リーボック が立ち上げた、新「会員制プログラム」の狙い:カスタマーとの直接結びつくため

リーボック(Reebok)がカスタマーとの結びつきを強めるために、さまざまな取り組みを進めている。たとえば、レベル分けされたロイヤルティプログラムや無料配送、無料返送、VIPカスタマー向けのサービスやイベント、そしてトレーニングセッションをはじめとするパーソナライズされたサービスなど、多岐に渡る。

4月2日に同社はアンロックド(Unlocked)と名付けられた、新たなメンバープログラムの提供を開始した。同プログラムは3月の時点で同社のサイト上で静かに発表されていた。近年、高機能アスレチックウェアブランドのルルレモン(Lululemon)やアンダーアーマー(Under Armour)といった新興ブランドが、ロイヤルティプログラムで大きく成長を遂げている。リーボックにとって今回のプログラムは、こうした新興ブランドへの対抗策であり、販売を拡大し、カスタマーとのつながりを構築し、製品展開へのさらなるフィードバックを得るための取り組みだ。

リーボックのデジタル部門でグローバルリーダーを務めるマット・ブロンダー氏は、「アンロックドは根本的にバリューベースのプログラムだ。カスタマーは当ブランドとやりとりすることで報酬を手に入れることができる」と語る。「カスタマーの使用額に応じてポイントがつく以外にも、ソーシャルメディアでのインタラクション、アカウントの作成と内容の記載、イベントへの参加などでもポイントは加算される」。

アンロックドの中身と狙い

カスタマーはリーボックのサイトでプロフィールを作成することで、このプログラムに登録できる。同社の製品を購入してポイントを獲得できるほかにも、ブランドとのやりとりでもポイント報酬を得られる。たとえば製品をレビューしたり、Facebookやインスタグラム(Instagram)、Snapchat(スナップチャット)などのソーシャルメディアへ製品の体験について投稿したり、イベントに参加したりといった具合だ。そのかわりに、製品の送料と返送料が無料、トレーニングセッションへの参加、製品へのアーリーアクセス、プログラム独自のイベントへの参加、パーソナライズされたカスタマーサービスといった特典を受けられる。

このような体験ベースの報酬で、メンバーのニーズにあわせたものを提供できるように、リーボックはカスタマーに対して自身の好みに関する情報の提供を推奨している。また、リーボックは同社が認定したフィットネス専門家で構成されるトレーナーのネットワークであるリーボックワン(ReebokONE)を展開。アンロックドの開始にともない、このリーボックワンにおいてもメリットが増えるようだ。

同社がカスタマープロフィールの獲得を試みているのは、カスタマイズされたロイヤルティを提供するためカスタマーデータを増やし、フィードバックを集めて将来的な製品リリースに活かすためだ。ブロンダー氏によると、これは完全にリーボックのインハウスで行われており、そのため昨年でデジタル部門の社員を3割増やしたという。

リーボックの置かれた現状

2018年、リーボックの世界収益は18億ドル(約1980億円)で、親会社アディダス(Adidas)の同245億ドル(約2兆6950億円)に占める割合は小さい。リーボックの第3四半期は、売上5%減、収益1%減となっているため、アディダスはリーボックの収益を増やす試みを続けている。アディダスCEOのカスパー・ローステッド氏は昨年11月の業績報告で、収益性を重視し、「ブランドの魅力を満足できるレベルまで引き上げていく」と語っていた。そこで、リーボックは消費者の健康への関心の高まりを活かして、ロイヤルティプログラムを構築したのだ。

報酬プログラムにおいて同社は、ウェル+グッド(Well+Good)、フォレイン(Follain)、エクスヘイル(Exhale)、プロバー(ProBar)、トゥーラ(Tula)、カントリーアーチャー(Country Archer)、レズミルズ(Les Mills)といった企業と提携している。リーボックがパーソナライズされた体験ベースの報酬を提供している理由として、カスタマーに自身のプロフィールにデータを追加したり、ソーシャルメディアにリーボックのタグをつけて投稿したり、製品レビューを書いたりといった行動を促している点が挙げられる。

ブロンダー氏は「共有情報を活用して、製品やおすすめ製品をカスタマイズできるようになる。当社のあらゆる製品開発や設計ライフサイクル、市場投入に渡って活用できる情報だ」と語る。

インフルエンサー戦略の延長

コンバージョンを増加させるためにはカスタマーをインフルエンサーとして活用するのが非常に有効だとブロンダー氏は指摘する。今回の取り組みは同社がここ数年間取り組んできたインフルエンサーを用いたマーケティング戦略の延長だ。

同社は4月の後半に、読み込み時間を短縮して、バックエンドのデータ分析機能を向上させたリニューアル版ウェブサイトを公開する。ガートナーのシニアスペシャリスト、ベン・フェルドマン氏は、今回のロイヤルティプログラムをウェブサイトと組み合わせて立ち上げるのは良い戦略だと指摘する。

「ブランドがロイヤルティプログラムを立ち上げるときは、普通はもとからあるサイトのインフラの上に新機能を実装しなければならない。リーボックの場合、ロイヤルティをオンラインのショッピング体験に、一度に統合できるのは非常に有利だ」。

「スタートからデータ不足」

さらに同社はこれまでロイヤルティプログラムに付随していた割引クーポンではなく、パーソナライズされたライフスタイル関連の報酬を提供することで、カスタマーにデータ共有のインセンティブを追加した。だが、それでもリーボックのようなレガシーブランドは、すでにカスタマーデータの豊富なリポジトリを有するオンラインファーストのブランドを追いかける立場だ。

テックサイトであるT3のプレジデント、ベン・ガディス氏は次のように述べている。「スタートラインからデータ不足なのだ。ほかの(オンラインファースト)企業は、何年も先を行っている。リーボックは、さらに上の段階に進んでカスタマーを奪い返すには、どうすべきか考えなければならない」。

Suman Bhattacharyya(原文 / 訳:SI Japan)