Facebookの「暗号通貨」広告禁止、ICO環境への影響は?

Googleはペイデイローンの広告を禁止したが、広告業者たちがすぐにプロダクトを宣伝する別の手段を見つけてしまったのと同じように、Facebookの禁止も、ICOにはほとんどなんの影響もないだろう。ビットコインの価値はFacebook広告とはなんの関係もない。

メディアの見出しを読んでいると、ビットコインバブルと暗号通貨の熱狂にとって、先月末はまったくいいところのない、悲惨極まりない、散々な日々だった。

Facebookは1月30日(米国時間)、詐欺を防止する動きのひとつとして、同プラットフォーム内での暗号通貨の提供や暗号通貨の広告掲載を禁止すると発表。この発表から24時間以内に、米商品先物取引委員会(CFTC)はビットフィネックス(Bitfinex)とテザー(Tether)を召還し、米証券取引所(SEC)はアライズバンク(AriseBank)による新規仮想通貨公開(ICO)を中止した。また、ほぼ同じタイミングで韓国は、6億ドル(約650億円)が暗号通貨関連の犯罪に結びついていることが判明したことを明らかにしている。

だが同時に、株取引アプリ「ロビンフッド(Robinhood)」は、2月末には同プラットフォーム上で16の暗号通貨を手数料なしで取り引き可能にすると発表。また、先ごろ一部の「スクエア・キャッシュ(Square Cash)」ユーザーがビットコインを売買できるようにしたばかりのスクエアも、1月31日にサービスの対象者を全ユーザーに拡大した。

関係ない人、不運な人

実のところ、暗号通貨を扱う会社や提案されたICOについて真剣に考えている人にとっては、Facebook広告はそれほど大きな問題ではない。Facebookからの広告削除が、計画のペースダウンになにがしかの影響を及ぼすことは確実だとしても、メッセージを広く伝える方法はほかにもいくつかある。招待された人に限られるが「テレグラム(Telegram)」のグループチャットやインターネットのチャットルーム、Reddit(レディット)などを通じて可能だ。Facebookへの広告掲載は明らかに、単にマインドシェアの問題だと、チューリング・グループ(Turing Group)の共同創設者、シド・カーラ氏はいう。

「技術的にそれほど難しくないプロジェクトは得られるお金も少ないかもしれないが、たぶん、それはそれでよいだろう」とカーラ氏。「強い技術的メリットのない新規プロジェクトが登場して、大きな儲けを出している」。せいぜい「これに影響されるのは、よく研究もせずにICOに投資したいと考える一般人だ。ビットコインの価値はFacebook広告とはなんの関係もない。これは、すでに確立されているほとんどの暗号通貨にも当てはまることだ」と同氏は語った。

だがこれは、積極的かつ真剣にこのエコシステムに参加している人やそれを観測する人にとっては不運な状況だと、フューチャーパーフェクト・ベンチャーズ(FuturePerfect Ventures)の創設パートナーであるジャラク・ジョバンプトラ氏は話す。同社は長年、さまざまなプラットフォームやビジネスモデルを開発して、少なくとも当初は、信頼できるアドバイザーや投資家たちから資金を調達してきた。だが彼らはいま、暗号通貨を手早くリッチになるためのスキームだと考えている、無知な多数派の無謀さと見当違いに苦しめられているのだ。

プラットフォームの責任/h2>

規制されていない資産を扱うことと簡単にお金を稼ぐ方法は、常に進化し続ける課題のひとつだとジョバンプトラ氏は述べる。ベンチャーキャピタルの場合と同様、もっとも魅力的なチームやテクノロジー企業の多くは、自分たちがやっていることを市場に出し、あとに象徴となる製品を導入するためならどんなことでもしかねない。いったんプラットフォームが開発されたら、平均的な投資家へのリスクも減る。

「私の受信箱には毎日、ICOの売り込みメールが20通ほどくる。マーケティングの割り当てがあり、ウェブやソーシャルネットワークを網羅するような手段で、それを利用して、ICOの過度なマーケティングを行っている」と、ジョバンプトラ氏は語った。

Googleはペイデイローンの広告を禁止したが、広告業者たちがすぐにプロダクトを宣伝する別の手段を見つけてしまったのと同じように、Facebookの禁止も、ICOにはほとんどなんの影響もないだろう、とプロペル・ベンチャーズ(Propel Ventures)のパートナーを務めるライアン・ギルバート氏はいう。Googleは約2年前、消費者に害をもたらしうる商慣例に手を貸したくないとして、ペイデイローンや同様の略奪的貸付の広告が検索結果に表示されないようにした。これは起業家にとっては大きなチャンスとなった。Googleの措置を経て買収コストが下がり、それを宣伝することで初期の儲けをあげることができたからだ。

今度はFacebookが同じ立場に立とうとしている。特にフェイクニュースの世界との絡みや選挙環境における自社の役割など、ネットワーク上で情報提供されるものについて、少なくとももっと責任を持つ姿勢を見せることで、プラットフォームオペレーターとしての役割に真剣に取り組んでいることを示そうとしている。

ICO環境も少し健全に

Facebookの決断がビットコインやその他の暗号通貨に変化をもたらすことは最終的にはないが、たぶん、ICO環境が少し健全になるだろうと、専門家たちはいう。ICO環境は、誰の基準から見ても、手に負えなくなっている。「ICOや暗号通貨は通常、それに執着している人、それを採り入れ使おうと決めた人による継続的で肯定的、熱心かつ、正直なところ、大げさな広告を数年出し続けることから恩恵を受けてきた」と、シンクタンクであるアダム・スミス・インスティテュート(Adam Smith Institute)のフェロー、プレストン・バーン氏は語る。

暗号通貨が新たな投資家や買い手を見つけるとき、その買い手はすぐに、ほかの人間を買い手にする既得権を手に入れ、自分の投資の見返りがすぐに得られるという傾向がある。そうしてたくさんの層のユーザーをシステムに巻き込み、暗号通貨やICOの宣伝を繰り広げる。

「その結果、本当に素早い販売合戦が展開されるが、これを押し返すことに対してはほとんど批判は聞かれない」と、バーン氏はいう。「我々にないのは、我々が公の市場や証券取引の世界で目にするような、ある程度の証明や特定のタイプの説明責任を果たせる、一貫性のある事実確認機能だ。これは通常、ICOに悪影響を与えるようなものではない。悪影響を及ぼすとしたら、ICOプロモーターとして成功を収めたが、挙げ句の果てに牢屋行きとなりオレンジ色のつなぎ服を着せられている人物だろう。我々はまだ、それを見たことはないが」と、バーンは語った。

Facebookの本当の思惑

たぶん、非常に面白いのは、Facebookが分散型台帳や暗号通貨、ブロックチェーンを考えていて、こうした技術のうちのひとつかいくつかをビジネスに組み込もうとしているという噂があることだ、とプロペル・ベンチャーズのギルバート氏は話す。

「暗号通貨を禁止しておいて、そこで何が起きているかを正確に理解し学び、それが合法であることを証明するために広告業者が通過しなければならない審査プロセスを持って戻ってくるだろう」と、ギルバート氏は続ける。おそらくは、広告業者に対して自身の身元を明かし、物理的住所と投資家を公開し、ビジネスモデルについての情報をFacebookに提供することさえ義務づけるだろうという。「少なくともこれで、Facebookは、広告主が誰かを知ることができ、自分たちが合法的な相手と仕事をしているとわかる」

Tanaya Macheel (原文 / 訳:ガリレオ)