子供向けアパレルを再考する、大手リテーラーたち

さまざまな購買チャンネルとプラミアムブランドのプロモーションを試すことで、子供服カテゴリーを成長させる。それが今日の大手リテーラーたちの狙いだ。

ウォルマート(Walmart)は子供服カテゴリーに改良を加えようとしている、そんな企業たちの1社である。先日、子供服サブスクリプションビジネスのキッドボックス(Kidbox)とのパートナー契約を発表した。キッドボックスは2016年に創業された。ウォルマート経由で提供されるキッドボックスにサブスクライブすることで、親たちは毎月48ドル(約5350円)支払い、4〜5種類の衣服品を受け取ることができる。さらにウォルマートはキッズ向けのプレミアムブランドを追加すると発表している。ベッチー・ジョンソン(Betsey Johnson)やリーバイス(Levi’s)がそのブランドに名を連ねている。

キッズ向けの衣服カテゴリーは常に問題を抱えてきた。子どもの成長に合わせて親は常に新しい服を揃える必要がある。そのため購入時にはあまり高い金額を払いたがらないわけだ。しかし、サブスクリプションやレンタルといった新しいモデルであれば、リテーラーたちもセールスを伸ばすチャンスが見えてきた。子供服カテゴリーにおいて、もっとも買い物がしやすいリテーラーとして、どうやってポジションを獲得するか、競争が生まれている。また名前が売れているブランドデザイナーたちとパートナー契約を結ぶことでマーケティング効果を高めるという努力も同時に行っている。

ミンテル(Mintel)によると、子供服の売上は2019年末までに398億ドル(約4.4兆円)に達することが予想されている。年間の成長率は2%だ。さらにジンボリー(Gymboree)やトイザらス(Toys R’ Us)といったチェーンが破産したことで、マーケットに新規参入のスペースを生んでいる。

ライバルたちの動向

「現代のショッピング体験にマッチするような現代らしい便利さの形をリテーラーたちは探している。親たちは自分たちのものと、他のものも同時に買い物ができる場所で買い物がしたいと考えている」と、ミンテルのリサーチ・アナリストであるダイアナ・スミス氏は言う。

ウォルマート最大の競合であるターゲット(Target)とAmazonも今年、子供服のラインナップにおいてスタイルとトレンディさの刷新を強調している。ターゲットは、彼らの子供服ラインであるアート・クラス(Art Class)を拡大し、赤ちゃんと幼児向けのアイテムも追加すると発表した。これらのラインは、彼らのほかの子供服ラインであるキャット・アンド・ジャック(Cat & Jack)と比べると、「トレンドに即した」ものになると位置づけている。キャット・アンド・ジャックはよりベーシックであり、サイズやデザインの点では幅広いラインアップとなっている。

一方Amazonはジェイクルー(J.Crew)の子供服ブランドであるクルーカッツ(CrewCuts)のラインを3月にローンチした。これは限定ブランドをプッシュするAmazonの戦略の一環だ。ユーロモニター・インターナショナル(Euromonitor International)のファッション・ラグジュアリーコンサルタントであるアヤコ・ホンマ氏によると、今日の親は「トレンドを中心に据えた」服を持っていることに、より価値を置いているとのことだ。

「子供が生まれたばかりの親たちは。過去の世代と比べても可処分所得が多く、自分自身や自分たちの子供のファッションのインスピレーションのもととして、ソーシャルメディアやインターネットにより目を向けるようになっている」と、ホンマ氏はeメールで答えてくれた。

新しいモデルの可能性

さらに、ロケッツ・オブ・オーサム(Rockets of Awesome)やスティッチ・フィックス(Stitch Fix)といった子供服マーケットに新規参入してきた新しいリテーラーたちの多くは、サブスクリプションモデルや定期サービスを通じて、成功を収めようとしている。表面だけを見れば、常に新しい物を買い替えなければいけないアイテムという点では、適切なビジネスモデルのように思われる。しかし、プロダクトの返却や1カ月だけのキャンセルといった行動が難しければ解約者は増えるだろう。また、サブスクリプション・サービスはロジスティック面での調整が重要となる。顧客たちが頻繁に商品返却をすると、たちまちリテーラーにとって多くのコストが発生してしまう。今年初頭には、ギャップ(Gap)は2017年にローンチした子供服のサブスクリプション・サービスを静かに終了している。

キッドボックスのミキ・ベラルデリCEOによると、ボックス受け取りに関して、1年に6回というより大きなボックス受け取り枠を提供し、ウォルマートとパートナーを組むことでアクセス面も改善。そうすることで、ビジネスの柔軟さを改善させようとしているとのことだ。

「我々のシーズンにもとづいたローンチは、それぞれの顧客が好むタイミングとは、一致しないと学んだ」と、ベラルデリ氏は言う。

サブスクリプション形式に興味を持たない親たちは、レンタル形式に興味を持つかもしれない。レント・ザ・ランウェイ(Rent the Runway)は今月初めにキッズ向けのラインナップをローンチした。これによって子供服マーケットにより大きな足場をレンタルを経由して得ようとしている。ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)の子供向けラインナップといったプレミアムブランドにフォーカスを置くことで、特別なイベントのときに親たちが購入したいと思うようなアイテムも揃えている。

重要度が増す実店舗

そんななかでマーケットで重要となっているのは、ジンボリーとトイザラスが閉鎖したことで発生した、実店舗を持つ子供向けリテーラーという大きなギャップだ。リテールの実験的な形を試すことで、子供向けマーケットのより大きなシェアを獲得するチャンスが生まれている。子供たちを何らかの実店舗に連れて行く必要があるときに、頭に浮かぶリテーラーになろうとしているわけだと、スミス氏は説明する。

「36%の親が、学校がはじまる直前の時期が、子供と絆を深める時間だと認知している。(おそらく)相互にプロモーションをすることで、購買体験を可能にしたり高めたりする方法を考えるチャンスが生まれている」と語る。

Anna Hensel(原文 / 訳:塚本 紺)