「ハイプサイクルの流行期だ」: 自動運転車 、デリバリー用途にテストする小売業たち

小売業者がラストマイル戦略に自動運転車を組み込む競争がはじまっているが、メインストリームの消費者にこの技術が導入されるには、まだほど遠い。いまのところは、大手ブランドが、何らかの試験プログラムを展開しはじめつつある段階だ。

小売各社の最新動向

Amazonは1月下旬、一部の注文を自動運転車「スカウト(Scout)」で配達する試験プログラムを開始した。スカウトは、Amazon社内で開発されたもので、当初は従業員が同行する。ほかの小売業者は、テック企業と提携しようとしている。クローガー(Kroger)は、アリゾナ州スコットデールで試験中のデリバリーサービス「ニューロ(Nuro)」と協力している。

ウォルマート(Walmart)は、Waymo(ウェイモ)と提携して実験を行っていたが、その後、フォードやユーデルブ(uDelv)と、自動運転車に関するふたつの試験プログラムを展開。宅配への使用事例をテストしようとしている。ウォルマートは、顧客がどのように同社とやりとりするかをもっとよく把握し、そのデータを利用して、次に起きることを学びたいと述べている

小売業者は現在、自動運転車が顧客体験をどのような形で強化したり、サプライチェーンの効率を高めたり、大規模に導入したりできるかについて、理解しようと努めている段階だ。

ビジネスモデルは開発中

業界観測筋によると、使用事例はまだ本格的には具体化していないという。

自動運転車などの新興技術に焦点を当てるイノベーションコンサルタントであるグレイソン・ブルルテ氏は、次のように語る。「ビジネスモデルはまだ開発中で、取り組みが進められているところだ。小売業の観点からすれば、自動運転車による配達を小売の至高の目標と認めているわけではない。現在進化しはじめている小売のトレンドは、より体験ベースのものになりつつある」。

これは、自動運転車は基本的に、乗客に製品を販売したいブランドにとってのマーケティングツールになる、というコンセプトだ。移動する自動運転車は、デザインの革新やプロダクトプレイスメント、店内アシスタントの可能性を提供する。

ふたつの大きな障害

CBインサイツ(CB Insights)によると、46社が現在、何らかの形の自動運転車技術の導入に取り組んでいる。だが、ふたつの大きな障害が普及を妨げている、とブルルテ氏は語る。規制が十分に明確でないこと(これは、事故のときに特に重要となる)と、顧客が自動運転車の技術にまだ慣れていないことだ。

「いまのところ、自動運転車を取り巻く規制環境は不透明だ。国内に枠組みがない。もうひとつの障害は、一般の人々の支持だ」と、ブルルテ氏は語る。

顧客データプラットフォーム、イグニッションワン(IgnitionOne)の最高業務責任者であるクリス・ハンセン氏は、自動運転車の試験はさしあたって、消費者の興味をかき立て、この技術についてワクワクさせるためのマーケティングだという。

「こうした小売店の多くは、Amazonに追随しようと努めており、そうするのが当然だ。それがハイプサイクル(特定の技術の成熟度、採用度、社会への適用度を示す図:Wiki)のハイエンド(流行期)だ。あと15年や20年で、物事がどう進んでいくのかは非常に興味深い。荷物を運搬するAI搭載マシンを所有しているからといって、街の通りで人々に対する責任が生じないわけではない」。

費用対効果もいまだ不明

自動運転車を利用した配送が、この技術を導入するすべての小売業者にとって費用対効果が高いかどうかも明らかではない。

技術投資会社Altキャピタル(Alt-Capital)のパートナーであるエリック・シルバー氏は、次のように述べている。「これは、すべてのブランドが、費用対効果が高くて生産的な方法で行えることではない。Amazon式に行動する企業が独占力を持つかどうかは、現時点ではまだわからない」。

Suman Bhattacharyya(原文 / 訳:ガリレオ)