Facebookグループ、リテーラーにとって「データの宝庫」?

ヒルシティ(Hill City)のウェアテストを行うFacebookグループ(Facebook Group)の一員になることが可能になるまでに、メンバーは4週間のプログラムに参加する必要があった。プログラム期間中、参加したウェアテスターは同ブランドから支給されたヒルシティの製品を着用し、その衣服を着用して2つから3つの活動を行い、1週間に1回、その衣服を洗濯する。肯定的に考えても、無理難題だ。

昨秋、ギャップ(GAP)が立ち上げた男性向けスポーツブランドであるヒルシティは現在、設立6ヵ月を迎え、Facebookグループに179人のウェアテスターを有している。ウェアテストプログラムは、1カ月前から開始され、ヒルシティでデザインおよびコンセプトを監督するルーク・リンダー氏と同社のコミュニティを管理するアンドリュー・マーシャ氏が統括している。このプログラムの目的は、ブランドがこの衣服を着用している人から直接フィードバックを集め、その情報をデザインや開発のプロセスに取り込むことにある。

チャットボットを利用してソーシャルメディアのフォロワーからフィードバックを収集するつもりだったが、この実験が失敗したことを受けて、Facebookグループを導入することになった。ヒルシティの本部長であるノア・パーマー氏によると、同ブランドは、ほかのウェアテスターが互いに考えをやり取りできるFacebookグループを導入するというアイデアに「偶然思い当たった」のだという。

「デジタルブランドとして、私たちはコミュニティを作ることに苦労している。Facebookグループはこれを有機的に統合してくれている」と、パーマー氏は言う。「(GAP)の製品群に対して私たちが担う役割は、既存の慣行を打ち破ることだ」。

会話を増やしてデータを取得

ほかのリテーラーやブランドは、Facebookグループを使用して顧客を集め、Facebookグループを誰もが入りたくなるコミュニティにしようとしている。参加したいと考えて加入する特徴を持つFacebookグループは、通常のWebページよりも親密に感じられるため、自然な会話が生まれやすくなる。そこで、リテーラーは、製品に関わりの深い顧客がどのように考えているかという洞察を直接得られるのだ。オーガニック製品や天然由来成分100%で作った製品を販売するオンライン食品雑貨店であるスライブ・マーケット(Thrive Market)は、サブスクリプション会員が新製品に関する感想を共有し、レシピを交換できるFacebookグループを持っている。16万8000人の会員を有するペロトン(Peloton)の会員公式ページは、ペロトン会員同士がつながり、ペロトンの最新のフィーチャーストーリーやお知らせに関する更新情報を閲覧できるフォーラムとなっている。

リテーラーは製品やサブスクリプション、利用特典などの開発により多くの顧客の洞察を反映したいと考えているため、Facebookグループはリテーラーの戦略にますます欠かせないものとなっていくだろう。また、FacebookにとってFacebookグループは、「プライバシー」への取り組みの面で、親密さを増す会話のなかから、データを掘り起こす方法である。同社によると、Facebookのユーザー24億人のうち、4億人以上がFacebookグループにすでに参加しているという。これはまた、ターゲット型の広告にも影響を与えている。つまり、Facebookグループのコミュニティで意見を主張できることを理解しているリテーラーは、そのオーディエンスを適切にマネタイズしながら、競争に負けないよう、より多くの資金をこのプラットフォームに費やす動機を得ている。

「1対1の会話の代わりにFacebookグループへ顧客を誘導することによって、Facebookはこれらの(親密な)会話がより多く起こるようにしている。会話が増えるほど、より多くのデータが得られる」と、ピュブリシスサピエント(Publicis Sapient)でグローバルコマース戦略担当バイスプレジデントを務めるジョン・ライリー氏は言う。「ここでは、しばしばそうであるようにFacebookも得をするし、リテーラーも得をする。なぜなら、データが増えるほど、売り上げが増加し、消費者のプライバシーを守れるからだ」。

非公式グループは真の金鉱

リテーラーにとって、真のFacebookグループの金鉱は、ブランドロイヤリストが「購入・交換・販売」という形式で始めた非公式のFacebookグループにある。たとえば、ロージーズ(Rothy’s)専用のFacebookグループは2つある。具体的には、「ロージーズ・アディクト(Rothy’s Addict)」と「ロージーズ・バイ/セル/トレード・アンド・チャット(Rothy’s Buy/Sell/Trade and Chat)」の2つだ。いずれのグループも、写真やスタイリングの秘訣の共有、またはブランドに関する質問を行うためのものだ。前者は、ロージーズの製品の購入・転売、あるいは製品を別の柄や色の製品に交換するためのグループだ。これら2つのグループは、それぞれ1万2000人と1万4000人の会員を持つ。これはまさにFacebookが優先して進めているオンプラットフォームコミュニティ型のもので、リテーラーは今後、ターゲティングに取り掛かるだろう。

「Facebookグループでは、会員から寄せられる意見をはっきりと聞いている」と、スライブ・マーケットでマーチャンダイジングを統括するエレミア・マセルウィ氏は言う。「気に入らない点があれば、我々に知らせてくれる。そして、我々は、それに基づいて行動する」。

Hilary Milnes(原文 / 訳:Conyac