フロートライド(Floatride)はリーボック(Reebok’s)のランニングシューズのなかで、もっとも高価な部類に入る。しかし、その値段にも関わらず、リーボックのシューズ製品のなかで、もっとも評価が高く、売り上げも大きい。この陰には、1200人のランニングエキスパートたちのネットワークの貢献があるという。
1足150ドル(19,000円)のフロートライド(Floatride)はリーボック(Reebok’s)が提供しているランニングシューズのなかで、もっとも高価な部類に入る。しかし、その値段にも関わらずフロートライドは、リーボックがサイト販売している830種に及ぶシューズプロダクトのなかで、もっとも評価が高く、売り上げも4位を誇っている。この陰には、1200人のランニングエキスパートたちのネットワークの貢献があるという。
リーボックはアディダスが所有するブランドのひとつだ。7年間ほど、リーボックにとってランニング部門はそれほど重要ではなかった。そんなリーボックが、独自のフォームテクノロジーを使ったはじめての軽量・長距離走用のシューズを導入するときに、最大の課題となったのは、いかにしてランナーたちの信頼を勝ち取るかだったと、ブランド責任者ジェームズ・ウラード氏は語る。
「『クッション付ランニングシューズを提供してきた歴史がない』と、消費者に思われてしまっているなかで売り上げるのは困難だ。プロダクトのパフォーマンスという点で消費者は、ますますサードパーティーの評価を信頼するようになったと感じている。そのため、我々はプロダクトの性能とともにインフルエンサーマーケティングへ投資するようになった」と、ウラード氏は語った。
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インフルエンサーを拡大解釈
ウラード氏のチームは、ほかのリテイラーとは異なるアプローチをインフルエンサーマーケティングで試みている。通常であれば大きなフォロワー数を有するセレブやクリエイターたちに、フロートライドの性能について語ってもらう。しかしリーボックは、リテールマーケティングエージェンシーのエクスパーティシティ(Experticity)と協働し、スニーカー販売員やランニングクラブのインストラクターといった1200人ほどのグループに無料でサンプル使用してもらうことにした。
それから、彼らのレビューをレビューソフトウェアプラットフォームであるバザールボイス(Bazaarvoice)で集め、ローンチへと進めた。とは言っても、ポジティブなレビューをもらうためにお金を払ったわけではない。サンプルとして無料でスニーカーを渡しただけだ。
「インフルエンサーという言葉は幅広い言葉だ。我々にとってインフルエンサーとは、10万人のフォロワーをもつ人というだけではない。たとえば、彼らはランニング分野においての専門家であり、地元の靴屋だったり、ランニングクラブに参加している人々なのだ」と、リーボックのブランドマネジメント・アソシエイトマネージャーであるデイヴィッド・パイク氏は言う。「インフルエンサーマーケティングは定量化するのが難しい。しかしプロダクトレビューは形として存在するものだ。新製品の顧客レビューを人々が見たとき、彼らは商品についての情報を得た気分になるし、自信をもって購入できる」。
600以上のレビューを獲得
エクスパーティシティのCMOであるケビン・ナイト氏と彼のチームが作り上げたコンテンツハブでは、リーボックが1909年にはじめてランニングシューズを作ったときと同じくらい、いまのリーボックもランニングシューズ製作に向けて活気に溢れていることを示したかったという。このハブではまた、リーボックの研究開発チームのインタビュー記事も公開された。フロートライドがどうやって製作されたかを語っている。リーボックは前述のランニング専門家たちに、プロダクトのレビューを書き、それぞれのソーシャルで拡散することを薦めている。
フロートライドをリーボックが一般に公開した日、すでにウェブサイト上では600以上のプロダクトレビューが集まっていたと、パイク氏は言う。リーボックには別に、13万2000人のフィットネスインストラクターのコミュニティであるリーボックワン(ReebokOne)が存在しているが、そこともコラボレーションをしてフロートライドを推薦している。リーボックがランニングシューズ分野で拡大するにつれて、インフルエンサーによる推薦がマーケティング戦略の重要な役割を担い続けるだろう、とウラード氏は言う。
「消費者たちと双方向の会話を構築したいため、このアプローチに誠心誠意取り組んでいる。受け取っているフィードバックはネガティブなものであっても、我々が調整を行う助けとなる。クロスフィットコミュニティにおけるフィットネス愛好家を巻き込む形でプロダクトのローンチをしたことが以前ある。ランニングのようなカテゴリーでも、その手法が適応されるだろう」と、ウラード氏は語った。
Yuyu Chen(原文 / 訳:塚本 紺)