シェリーン・イドリス医師は過去10年間、ニューヨーク市で皮膚科医として働いてきた。そして2018年にはソーシャルメディアのスターにもなり、現在はインスタグラムに657,000人、TikTokに441,000人、ユーチュー […]
シェリーン・イドリス医師は過去10年間、ニューヨーク市で皮膚科医として働いてきた。そして2018年にはソーシャルメディアのスターにもなり、現在はインスタグラムに657,000人、TikTokに441,000人、ユーチューブに704,000人のフォロワーを持つ。2021年10月にマンハッタンに自身の診療所「イドリス・ダーマトロジー(Idriss Dermatology)」を開設し、2022年10月にはスキンケアブランド「ピロートーク・ダーム(PillowtalkDerm)」を立ち上げた。ソーシャルメディアで知られるきっかけになったコンテンツシリーズ「#PillowtalkDerm」では、パジャマ姿でベッドの中からスキンケアについて率直に語り、フォロワーたちに啓発してきた。世に広く宣伝されているが、価値のないトレンドを批判し、ブランドとの有料のパートナーシップも敬遠する姿勢は、同氏が「ナード」(オタクの意)と呼ぶフォロワーたちに熱烈に支持されている。また、非常に面白い人物でもある。
2022年9月にピロートーク・ダームの製品が先行販売されると、36時間以内に完売した。「メジャー・フェード(Major Fade)」コレクションと名付けられたこの3つの製品は、いずれも肌の色素沈着や変色の改善を目指した製品である。その後は、2024年4月にもうひとつの製品「ディパッファー(Depuffer)」を発売したのみだ。これはアルニカを配合したローラー付きのセラムで、美容注射やスカルプトラなどの施術を受けた患者から着想を得た製品だ。
イドリス氏はソーシャルメディアで #PillowtalkDerm が始まったきっかけや、ブランドとの利益の大きい取引を断った理由、色素沈着に焦点を当ててブランドを立ち上げたことについて、Glossyビューティ・ポッドキャストで語った。
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以下はポッドキャストで語られた内容を読みやすさのために要約し、編集を加えたものである。
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美容ブランドとのパートナーシップ契約と、自身のブランド戦略に与えた影響について
「私が結んできたパートナーシップ契約は片手で数えられるくらいか、多くても両手に収まる程度。そして、これらは通常すでに私が言及してきたブランド、つまり愛用していたり、登録していたり、興味深いと思っているブランドだ。そして、自分の考えをはっきりと述べるようにしている。ブランド側が私に言わせたい言葉があったとしても、その通りに言うことはせずに立ち去るようにしている。SK-IIのオファーを受けるか検討していた際は、コミュニティーに『引き受けるべきだろうか? このエッセンスを使ったことがないが、舞台裏を知ることに興味がある。引き受けるべきだと思うか?』と尋ねた。すると多くの人が投票してくれ、おそらく7割近くの人が『引き受けるべき』との意見だったので、コミュニティーのことを念頭に置いて、SK-IIのスポンサーシップを引き受けた。いまになってみると、私の体験についてもっと話させてもらえればと思う。その方が彼らにとっても良かったのではないか、と。それでも私にとっては良い学びとなった。コミュニティーが背中を押してくれたことに感謝している。間違っていない限りは、人々が物事を語りたいように語れるようにするべきだということを、ブランドの創設者として悟ったからだ」。
利益の大きいパートナーシップを断った理由
「私は心の豊かさを感じている。ありきたりに聞こえるかもしれないが、私の人生において、物質主義的なものにはあまり興味を持っていない。夫は私のことを『雇用に適さない』とジョークを言うが、だから自分の診療所を持ち、ブランドを持ったのだ。『X、Y、あるいはZと言えばいい』と言われたら、やり返す。私は操り人形ではない。看板でも、広告でもない。自分の意見を持っており、いいねをしたり、放っておいたり、受け入れたり、断ったり、それが何であろうと自分の考えで行う。私は言いたいことを、言いたいように言う。だから、私を支配しようとしないでほしい。でも正直なところ、まだ学生ローンを払っているときに、儲かる話が目の前を過ぎ去っていくのは辛かった。同時に、夜眠りにつく前に耳を傾けるべきなのは、自分自身だけだ。セラヴィ(Cerave)と契約してTikTokでダンスする皮膚科医や、セタフィル(Cetaphil)のキャンペーンに登場する皮膚科医のようにはなりたくなかった。どこかに所属している皮膚科には、決してなりたくなかった。歩く広告塔になるために、12年間も学校に通ったわけではない」。
色素沈着に焦点を当てる理由
「私は週に100人以上の患者を診ている。患者たちはいつも、小さな線やしわについて相談してくる。でも私は一歩下がり、部屋の反対側で鏡を持って『何が見える?線は見える?』と問いかけると、患者は『いいえ』と。『その通り。あなたの目に何が見えているものを、いまからお伝えしよう。くすみが見えて、色は均一でなく、思ったほどに美しくない。日焼けや加齢によるシミや、浮き出てしまった毛細血管も見える。最大限の費用対効果を得たいならば、まずは肌の色に対処すべき。私は神ではないので、一晩でコラーゲンを作ることはできないが、色については助けることができる。最初に肌の色に対処すれば、劇的に変わるだろう』と。なぜメイクアップがこれほど人気なのかといえば、(肌の悩みを)隠したり、肌の色合いを均一にしたいからではないか。だから私は『肌の基礎に取り組もう。そうすればメイクを減らすことができるし、より少ない金額で全体的に外見が良くなり、自信も持てるようになる』と伝えている」。
[原文:Dr. Shereene Idriss on building a community and rarely accepting brand partnerships]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:田崎亮子/編集:山岸祐加子)