「成功すると確信した」: バイエルの完全「インハウス化」、2020年末までに達成予定

ドイツの製薬会社バイエル(Bayer)がプログラマティックバイイングの内製化をはじめたのは単なる思いつきではない。同社のインハウスチームがプログラマティックと検索、デジタルアナリティクス全般を運用するようになって2年目になる。同チームは2020年末までにデジタルをすべて社内で購入できるようにする予定だ。

バイエルのメディア戦略とプラットフォーム担当バイスプレジデントを務めるジョシュ・パラウ氏は、この目標は同社のインハウス戦略にとって重要な指標だと語る。プログラマティックのインハウス購入に移行する前に同社は、データと技術、提携するメディア企業について研究と準備を進めてきた。

10月16日から18日にかけてフロリダ州のキー・ビスケーンで行われたDIGIDAYメディアバイイング・サミット(Digiday Media Buying Summit)でパラウ氏は「インハウスを開始してから提携企業を決めるまで、半年かけるような事態にはならなかった」と語っている。「準備を万端に整えてから実行に移した。土台をしっかりと作ったうえで、あらゆる準備が整って成功すると確信したから実行に移したのだ」。

いずれテレビも視野に

とはいえ、いきなり同社担当のメディアエージェンシー、メディアコム(Mediacom)との提携を全面解消して自社でプログラマティックの運用を開始したわけではない。バイエルはマイティハイブ(MightyHive)と移行支援のための2年契約を結んだ。その契約書のなかでは、バイエルが人員を増強する際に、マイティーハイブがバイエルの事業から人員を撤退させる「漸減モデル」の概要が書かれていた。

米DIGIDAYが以前報じた通り、バイエルはプログラマティックの内製化を実行して最初の6週間で1000万から1100万ドル(約11億から12億円)のコスト削減を実現している。パラウ氏はそれ以降にコスト削減が行われたか、そして現在のプログラマティックのコストについて明かしていない。

バイエルでは内製化によって、ブランドメディア予算の割り当てが変化した。同社において、昨年のデジタル支出は4割、テレビ支出は6割だったが、今年はデジタル支出が昨年よりも40%増加している。来年にはバイエルのデジタル支出がテレビ支出を上回る見込みだ。メディアコムは現在もバイエルのテレビのバイイングを担当している。だが、バイエルはチャンネル計画全体に社内のメディアストラテジストがより積極的に関わっていくよう取り組んでおり、テレビの全メディアデータの内製化も進めている。

内製化のメリット

内製化することで、バイエルは購入関連の問題にもより迅速に対処できるようになる。たと明確な理由が分からないままCPMが上昇した際に、同社はいくつか購入を控えたことがあった。エージェンシーを介して購入していると、こういった措置には長い時間がかかる。エージェンシーが事態を把握し、理由を解析してバイエルに伝えてから対処することになるからだ。

パラウ氏は、インハウスチームとブランドチームが連携をとって業務を進めるように取り組んでいるという。「当社のインハウスチームは別のフロアで人知れず細々と仕事をしているような小さなグループではない」と、パラウ氏は語る。「ブランドチームに組み込まれていなければ、ふたつの問題が生じるだろう。まずは消費者のことを理解できないため、良い仕事ができなくなる。そして、ブランドから我々が切り離されたグループとみなされてしまう。それでは、エージェンシーと変わりない」。

現在、同社はふたつブランドで、この組織モデルを試験運用している。このふたつは、専門のメディア担当、検索担当、プログラマティック担当をつけて協力している。「消費者のことを理解してさえいれば、プログラマティック担当の方がブランドにとってはるかに効果的な仕事ができると考えている」と、パラウ氏は語る。「ブランドと切り離したインハウスモデルではこのことがわからず、利益やPLについて把握しないまま、大まかな決定を下してしまうことになりかねない。ウォルマートがなぜ常に店内で従業員にさまざまな業務をさせているのかといった内情もわからないままだろう。ブランドと提携することは、双方にとって学びの機会になるのだ」。

インハウスのプログラマティックはクリエイティブの面でも良い効果がある。インハウスチームがこれまで以上にクリエイティブエージェンシーと連携して業務に当たれるためだ。バイエルはクリエイティブエージェンシーに対してブランドが求めるオーディエンスについて明かし、このオーディエンスに効果的なクリエイティブの作成を要求している。

「業界の重要な転換点」

全体的に見て、バイエルは現在も成長を続けるインハウスチームの扱い方について学んでいる最中だ。同社は現在、インハウスのプログラマティックチームに適した人材の雇用に専門で取り組む人事担当を置いている。パラウ氏はチームが最終的に何人になるか明かしていないが「必要なだけ増やす」としている。

「これはトレンドでも一時的な流行でもない。我々の業界における重要な転換点となっている」と、パラウ氏は指摘する。「内製化に取り組むブランドは増え続けている」。

Kristina Monllos(原文 / 訳:SI Japan)