持続可能性と並んで、プラスサイズにも対応するサイズの包括性(インクルーシビティ)は現在のファッション業界で最大の話題のひとつとなっている。米国の平均的な女性はサイズ16を着用していることから、小売業者は顧客たちから通常のサイズ12を超えて、それ以上のサイズの商品を拡大するよう求められている。
持続可能性(サスティナビリティ)と並んで、プラスサイズにも対応するようなサイズの包括性(インクルーシビティ)は現在のファッション業界で最大の話題のひとつとなっている。米国の平均的な女性はサイズ16を着用していることから、小売業者は顧客たちから通常のサイズ12を超えて、それ以上のサイズの商品を拡大するよう求められている。過去2、3年で、リフォーメーション(Reformation)、フォー・ラブ・アンド・レモンズ(For Love & Lemons)、アンソロポロジー(Anthropologie)などのトレンド重視のブランドはすべて、程度の差はあれ「プラスサイズ」と呼ばれるサイズへと拡大した。アライド・マーケット・リサーチ(Allied Market Research)が発表したレポートによると、プラスサイズの衣料品市場は、2019年に4810億ドル(約527億円)を獲得し、2027年までに6970億ドル(約756億円)に達すると予想されている。
「お姫様風」の個性的なファッションを提供するセルキー(Selkie)にとって、プラスサイズの消費者とつながるための鍵は、ブランドローンチの当初からXXSから5Xサイズまで提供することだった。セルキーは創業者のキンバーリー・ゴードン氏による第2のファッションレーベルだ。彼女は2007年に親友のエミリー・フォールスティッチ氏とコンテンポラリーなウィメンズブランドであるワイルドフォックス(Wildfox)を立ち上げた。ゴードン氏は2015年にワイルドフォックスを去り、同社は2020年にFAMブランズ(FAM Brands)に買収された。セルキーの収益に関する数字はゴードン氏は述べなかった。
ワイルドフォックスを去って3年後に、ゴードン氏はセルキーをローンチし、ボディポジティブなフェミニストのメッセージを全面的に打ち出した。セルキーの、体型を美しく見せてくれる「パフドレス(Puff Dress)」は、たちまちさまざまな体型のインフルエンサーの定番プロダクトとなった。人気ファッションインフルエンサーのアリッサ・コスカレリは2019年8月に同社のドレスを紹介し、同じくインフルエンサーのニコレッテ・メイソンも同年10月にそのドレスに関する投稿した。
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2018年に小売のリボルブ(Revolve)がセルキーを取り扱い始めたとき、同社はそのスタイルをLサイズでしか販売しなかった。「当時は(リボルブは)XLを買わなかったので、試してみるように頼んだ」とゴードン氏は言った。彼女は、リボルブにとってはセルキーの最初のシーズンは「賭けだった」ことを認める。セルキーの販売が軌道にのるまで、時間がかかったという。
「プラス・サイズを取り扱ってもらうなど、何かを(小売に)してもらうためには、ブランドの価値を証明しなければならない」と彼女は言った。「そのためにはブランドが本当にトレンディな存在にならないといけないことを理解していた。それが彼らのビジネスモデルのようなものだからだ」。
さらに5Xまで拡大する計画
その4年後、セルキーはリボルブで2X(サイズ16とほぼ同じ)の在庫を持つ最初のブランドとなり、一部のスタイルではサイズをさらに5Xまで拡大する計画だ。この「上位サイズ」がリボルブで購入可能になって、まだ数週間しか経っていない段階で、ゴードン氏はさらに多くのアイテムが登場することを約束した。彼女はこの成長は顧客のおかげだと考えている。特に、現在1000人以上のメンバーがいるセルキー・オブセスド(Selkie Obsessed)というFacebookグループに参加している顧客たちだ。このグループは、26歳のオリビア・ホッブズ氏によって始められた。彼女は当初、200ドル(約2万1900円)のセルキーのドレスをオンラインで購入することに不安を感じており、購入前にほかのファンと連絡を取って写真やサイズのヒントを交換したいと考えた。これがグループ開設のきっかけだった。
フィット感に関するアドバイスの交換に加えて、このグループはセルキーのドレスを扱っている小売店、また特に限定アイテムについても投稿している。ホッブズ氏は2Xサイズを着用するが、リボルブのサイズの範囲が小さいことに不満がある。インフルエンサーたちもまた、最近、TikTok上で同じような苦情を寄せている。「私はリボルブのウェブサイトに行き、フィードバックを送れるページを見つけた」とホッブズ氏は語る。その後、彼女はこのページのリンクをグループと共有し、フィードバックをほかの人たちも送るように促した。
リボルブは、ユーザーからのこういったフィードバックがプラスサイズを導入した理由だったかどうかを明言しなかった。同社の最高マーチャンダイジング責任者であるローレン・ヤーケス氏は、「私たちは、素晴らしいビジネスパートナーと出会うチャンスがあると、常に一緒に働く方法を見つけようとする。なのでセルキーとの取り組みにも非常に興奮しており、できる限りのサポートを続けていく」と述べた。
悪循環が続けられている
話の中で、ゴードン氏はリボルブには非がないことをすぐに述べた。同社が取り扱うブランドの多くは、サイズ12以上の服をそもそも製造していない。ライン・アンド・ドット(Line&Dot)、ラブシャックファンシー(LoveShackFancy)、ジマーマン(Zimmermann)などがこういったブランドに含まれる。
彼女は、このような現状の理由の一部は「異なる時代のやり方」にあることを挙げている。ミレニアル世代のなかでも年齢層が高い人々は「適切なサイズ」を得ることができないのが普通だったため、その悪循環が続けられていると、彼女は言う。リボルブはコンテンポラリーブランドに特化しており、その市場は2000年初頭にブームとなった。彼女は、Z世代が年齢を重ね、自分たちでビジネスを始めるにつれて、この現場にも変化が現れていると考えている。
「すべての新しいブランドが、これらの(プラス)サイズを提供するようになるだろう。すると、店舗側も購入する機会が増える」と、彼女は言った。2019年にスタートしたパレード(Parade)は、XSから3Xを提供している。創業5年になるグッド・アメリカン(Good American)はサイズ0から24までを販売している。
リボルブは、「セルキーを使ってこの製品をテストし、顧客がどのように反応するかを確認してから先を考える」計画だとヤーケス氏は述べた。ゴードン氏によると、同社はこれらの追加サイズをマーケティングする「計画を立てている」という。
「プラスサイズのモデルを見たい」
しかしゴードン氏は、これだけでは新規顧客をリボルブに引き付けるのに十分ではないと懸念している。「(セルキー以外では、プラスサイズがあることを期待してリボルブに来る)顧客はいない。このようなサイズがあることを一般の人に教えなければならない」と彼女は言った。
「これまでのところ成功を収めており、必要に応じて再注文している」と、セルキーのプラスサイズのスタイルについて、ヤーケス氏は言う。「当社は非常にデータ主導型の企業であり、顧客の需要があるところに目を向ける」。
リボルブ・グループ(Revolve Group)の2020年第4四半期の純売上合計は1億4080万ドル(約154億円)で、前年比5%減だった。
ほかのデザイナーたちもサイズを拡大するにつれて、ホッブズ氏はリボルブのウェブサイトでもプラスサイズのモデルを見たいと思っている。彼女はリボルブの寛大な返品ポリシーとトレンドに焦点を当てたプロダクトラインアップを気に入っており、リボルブで買い物をするのが好きだが、自分に似たモデルを見たらもっと購入するだろうという。
「(プラスサイズのモデル起用)はもちろん我々も調べている分野だ」と、ヤーケス氏は語る。「より包括的なサイジングをテストし、プロダクトを拡大させるにつれて、異なるボディ・タイプで紹介することがもちろん重要だ」。
[原文:Revolve is (finally) selling sizes beyond 14]
ELIZABETH DENTON(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)