米DIGIDAYでは小売業界の創業者や幹部、アナリストらから話を聞き、2019年の同業界の動向を大胆に予想してもらった。話題はAmazonから食料品、DTCまで多岐におよんだ。はたして彼らが予想する、来たる2019年に紙面を大きく飾るであろうヘッドラインとは?
2018年に一礼し、小売に関する2019年の見通しを議論する時期がやってきた。
米DIGIDAYは小売業界の創業者や幹部、アナリストらから話を聞き、2019年の同業界の動向を大胆に予想してもらった。話題はAmazonから食料品、DTCまで多岐におよんだ。
はたして彼らが予想する、来たる2019年に紙面を大きく飾るであろうヘッドラインとは?
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予想1:Amazonがマーケットプレイスに向けて、ベンダーと販売業者をひとつのシステムに統合する新フォーマット「ワンベンダー」をローンチする
Amazonが「ワンベンダー(One Vendor)」の発表を予定しているという噂の出所は、同社の販売業者向け新システムについて詳しく述べた、Recode(リコード)の記事だった。この新システムでは、Amazonが販売業者に同プラットフォームでの直販か卸売かを決める自由を与えるのではなく、同社が彼らに代わってそれを決めることになるという。あるエージェンシーのCEOが米DIGIDAYに語ったところによれば、ワンベンダーは半年後に登場する見込みだという。Amazonはワンベンダーなるプログラムの存在を一貫して否定している。
もし、これが現実のものとなれば、ブランドや販売業者は複雑な心境に襲われることになるかもしれない。あるアクセサリーブランドのCEOは、自社に最高の状況を作るための、Amazonによるブランド「いじめ」のようだと話す。Amazonが自社のことを一番に考えていないはずはないが、Amazonのエージェンシーであるチャネル・ベイカーズ(Channel Bakers)CEOのジョシュア・クライツァー氏は、ワンベンダーにはプラスの面もあると話す。同システムにより、ブランドはより多くのデータを入手し、よりうまく価格を設定できるようになる可能性があるというのだ。その結果はいまにわかるだろう。
予想2:Amazonがキャッシャーレス技術をホールフーズにも拡大する
「Amazon Go」が店舗数を伸ばし、いまや空港ターミナルなどの場所にも進出するようになっている。Amazonは自社のキャッシャーレス技術を高めつつあるが、この技術はいずれ、同社が2017年に買収したホールフーズ(Whole Foods)の約500店舗に導入されるだろう。そうなれば、初の大規模な、Amazonの技術のホールフーズ店舗への統合となる。Amazonがこれまでに同社の実店舗ネットワークに対して行ったのは、「バイ・オンライン、ピックアップ・イン・ストア(BOPIS:オンラインで買って、店で受け取る)」ケイパビリティの追加(これによって、ホールフーズとインスタカート[Instacart]の提携関係は終了)と、ディスカウントプログラムの導入(これについては、顧客のほとんどがデータ収集の可能性を疑った)ぐらいだ。
「Amazon Goがホールフーズにやってくる――これが私の大胆な予想だ。もしそうなれば、食料品カテゴリーを崩壊させる可能性は大いにある。いまのところまだ、Amazonはそうできていないが」と語るのは、調査会社ガートナーL2(Gartner L2)で主席アナリストを務めるクーパー・スミス氏だ。「Amazonはその可能性を否定しているが、そんなことはないと私はにらんでいる。Amazon Goは、小売事業の自動化や、顧客の行動の分析を目的とするデータ収集など、同社が投資を行ってきたすべての技術を象徴するような存在だ」。
予想3:DTCの淘汰が起こる
正直なところ、このバブルがついに崩壊するのは、2019年ではない可能性もある。だが、DTCリテールの変化にくわしい企業幹部は、簡単に数百万ドル稼げるチャンスを見つけて現れたブランドに残された時間は少なくなりつつあると考えている。アパレルブランドのロシーズ(Rothy’s)やコスメブランドのグロッシアー(Glossier)らは1億ドル(約110.6億円)超の年商を報告している。スニーカーブランドのオールバーズ(Allbirds)をはじめとするミッションドリブン型のブランドも評価額以上に収益性を自慢している。こうしたなか、成功のマーカーは目玉が飛び出るほどの資金調達ラウンドから持続可能性のサインへと移りつつある。
「非常に簡単に事業をはじめられるため、多くの企業が使命感を持ってブランドをローンチするようになった。そして、多くの企業がその成功を目撃し、自分たちもレシピに手を加えてブランドをローンチしたいと思うようになった。2019年はミッションドリブン型の創業者やチームに期待したい。状況を改善するチャンスはあると、彼らは確信しているからだ」と語るのは、ブランディング企業レッド・アントラー(Red Antler)の共同創業者でCEOのJ・B・オズボーン氏だ。「淘汰を目の当たりにすることになるだろう。日和見主義で、差別化された素晴らしいプロダクトを持っていないにもかかわらず、運良く世に出てトラクションを獲得できたビジネスは振り落とされるにちがいない」。
Hilary Milnes (原文 / 訳:ガリレオ)