[ DIGIDAY+ 限定記事 ]金融サービスのアリー・ファイナンシャル(Ally Financial)がAmazon広告を活用して裕福なミレニアル世代へのターゲティングを進めている。いまではAmazonのDSP全体における広告に特に反応の良いオーディエンス層へのターゲティングも実施している。
[ DIGIDAY+ 限定記事 ]金融サービスのアリー・ファイナンシャル(Ally Financial)が、Amazonを活用して裕福なミレニアル世代へのターゲティングを進めている。
Amazonの有するターゲティング能力に惹かれた同社が提携をはじめたのは2017年のことだ。当初はバナー広告の試験運用からはじまった提携だが、いまではAmazonのDSP全体における広告に特に反応の良いオーディエンス層へのターゲティングも実施している。
今年、アリー・ファイナンシャルはスマートテレビの広告プラットフォームをThe Trade Desk(ザ・トレード・デスク)からAmazonのFire TV(ファイヤーティーヴィー)に移し、マーケティング面におけるAmazonへの移行をさらに推し進めた。アリー・ファイナンシャルの最高マーケティングおよびPR責任者のアンドレア・ブリマー氏は、これによりスマートテレビにおける購入と、Amazonのアプリレベルでのデータを活用できるようになったと語る。
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「当社は、金融関連のエディトリアルコンテンツが主体だ。一方Amazonはショッピングサイトであり、そういった意味では業界を異にするプラットフォームではある。だが、我々が求めるオーディエンスと同じ層にリーチできるという意味で、我々には共有点があるのだ」と、ブリマー氏は語る。「つまり、取引ができ、デジタルに精通し、世の中の最高のものを求めるカスタマーだ」。
Amazonが近年、強く取り組んでいる広告事業は成熟の様相を見せている。アリー・ファイナンシャルのようなAmazonのプラットフォーム上で販売する商品を持たない広告主に対し、データを売り込めるようになっているのも広告分野における同社の成長を示す一例だろう。ブリマー氏によると、Amazonとアリー・ファイナンシャルとの話し合いがもたれたのは、Amazonが広告の新オプションをリリースしたあとだという。
掲載先に合わせた広告
今年、アリー・ファイナンシャルは、よりカスタマイズされたデジタル広告を展開するようになった。たとえば、映画レビューサイトであるロッテン・トマト(Rotten Tomatoes)など、特定のサイトのためだけに向けた広告を作成しているのだ。
「どこでも同じクリエイティブを運用していたわけではない。コンテクストの面で極めて高い関連性を重視してきた」と、ブリマー氏は語る。「過去には、テレビキャンペーンで使用したCMを6秒や10秒に削って、デジタルメディア向けに流すこともあった。だが、今年は個々のデジタルメディアに合わせた広告を作成している」。
同社は、食べ物のレビューサイトといったさまざまなサイト向けに、こういった専用の広告を作成している。アライ・ファイナンシャルの狙いは、裕福なミレニアル世代が、シーツや犬用ベッド、映画、ブランチの場所などと同じくらい、同社のウェブサイトでのリサーチに時間をかけるようにすることだ。そのために同社は、たとえば映画レビューサイトのロッテン・トマトなど、レビューが消費者の注目を集めるサイトをターゲットにして、金融機関のレビューとの対比を盛り込んだ広告を展開している。
「我々にとって大きな違いだ」と、ブリマー氏は語る。「メディアバイイング全体を見渡し、展開している個別のチャネルやプラットフォーム専用の広告を作り上げた」。
ペイドソーシャルを重視
今年、アリー・ファイナンシャルはマーケティング予算の60%をデジタルに費やしている。昨年は同50%で、若干の増加だ。同社はペイドソーシャルをとりわけ重視しつつあり、上記の60%のデジタルマーケティング予算のうち20%をペイドソーシャルに費やしている。
「これまで展開してこなかったソーシャルプラットフォームについて多くを学んだ」と、ブリマー氏は語る。「現在は、ペイドソーシャルに多額を投じており、デジタル予算に占める割合は大きく増えた」。
ペイドソーシャルへの支出は、同社がまだ宣伝したことがないプラットフォームや、インスタグラム(Instagram)やレディット(Reddit)のようにあまり展開してこなかったプラットフォームを対象としている。またSnapchat(スナップチャット)への支出も継続していく予定だ。残りのデジタル予算はYouTubeやGoogle Ads、Amazon、Yahooなどのホームページのテイクオーバー広告、多様な財務関連サイトといったさまざまな用途に使われる。
カンター(Kantar)によると、2019年上半期でアリー・ファイナンシャルは、メディアに3220万ドル(約34.6億円)を支出している。さらにアリー・ファイナンシャルの支出は、2017年に5410万ドル(約58.2億円)だったのに対し、2018年には7740万ドル(約83.2億円)の支出となっているという。
同社は全広告予算の60%をデジタルに費やしており、20%を放送に、20%を屋外デジタル広告に使っている。屋外デジタル広告もまた、同社が今年新たに展開をはじめた分野だ。昨年はアリー・ファイナンシャルの広告予算の50%がデジタル、30%が放送、残りが必要時のための準備金だった。
「eスポーツも模索している」
OHパートナーズ(OH Partners)の共同創設者でありマネージングパートナーのスコット・ハーキー氏は、米DIGIDAYへのメールのなかで、「テレビのオーディエンスが減り、デジタル広告のエンゲージメントが増え続けていくなかで、ブランド各社はよりパーソナライズされたデジタル広告に支出するようになっている」と、述べている。「アリー・ファイナンシャルに続いてデジタル予算を増やす企業はこれからも増えていくだろう」。
さらに、アリー・ファイナンシャルは今年、eスポーツにもメディア予算を投じる見込みだ。「当社にとってのプラットフォームとなりうる、幅広い間口としてeスポーツを模索している」と、ブリマー氏は語り、次のように述べた。「まだ、大きな動きがあるわけではないが、今後数カ月でeスポーツにおいて当社の存在感を高めていく予定だ」。
Kristina Monllos(原文 / 訳:SI Japan)