ソーシャルメディアのコンサルタント、スプラウト・ソーシャル(Sprout Social)の最近の報告書によると、カスタマーサービスに改善が必要な業種として、小売業界が2番目に挙げられている。しかし回答率に関しては、調査対象の業界のなかでも小売業は、平均の11%に対して19%という、もっとも良い数字を示すという。
買い物客がFacebookやインスタグラムなどのプラットフォームに移るにつれて、カスタマーサービスもそこで行われることが求められるようになってきた。ソーシャルメディアのプラットフォーム上での買い物客の問合せをより良く管理する手法を見出すことが、小売店にとって非常に大きな焦点となっているなか、彼らはサービスを向上して顧客を引き入れることに苦戦している。
期待に沿えていない
ソーシャルメディアのコンサルタント、スプラウト・ソーシャル(Sprout Social)の最近の報告書によると、カスタマーサービスに改善が必要な業種として、小売業界が2番目に挙げられている。また、ソーシャルでの反応の速さに関しても、2番目に評判の悪い業界だという。こうした認識にも関わらず、スプラウトのデータによると回答率に関しては、調査対象の業界のなかでも小売業は、平均の11%に対して19%という、もっとも良い数字を示す。
それでも、これは小売業界が顧客の質問に対して19%しか答えておらず、81%は放置されていることを意味している。さらに、スプラウト・ソーシャルでコンテンツ関連事業のディレクターを務めるリズ・カネンバーグ氏によると、ブランドが実際の顧客の問い合わせへの返答には平均で10.6時間かかっているという。この数字は、自動車、金融、政府、メディアや不動産など、調査対象となったすべての業界のなかでも悪い数字であり、企業が消費者の期待に沿えていないということを示している。
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この報告書によると、ブランドのサポートを受けるためにソーシャルメディアで連絡を試みた消費者のうち、32%が30分以内に、42%が1時間以内に返答を期待しているという。これは、ほとんどの企業が満たすことのできていない基準だ。
スプラウト・ソーシャルによる、業界ごとのブランドと消費者の指標のまとめ。下から3行目が小売業(Retail)、項目の1列目が平均回答率(Avg. Response Rate)、2列目が回答までの平均時間(Avg. Response Time)。
消費者感覚との食い違い
「同じ土俵にいるほかの業者よりもレスポンスが早ければメダルを取れるというわけではない」と、リズ・カネンバーグ氏は語る。「小売はそのほかの業界と比べて回答率が良いことを示している一方で、消費者の感覚とブランドの行動とのあいだには食い違いがあり、顧客の欲求を満たしてはいない」。
ソーシャルメディアにおけるカスタマーサービスの取り組みの有効性を顧客に示せていないということは、ここ最近でエイソス(Asos)などのブランドが導入したチャットボットのような、怠惰なカスタマーサービスに遡ることができる。このブランドは2016年5月、何人かのユーザーが機械的で意味不明な回答を受け取ったことで、Facebookでの問い合わせにはきちんと人間が対応して欲しい、という顧客からの非難の的となった。
カネンバーグ氏によると、チャットボットが実在の従業員ときちんと協働するための道を見つけることはブランドとしての義務だという。ひとつの例としては、荷物のトラッキングなどの基本的な問い合わせはボットに任せ、そのほかの込み入った問い合わせには従業員が対応できるよう、時間を作ってあげるといったことがあるだろう。また、カスタマーサービスに関わる戦略を従業員に伝えるためにデータを集める、といったことにもボットは役立つではずだ。
「チャットボットが実用的に構築され、透明性のある形で導入されれば、大きな役割を果たすことができる」と、カネンバーグ氏は語る。「このようなチャットボットは、瞬時に回答するとともに情報の収集をはじめ、より繊細で人による解決が必要な案件や、顧客が人間の支援を求めた場合には、それを職員に受けわたすのだ」。