「店舗配送」機能を強化する、リテーラーたちの思惑:競争の激化を受けて

コールズ(Kohl’s)は、シップ・フロム・ストア(ship-from-store:店舗配送)機能を高めるシステムを店舗に増やしている。顧客体験という点でターゲット(Target)、さらにはAmazonといった競合他社の上を行く方法を探しているのだ。

先日行われた四半期収支報告では、今年135店舗に「高度なシップ・フロム・ストア機能」を搭載すると発表している。昨年の10店舗と比べると大幅な増加だ。テクノロジーや処理プロセスをアップグレードすることでデジタルでの注文の処理をより効率化することになると、ミシェル・ガスCEOは言った。ガス氏によると、配送コスト削減のためには、オンライン注文のうえ店舗でのピックアップを行う顧客に増えて欲しいとのことだが、「デジタルにおける需要に追いつく」ためにもシップ・フロム・ストア機能は役立つだろうという。

オンライン上で顧客が購入・注文をし、店舗でピックアップするという仕組みはターゲットの成長において決定的に重要な要素となってきた。Amazon Prime(プライム)による2日後無料配送に顧客が吸い取られるなかでは特にだ。シップ・フロム・ストア機能はターゲットも抱えている。この機能もオンライン注文、店舗ピックアップのオプションと平行して着実に成長している。今年度の第三四半期には、ターゲットのブライアン・コーネルCEOは年比較でシップ・フロム・ストアの量は2倍に増加したと述べた。

店舗ピックアップとの比較

Amazonとの競争に付いていくために、リテーラーの多くは過去10年間の大部分において、注文処理のためのセンターとして実店舗を開発してきた。しかし、配送コストがリテーラーたちの収益をますます食いつぶしていくなかで、ターゲットのようにオンライン注文・店舗ピックアップをプッシュするリテーラーたちが増えている。

コールズの例で分かるのは、シップ・フロム・ストア機能は、まだ進捗のスローなプロセスということだ。この年末までに135店舗にこの機能を追加するという計画だが、それでも全店舗の10分の1を少し越えた数でしかない。

「本当の意味でオムニチャンネルを実現できれば、購買客たちはどこで購入アイテムを受け取るかを選ぶことができる。どれかひとつのオプションが消えるということは、しばらくないだろう」と、複数のキャリアを使った配送ソフトウェアをeコマース企業に提供するシッポー(Shippo)のCEOでありファウンダーであるローラ・ベーレンズ・ウー氏は言う。「これを実現するためには、アイテムが保管されているすべてのロケーションを横断して、在庫トラッキング、実店舗とオンラインチャンネル両方でのプランニングを、需要に対応する形でリアルタイムで行う必要がある」。

シップ・フロム・ストアのコツ

シップ・フロム・ストアを上手く行うために、店舗のレジで勤務する従業員の数と、店舗のオフィスで注文処理をする従業員の数を適切に判断する必要がある。自社で在庫管理システムを開発するか、サードパーティによるソリューションを使うべきか、という判断もある。

「特定の店舗をハブとして指定し、その他の店舗をスポークのように使うことが、シップ・フロム・ストアの賢いやり方だ。そこから、シップ・フロム・ストアを行う。なぜなら、出荷用に商品を梱包および保管するために指定された領域があるからだ」と、語るのは注文管理ソフトウェアのプロバイダであるオーダーダイナミックス(OrderDynamics)のマーケティング部門シニアバイスプレジデントであるチャールズ・ダイモブ氏だ。ベーレンズ・ウー氏もまた、密集する都会地区は特にシップ・フロム・ストアに適していると指摘する。ターゲットの最高オペレーティング責任者であるジョン・マリガン氏も、先日行われた投資家向けの説明会で、店舗の一部を配送センターとして都市部で使うことで、ターゲットは「個別の配送センターからの配送よりも少なくとも1日は早く、オンライン注文を配送できるようになった」とし、「いまでは同日配送を数時間以内に行えるようになった」と述べている。

eコマース調査企業のマーケットプレイス・パルス(Marketplace Pulse)のファウンダーでありCEOのジュオザス・カジウケナス氏は、オンライン注文・店舗ピックアップを消費者が行うように、もっとリテイラーたちは促進するべきだと考えている。これはによって配送コストが下がるだけではなく、実店舗への消費者の来店を増やすからだ。これは既存の店舗を維持できるか、リテイラーたちが心配している現状では、特に重要だろう。

複雑化する配送オプション

Amazonの便利さとの競争のなかで、リテーラーたちは注文の受け取り方を増やすプレッシャーを抱えている。シップ・フロム・ストアは今後より複雑になっていくだろう。ウォルマート(Walmart)のCEOであるダグ・マクミラン氏は直近の収支報告において、今後は顧客が配送時間帯をカスタマイズできるようなオプションを増やすかもしれないと、例を挙げた。

実店舗を配送センター兼注文ピックアップのロケーションとして機能させるためには、同様の投資が必要となる。Amazonが抱える無尽蔵のサービスと競争するためには配送オプションのひとつを完全に排除する、というわけにはいかない。オンライン注文という機能が存在する限りは、店舗ピックアップは成長し続け、そしてシップ・フロム・ストアも同様のことが言える。

「リテーラーが新しいテクニックを採用しようとしているなら、両方とも使う方が良いかもしれない」と、ダイモブ氏は言う。

Anna Hensel(原文 / 訳:塚本 紺)