの市民にはいまだにパーティーすら許可されていない。そんななかで裕福なアメリカ人がやってきて、盛大にパーティーをおこない大騒ぎする映像は、人々のあいだでフラストレーションを引き起こした。

この反応を受けて、モデルでイベント参加者のスーケイナ・ディウフ氏は彼女のソーシャルチャンネルに声明を投稿し、バミューダの人々に向けて 「私はパンデミックがあなたの国に与えている影響を教えてもらった、ここで過ごした時間が誰の気分も害さないことを願っている」と述べた。

また、バミューダ観光局もリボルブにサポートと指導を提供し、バミューダを観光目的地として宣伝するために同社とソーシャルメディア契約も結んでいた。イベントのさまざまな反応を受け、「残念ながら、承認されたプロトコルの違反があった可能性がある」とし、警察の捜査結果を待っているとの声明を発表している。

[原文:Revolve’s Bermuda influencer yacht party becomes Covid-19 protocol flashpoint

LIZ FLORA(翻訳:塚本 紺、編集:分島 翔平)