スターバックスやダンキンドーナツ(Dunkin’ Donuts)などのチェーン店で、季節限定商品が流行している。新商品の発売や、これまでよりも期間限定商品の販売期間を延長するといった試みを積極的に行うことで、実際、客足が徐々に回復しているケースもあるのだ。
スターバックス(Starbucks)やダンキンドーナツ(Dunkin’ Donuts)などのチェーン店で、季節限定商品が流行している。
コロナ禍で通勤が激減したことで、喫茶店やファーストフード業界は大混乱に陥った。全米レストラン協会(National Restaurant Association)は、6月の時点で外食産業は1200億ドル(約12兆4000億円)の収益が失われたと発表している。そんななか、一部の店では季節限定のメニューや家庭風料理などを提供し、なんとかカスタマーを呼び込もうと取り組んでいる。例えばスターバックスやダンキンドーナツは、新商品の発売や、これまでよりも期間限定商品の販売期間を延長するといった試みを積極的に行っている。実際、これにより客足が徐々に回復しているケースもあるのだ。
季節限定商品が好調な2社の事例
今四半期も例年より客足が減ったスターバックスだが、パンプキンスパイスラテやクリーミーパンプキンフラペチーノを復刻し、売上に貢献している。8月下旬から販売されたこれらの商品により、同社の収益は予想の60億6000万ドル(約6300億円)を上回る62億ドル(約6400億円)を記録した。
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同商品についてケビン・ジョンソンCEOは「呼び水の働きをした」と表現している。さらに今年販売されたクリーミーパンプキンフラペチーノは、パンプキンスパイスラテより売上が好調だったという。これについてジョンソン氏はカスタマーが「癒しを求めている」ためだと分析している。
同様に、ダンキンのデイブ・ホフマンCEOも、メニューを一新したことで既存店売上高が急増したと述べている。リモートワーカーが増えたことを受けて、同社は「メニューの変更へ迅速に取り組み、午前と午後の客足が増える時間帯や若い消費者に向けた新しい飲み物やおやつを発売した」とのことだ。
午後3時の来店数は増えている
プレイサー・ドット・エーアイ(Placer.ai)が収集した実店舗の月間訪問者数データによると、ダンキンとスターバックスは10月に新型コロナウイルスの感染拡大以降で最高となる訪問者数を記録している。ダンキンは前年比で11.3%、スターバックスは同21.5%減にまで客足は戻っているのだ。両社の上記のような取り組みが客足の回復に貢献している可能性は高い。
プレイサー・ドット・エーアイのマーケティング担当バイスプレジデント、イーサン・チャーノフスキー氏は、レストランではカスタマーの動向が変化しているケースが多いと語る。同氏によれば、「ファーストフード大手4社の午前11時から午後3時までの客足を調べたところ、昨年よりも遅い時間帯の客足が増えている」という。チポレ(Chipotle)やサブウェイ(Subway)、パネラ・ブレッド(Panera Bread)、スイートグリーン(Sweetgreen)は正午付近の客足がもっとも多いものの、例年を下回ったままだ。だが午後3時の来店数は、昨年比で4社それぞれ0.8%、0.6%、0.6%、1.1%増えている。
また、コンビニについては、PDIの調査によると、コーヒーやデザートといった「単品ですぐに食べられる、飲める」商品が好調な傾向が見られるという。また、同調査では、チョコレートやソーダ、アルコールといった癒しを与える商品も、店での衝動買いなどに結びつきやすい結果が出ていると述べられている。
「話題作りの取り組みは加速する」
ファーストフード分野を得意とするエージェンシー、インダストリアス(Industrious)のアンディ・オースティン氏は、各社はカスタマーとの新たな関わり方を模索しており、前述のような商品の入れ替えは効果的だと指摘する。「以前ヒットした商品を販売すると話題になり、客足が回復するというケースが見られる」と同氏は語る。
オースティン氏は、この戦略を採用する企業が今後増えていくのではないかと予測する。「話題作りのためのファーストフード店の取り組みは今後加速していくだろう」と同氏は語る。「宣伝やバーチャルイベントといった形で、この暗くなりがちな時期に、カスタマーの注意を引くような各社の努力がこれからも増えていくだろう」。
[原文:Why longer seasonal campaigns are helping ailing restaurant chains]
Gabriela Barkho(翻訳:SI Japan、編集:長田真)
Photo from Starbucks