Glossyは、10月11日、エルベエジェ（Hervé Léger）とともに、ニューヨーク市のエンパイアステートビルにあるエルベエジェのショールームで、Glossy+メンバー限定のエグゼクティブラウンドテーブルの最新イベントを主催した。ファッションブランド、小売業者、エージェンシーのエグゼクティブ数十名が集い、業界が直面している課題とその対応の戦略について活発な議論が行われた。

ここでは、出席者から挙げられた最大の課題3点と、各課題についてのコメントを紹介する。

返品への対応

エグゼクティブラウンドテーブルの出席者からも挙げられたように、ブランドは製品返品率の上昇に悩まされており、ブランドのなかには返品手数料を請求し始めたところもある。

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メイシーズ（Macy’s）やJCペニー（JCPenney）で取り扱われている創業38年のあるプレタポルテブランドを率いるロシェル氏は、「オンラインだけではなく、実店舗での返品に関して目にしているのは、一部の小売業者が現在異なるポリシーを設けているという問題だ」と言う。「バーグドルフ・グッドマン（Bergdorf Goodman）やニーマン（・マーカス、Neiman Marcus）でさえも、30日や21日以内に商品を返品しなければならず、おまけに返品手数料かかる。店舗での返品であっても、リストッキングに9.95ドル（約1500円）を請求することが（しばしば）ある。これは業界の問題だ」。

一部の小売業者は、顧客が手数料を回避できるクリエイティブで双方に利益となる方法を提供している。「メイシーズでクレジットカードを作れば、返品手数料はかからない」とロシェル氏は述べた。

ファッションの返品の大きな要因は、サイズの問題である。出席者からは、3D製品モデリングなどこの問題の解決のための新技術はコストがかかることが多いという指摘があった。出席者らは、その代わりに、自社ブランドはより詳細な画像をサイトに追加することで改善を図っていると述べている。「問題の一部は教育だ」とロシェル氏。「服のフィットや実際の寸法について説明して、3D画像とさらに高度なテクノロジーをもっと多く提供して、顧客が製品を確認できるようにしなければならない」。

親会社セントリックブランズ（Centric Brands）のエルベエジェ部門責任者、メリッサ・レフェレ＝コブ氏は、特にエルベエジェ製品の伸縮性は独自のものであるため、同社がサイズ展開に関する情報を提示する新しい方法について語った。エルベエジェは定番のバンデージドレスとはフィット感が異なるかもしれない新しいニットのフィット感を伝えるために、製品ページで「ストレッチ オ メーター（stretch-o-meter）」を試している。

さらに、エルベエジェは、顧客から得たフィードバックについて店舗マネージャーとコミュニケーションを取っており、また、レント・ザ・ランウェイ（Rent the Runway）の同社製品に対する顧客レビューを活用している。

エルベエジェのクリエイティブ ディレクター、ミシェル・オクス氏は次のように語った。「当社はレント・ザ・ランウェイと大きな取引をしており、私はすべてのレビューを読んでいる。新しい製糸技術を導入したとき、バンデージのようには形状を保持できないというコメントを多く受け取った」。

UGCコンテンツの活用

会場での会話は、ブランドが信頼を築いて顧客獲得を推進するためにインフルエンサーとUGCコンテンツをどのように活用しているかということに移った。エルベエジェは、最新の製品群にさらに多くのサイズを含めた。同社はさまざまな体型のインフルエンサーと協力して、サイズ2（訳注：日本の女性Mサイズ相当、多くのブランドにとっての最小サイズ）以上の人にはエルベエジェの服を着こなせないという時代遅れの認識を変えようとしている。

「すばらしいインフルエンサーとのパートナーシップがある」とレフェレ＝コブ氏。「ロッキー・バーンズ氏は当社が再ローンチした際に製品を着てくれた、強力なサポーターだ。コンテンツはキングであり、ユーザー生成コンテンツがあると役立つ。インフルエンサーにエルベエジェを保証して『私はこれを信頼する』と言える能力があれば、それがその人のフォロワーに少しずつ伝わって、フォロワーがユーザー生成コンテンツを作れるようになる」。

だが、出席者は、顧客との関係性を維持するには一貫して優れた製品を作り続けることが重要であり、それがUGCを通じて長期的なロイヤルティを促進することにもつながるという点で最終的に同意した。

「顧客がブランドから何かを購入するとき、自分のサイズが買えるとわかってもらえるのはすばらしい」とある出席者は述べた。「誰もがトレンドを追いかけているが、顧客との信頼関係を築くことが大事だ。インフルエンサーによる一時的な人気や、注目の投稿で売上がアップするようなことはある。だが、やっているのはビジネスの構築であり、つまるところビジネスには優れた製品が必要だ」。

そして、クリエイターパートナーと同様に、ブランドパートナーも認知度を高めるためにすばらしい取り組みを行うことができる。「最高のコラボレーションというのは、通常、ブランドに非常に強力なアイデンティティがある場合に起こる。それは実に優れたカンバスなので、ほかの企業もそれを利用することができる」とレフェレ＝コブ氏。「バンデージドレスはエルベエジェならではの定番アイテムなので、ほかのブランドがその上に色づけしてコラボすることができる」。

Pinterest、ショート、Redditを通じたマーケティング

ディスカッションでは、出席者は、インスタグラムやFacebookのマーケティングは費用がかかる一方で、ショートやPinterestなどのほかのプラットフォームではもっと適切な顧客のセグメンテーションが可能である点に同意した。

あるラグジュアリーフレグランスブランドのブランド代表者は、「人々がインスピレーションを求めているPinterestでは興味深いことが多く起きている」と語った。「また、Redditは非常に大規模なプラットフォームで、多くの会話が行われているので、美容ブランド数社が参入している。異なる顧客を獲得することができる。TikTokから来る人のほとんどはZ世代の顧客だ。だが、Pinterestのユーザーにはいろいろな人がいる。ビジュアルからインスピレーションを得ている人たちだから。YouTubeのユーザーは長尺形式コンテンツを消費している。したがって、さまざまなターゲットグループや異なる年齢層を捉えることができる」。

［原文：Returns, brand longevity and emerging marketing channel advice from the Glossy Executive Roundtable］

ZOFIA ZWIEGLINSKA（翻訳：ぬえよしこ、編集：山岸祐加子）