リセールブームが続くなか、他社との差別化を試みるプレイヤーが増えている。中古ラグジュアリーマーケットプレイスのリバッグ(Rebag)はこれまでで最大のラウンドであるシリーズE資金投資ラウンドが3500万ドルで終結。新しい資金を使用してクレアテクノロジースイートという自社独自の販売テクノロジーを拡大する計画だ。
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リセールブームが続くなか、他社との差別化を試みるプレイヤーが増えている。
中古ラグジュアリーマーケットプレイスのリバッグ(Rebag)は2021年12月15日、これまでで最大のラウンドであるシリーズE資金投資ラウンドが3500万ドル(約39億9000万円)で終結したことを公表した。2014年に設立された同社は、新しい資金を使用してクレアテクノロジースイート(Clair Technology Suite)という自社独自の販売テクノロジーを拡大する計画だ。このツールにはクレアAI(Clair AI)という画像認識テクノロジーが含まれており、ハンドバッグを即時に認識して価格設定できるほか、クレアトレード(Clair Trade)という商品取引機能も搭載されている。
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ポッシュマーク(Poshmark)やデポップ(Depop)などほかのリセールサイトはピアツーピアで運営されているのに対して、リバッグは顧客の商品を買い入れ、鑑定してから商品としてリストに入れる。リバッグのサイトでは現在、ハンドバッグ、宝石類、時計など2万5000を超える商品が販売されている。またリバッグには合計7つの店舗があり、もっとも新しい拠点はロサンゼルスのビバリーヒルズに2021年11月に開設された。これらの店舗は精選されたバッグのセレクションを販売しており、顧客の商品の買い取りや交換も行っている。
マッキンゼー(McKinsey)が最近行った調査によれば、ラグジュアリーリセール市場は2030年までに倍増すると予測されている。リバッグの創設者であるチャールズ・ゴラ氏は、この市場のデジタル部分は依然としてほぼ手つかずの市場で、その理由から同社は社内での認証テクノロジーに投資し、将来ライセンス供与することを考えていると語る。
米モダンリテールとの対談で、ゴラ氏はリバッグのAIベースの販売プラットフォーム、ラグジュアリーリセール市場の課題、中古商品のリスティングのデジタル化の将来について解説した。以下の対談内容は簡素さと明瞭さを考慮し、多少の編集を加えたものである。
◆ ◆ ◆
――御社は何年も前から仮想認証ツールを構築してきた。リセールに対する関心が高まっていることは、御社のロードマップに影響を与えているか?
もちろんだ。この2年間に、中古品に対して多くの関心が向けられた。これは主に、消費者がより価値があり手頃な価格の商品を求めたことや、サステナビリティへの関心が高まっていることなどによるものだ。
多くの人々が自宅にいるため、ラグジュアリー商品の換金を求める売り手の数が増えている。このブームにより、当社はコロナ禍以前の水準と比較して、3倍の業績を上げることができた。当社への販売をワンクリックで行えるようにすることで、この勢いに乗り、さらに事業拡大をめざしている。
――多くのリセールプラットフォームが認証とリスティングのツールを構築している。リバッグのプロセスはピアツーピアのリセールサイトとどのように異なるのか?
当社のビジネスモデルは、完全に管理されたマーケットプレイスを中心としている。売り手と買い手との連携は、購入、鑑定、販売、顧客サービスなども含め、すべて当社が行う。このため、当社は売り手がリスティングのアップロードや管理を行うピアツーピアのマーケットプレイスとは異なる手法を採用している。
そして、当社はデザイナーズハンドバッグなど高級革製品を主な対象としている。そのような品を手放すには多くの信頼が必要だ。当社の平均発注価格は50〜60ブランドで約2000ドル(約22万8000円)と、ほかのリセールプラットフォームより大幅に高価なので、認証は最重要だ。
――御社の保有する技術によって商品の買い取りプロセスはどのように迅速化されるのか?
当社のAIベースのソフトウェアにより、商品の即時買い取りが可能になる。通常であれば、誰かが写真についてのフィードバックを送ってきてからようやく価格を提示できるところだ。当社のクレアプラットフォームにより、売り手が商品の画像をアップロードし、当社の倉庫に送信すれば、当社は数日以内に代金を支払う。これまでのところ、このソフトウェアは商品の約80%をカバーしており、今後も機能の増強を続けている。現在、技術チームはハンドバッグ向けの開発に取り組んでいるが、時計や宝石類などほかのカテゴリー向けの開発も行う。
クレアトレードにより、顧客は商品を閲覧しながら柔軟に販売やショッピングを行うことができる。たとえば、リバッグアプリのユーザーは商品をアップロードし、カート内の商品の価格に応じて、即座にスワップを作成できる。これまでのところ、当社ユーザーの5人に1人がこのアプリを使用してきた。当社が今回の資金調達で行っていることの多くは、このクレアAIとクレアトレードの一連のツールをベースに構築される。
――実店舗は、このソフトウェア拡張でどのような位置を占めるのか?
オフラインは依然としてリセールの大きな部分を占めるため、すべての店舗にこのソフトウェアを組み込んでいる。すべての店舗には独立したクレアキオスクがあり、顧客自身がここで販売ツールを使用し、商品を持ち込み販売することもできる。店舗によって当社は顧客の商品を即座に、予約なしで購入することができる。
パンデミック以後に、3つの店舗を閉鎖し、新たに3つの店舗を開設した。コロナウイルスの変異株があるため、依然として警戒している。しかし長期的には、やはり実店舗に関心がある。
――クレアのツールがほかの小売業者やブランドで使用されると考えるか?
多くのリセールマーケットプレイスが気づいているように、在庫の調達は、特に需要が急増したときに大変なことになる。我々は、誰かが愛用しているワードローブアイテムを手放すことを可能な限り簡単にする必要がある。中古品の売り手は、裕福で、新品のラグジュアリーを購入し、シーズンごとにスタイルを替えることを希望している買い物客が多いことを発見した。一方、中古品の買い物客は、より若く、ラグジュアリーバッグを手頃な価格で購入する方法を求めている(そして多くの場合、アファーム[Affirm]の支払いプランで購入する)。クレアAPIは、ほかのマーケットプレイスや、ラグジュアリーブランド、百貨店などにもライセンスが供与されるだろうと考えている。
[原文:Rebag founder Charles Gorra on building automated resale tools]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Rebag